人間世界側 表玄関 其ノ二
「どれ、板を打ってしまうよ。どの道、いつかはしないとならんわな、と考えてはいてな。実は此処に準備はしてあったのだよ、ワハハハ……」
そう云々と
だが、迷惑な二人連れは何処吹く風が如く、全く意に介さない様子。
仕方ない―――
「院長は遠方に出掛けて不在なので、今夜が本当に無理なのです。どうぞお引き取り下さい。お願いします。」
「おっと危ない!さあさあそこの人。帰った、帰った」
「夜も明けるというのに寒風吹き荒み、更に冷え込んできましたがご覧のとおりのこの有様。今から塞ぐ作業をしますから危ないですよ、お下がりください。」
と私が言葉で制し、
幾らなんでも板っきれ一枚で、こうも防音効果がある訳もなく、夜の音はそのまま聞こえ来るが、人間の声だけがしなくなったのだ。
やっと理解されたかと、もう片方の扉の未だ風穴となっている所から外の二人を確認すると、口を開けたまま立っている。
喚いていた先程の状態に
眉さえ微動だにしないのだが、それが制止画から切り取ったもので無いと知らしめるのは、眼孔だけが鈍い光を帯び動いていると分かるからだ。
用を足さなくなった二枚の扉に、台風に備えるでも無いのに板を打ち据えた後、神妙な顔つきで向き直った
「あれは一体どういう人種なの?あの様な奇妙な人間は見たことがない。」
「どうもあの二人は盗みに入りに来たらしい。」
小声で
「泥棒って人種なの?」
「いやいや『泥棒』とは人種では無いぞ。それにあ奴ら。人の類いでさえ無い。」
「それは情報?それとも勘なの?御庭番として言っているのよね?」
「おうさ、人に見えてありゃ違う。総毛立たせるあの気配を感じなかったのか?おぉ、桑原桑原。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます