行っちゃいますか

「神が何の用? つーか、そのポーズ恥ずかしいんでやめてくれる? オレまで仲間と思われるじゃん」

「大丈夫、誰も見てないって」

 恥ずかしいのは否定しないのか、と思ったが、恥ずかしそうにもしてないので、きっと恥ずかしくないんだろう。オレは恥ずかしい、と(自称)アーサーになる前の男は思った。

「話続けていいです?」

「まあ、どうぞ」


「地球、第3次元の人間を、異世界に送ろう! というキャンペーン中なんですけど、行きません?」

「なにその軽いの」

「興味ないですか?」

「いや、異世界には行きたいけど」

 男は、カバンに入れてある、異世界物の文庫を思った。もちろん、家に何冊もあるし、スマートフォンにはWEB小説やWEBマンガのブックマークが山とある。

「行って何するの?」

「あなた次第です」

「漠然としてるなぁ」

「とりあえず、役割は”救世主”なんですけど」

「『とりあえず』が引っ掛かるんだけど」

 う~~~~ん。と、男は考えた。異世界な~。行きたくないかっていえばそりゃ行きたいけど。

 行けるもんなら行ってみたい。


「じゃ。行っちゃますか」

「早すぎだろ」



 というわけで、今に至る。

 (自称)アーサーは、話つけにゃならん、と、目の前の神を睨んだ。


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