おもちゃの国 城門 其ノ三
『近距離に確認したものは二体。 その後から……沢山。 生命反応ゼロ。 有機物反応ゼロ。 各自、配置にて即時攻撃出来るように!』
ゥワンゥワンと体に響きくるシステムの指令伝達が来た。
「あの二個、矢張りくたばって無かった。沢山って何よ、沢山って。システムが凡その数量わかんないの? ここまでたどり着いたなら完全物体化してるでしょ? なのに、どういう事よ。」
どんな顔してるのだろう? モニターを覗き込んだその時、視界が真っ赤になり大きな穴が空く。 否、写していた防犯カメラが攻撃を受けて、そのレンズが焼けて熔け、設置部分の壁も穴が空き、おまけに見ていたモニターが暗転した。
別の角度からのモニターで確認してみよう。
侵入してきた敵は――――世紀前のSF? いや四コマ漫画?
薄ぺらいスチール板みたくな一枚に、三本線を書いただけの顔。 後側に回路系統が内蔵されてる様だ。
だからかぁ。 二次元的な造りの面。 どう見積もっても、只の看板にしか見えないからだもの。 看板は回避対象には含まれていなかったか。
慌てて『あれは看板じゃないから! 攻撃しないと、よ』と、システムに直接念波で追入力した。
ここは防御システムのお手並み拝見と、モニターに映っているのを大人しく見ていると、各方向からのビームはちっとも効かない。
軽くいなされている感もしてきて、見てて腹立たしくなる。
私の出番だ。 殺ってやる!
防犯カメラへ攻撃された、先程の穴から城門の外へと飛び出した。
まずは後ろから、のほほんと侵入して来た青銅土寓もどきをバキッとへし折り、板オバケを二つに折ってやろうとするが上手くいかない。
そいつの薄い側面がチラチラと光っている。 簡易探索すると他に比べて若干強度がない。
「ここね。」
その周辺を屠る様に引き離すと、パキンと音を立て外れた。
「コイツらを噴水の水に浸けてやれ。」
倒れ伏しピクピクしてた数個を、纏めて衛兵人形に引き渡す。
板おばけも青銅土もどきも言葉も発せずに水の中へ。 小さな火花が水面を走り二度と動くことは無くなった。
「回路で動く物体は、こうだから駄目なんだ。」
衛兵のひとりが、そう呟いた
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