教授

――きたきたぁ!! 美少女!! 

 近寄ってきた少女は、薄い金髪でふわふわの細かい巻き毛を肩くらいまで伸ばし、瞳は紫。背丈はやや小柄。かなりの美少女だった。

「話は聞いてるわ。よろしくね」

――よろしくだって!! 恋・愛・フラグっ!!!

「貴方のことは、教授にお願いしてあります。ではよろしく」

「はいはいっ♪」


 テンションアゲの救世主に一声かけ、少女に手紙を手渡してリルが去っていく。当然少女のことしか頭にない救世主は、リルのことなんか見もしない。

――教授ってさっきのじーさんかな? てことは、この美少女と一緒にお勉強だったり。『お勉強』くはー、『お勉強』だって! 昼は机並べて彼女がちょっと先輩風吹かして「分からないことがあったら教えてやるんだゾ☆」とか言ったり、手が触れあっちゃって ぽ、とかイミシンな笑顔で頬赤らめちゃったり、夜はこっちがオトナな勉強を教えてやったりとかしちゃったりしちゃったりして!!!

「じゃあ始めましょうかっ!!」

 鼻息荒く少女に向き合った救世主だったが。

「あ、ごめんね、聞いてなかった。なにかしら?」

 手紙に目を落としていた少女は、先程リルに無関心だった救世主と同じく、全く救世主に無関心だった。


 がくーーーっっと落ち込んだ救世主であったが、次の瞬間にはバネのように回復しいて少女ににじり寄った。

 少女はローブを纏った老人を呼び、何事かを言うと、老人は恭しくお辞儀をして離れた。

「あ、そうだ。貴方の名前、『(自称)アーサー』って書いてあるんだけど、(自称)アーサーって呼んでいいのね?」

「まだその自称ネタ引っ張るんかいっ!!!」


「じゃあ、じ……アーサー君。しばらくの間、よろしくね」

 少女は言った。

「私は、アンティアナ・アンティウス。魔法院の院長で、『教授』って呼ばれてるわ」

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