感情を知らない女4
私と性交渉をした男の名前は平山竜二。
顔は堀が深く、日本人というよりも西洋人に近い顔立ちをしている。
平山竜二とは日々デートというものを重ねた。遊園地、動物園などの様々な場所に二人で行った。そして私は、デートとは疲れるものだと学習した。
平山竜二とは、今でも交際関係にある。平山竜二と私は、同じ家で暮らしている。俗にいう夫婦のようなものだ。平山竜二は結婚前の同棲だと言っている。時期は未定だが、平山竜二とは婚姻関係となる予定だ。
私の腹の中には、卵子が精子と結合して出来た生物がいる。私は平山竜二以外の男と性交渉をした事がない。精子は平山竜二の物だろう。
私は現在、妊娠八ヶ月目である。
私はこの生物を産み落とすつもりだ。
平山竜二が産んでくれと頼んだからではない。全ては私の意志。私は学習する為に産み落とすのだ。
私は学習する事を糧としている。
私の両親は、事ある毎に勉強しろと言っていた。
普通ではない私が生きて行くには、良い大学を出て、少しでも就職を有利にするしか道は無いと言っていたのだ。その意見に私は納得した。
私は生きたいとか、死にたいとか、考えた事はない。
人間いずれは死に絶える。永遠の命など存在しない事は、既に学習済みだ。
私は腹が減れば、食料を口に運ぶ。味覚はあるが、味など気にした事はない。
人間が食べられる物ならば、何でも良いのだ。
人間として生まれた本能がそうさせているのだろう。私は腹が減れば物を食べる。しかし、食べるには金が必要だ。金が必要なのは、食糧だけではない。衣食住の残りである、洋服や家にも金は必要なのだ。
金は、労働の対価として支払われる事が多い。それ故に人間が金を手に入れるには、働かなければいけないのだ。それを私は学習済みだ。
普通ではない私が仕事に就くには、普通の頭脳では駄目だと両親は言っていた。だから、私に勉強をしろと言っていたのだ。
私は衣食住の為に学習をし、データーを頭に叩き込まなければならない。
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