4「じゃあ、ラブホでもいきますか?②」
それから俺たちは学食へ向かった。
隣の顔も良し、胸も良し、色気も良しな天然黒髪天使のせいで同じ工学部の男子からかなりきつい目で睨まれてしまったが……生憎と俺はこいつと付き合っているわけではない。
あいつらはこいつが側だけの女だと分かっていない。
だいたい、俺も俺で留年までしといて後輩に手を出してるクズっぽい奴みたいで少々虫の居所が悪いんだ。
「あの、先輩? なんで顔を顰めてるんですか?」
「……自分の胸に聞いてみてくれよ」
「私の胸はEカップですけど……?」
「誰もお前のバストのサイズを聞いてねえし……ていうかそんなにあるの⁉」
「……先輩、聞こえちゃいます……新手の羞恥プレイですよぉ、これじゃぁ~~」
「それはすまなかったが……白瀬も白瀬だと思うけど」
「あ、先輩! 今日は海鮮丼も売ってるみたいですよ‼‼ 500円でいくらとサーモンとマグロ、そしてウニも食べれるみたいです!」
「……はぁ」
どうやら聞いていないようだ。
これじゃあ俺もストレスで剥げちまうかな……。
「分かったよ……ほら、俺が買ってやるから」
「やったぁ~~、先輩の太っ腹ぁ!」
満面の笑みを浮かべて飛び跳ねる白瀬。
渋々ではあったが、胸がぷるんぷるん揺れたから等価交換ということにしておこう。
それに、たまには先輩風を吹かせてみるのも悪くないか。
それにしても――大きなおっぱいだ。
もしも女子に転生できるなら、肩こりするくらいの胸になってみたいものだ。
「うぅ……せんぱぃ……」
「なんだ?」
「この海鮮丼……微妙ですっ」
「人の金で食っといて文句かよ……」
「うぅ……だってぇ」
「まあ。気持ちはわかるっ。やっぱりここはラーメンに限るな。200円のラーメンが最強だな」
「えぇ~~ラーメンより、私的にはあれだよ、あれ。カレー」
「カレーか……まぁ、それもあるな」
「ですよね~~」
そうは言いながらもパクパクと口に運んでいく俺たち二人。
ぱさぱさなウニといくらが乾燥したかのようなサーモンと不協和音を奏でている。
すべて食べ終わると、再び始まる午後の講義。
俺たちはまた別々の講義室に向かい、3時間ほどぶっ続けて授業を続けていた。
授業中、ふと昨日のことを思い出した。
そこで疑問に思ったのだ。俺は死ぬためにあそこに立っていたが——果たして彼女はなぜ、あの場に居たのだろうか、と。
天然で、容姿端麗。学業——は分からないがあの感じは俺と少し似た匂いを感じる。きっとそれなりに優秀だが落ちこぼれてしまったタイプだろう。
なんであそこに来ていたのかは知らんが、とりあえず俺を何とか生かそうとしてくれていることは分かる。あんな性格ではあるが、性根までは腐ってはいないようだな。
講義も終わり、適当に外で待っていると肩を丸めて彼女がやって来た。
「うぅ……疲れたっ‼‼」
「俺に吠えるな、犬か」
「いぬぅ……? もしかして先輩、そういう獣姦プレイを御所望ですか?」
「違っ……」
いや、待てよ。
今度こそ、今度こそだ。三度目の正直的な何かかもしれない。ここでもし「したい」と言えば、人生の最後に花を咲かす一発を放てられるかもしれない。
たとえ、ニッチなプレイでも!!
「——先輩?」
「やっぱ」
「?」
「やっぱ、そういうプレイでもいいぞ。俺はいつでもやれる、というかやろう! てか、行こう‼‼」
そうだ、明日こそ死ぬんだ。
ここでやらねば男としての名が廃る。
行かねば、行かねばならぬだろうて。
鳴かぬなら、鳴かせてみよう、ホトトギス。
女子の「あんっ……ぇ、は……んっ……ぁっんっっ‼‼」ていう鳴き声が聞けるかもしれない‼‼
「——ほうほう。まだ、諦めていないと?」
「ああ、俺はあきらめない‼‼ 絶対にな‼‼」
「はは~~ん、そうですかぁ……そうですねぇ…………」
熱意の一言にニヤリと笑みを浮かべる黒髪天使。
いや、黒髪変態天使よ‼‼ いいだろう、貴様の破れに破れた歴戦の名器‼‼ 俺が頂こうではないか‼‼
「それじゃあ先輩」
「っん」
ゴクリ。
来たかこの瞬間。
よし、それでは――と心で呟きながら生唾を飲み込んだ俺。
「——ラブホでも行きますか?」
キターーーーーーーーーー‼‼‼‼
「おい。どうしてだ」
「ん、何がですか? はわぁ~~~~可愛いですねぇ、君はぁ~~ふさっふさ~~」
「どうして、どうして――——俺たちは猫カフェに来てるんだぁぁぁぁぁぁ‼‼‼‼」
にゃーにゃーと泣きわめく猫の大群。
ふさふさと耳を立て、尻尾を揺らし、俺をつぶらな瞳で見つめるその姿はどうにも――批判することはできない。
ははっ。
うまいな、ダジャレが。
「ラブラフキャットホテルカフェ」
クソみたい名前。略してラブホ。
これが噂の
やかましいわ‼‼
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