救世主 (自称)アーサー
どこだろう、ここは。
どこかヨーロッパの城みたい。はっ、そうか! オレ、『救世主』になれって言われたんだっけ!?
『救世主』っていうからには、ここはファンタジーとかRPGの世界みたいなとこなんだな!? あの『神』とかいう人、うさん臭かったけど、ホントに神なんだ。
よーし、どこの国か知らないけど、このオレのチート能力でサクッとカッコよく国救っちゃって、美少女にモテまくって、ハーレム作っちゃうぞ! いやいや、『救世主』なんだから、オレが何もしなくても向こうから姫とか女騎士とか美少女魔法使いとか美少女メイドとか美少女エルフとかが向こうからわんさか寄ってきて、裸で頬染めてもじもじするに違いない!!
どうせこんなファンタジー世界なら、文明も発達してないに決まってて、オレがちょっと現代日本の知識とか披露すると「なんだそれはっ!す、すごい!!」とか言われちゃったりして、賢者に祭り上げられちゃったりして、「いやいや目立ちたくないんでこのことは内密に…」とか言って美少女町娘の家に転がり込んで一緒に田舎に行ってスローライフとかもあるかもしれない。その場合、ボロ家とか田舎でも衣食住に不自由させない美少女メイドとかが付いてきちゃって、美少女町娘と道中で知り合った美少女とでオレを巡ってさや当てとかあるかもしれないむしろカモン。
『救世主』なんだから、魔法のスキルなんかチートに決まってるんだから、何でもない顔でちょびっと使ってみるだけで、周りの民衆とか王様とか騎士団とかが「何だこの高スキルの魔法はっ……! こんなの見たことない!」とかポカーンで褒め称えてくれるに違いない。 どうせ『救世主』なんて必要な国なんだから、王とか王子とか貴族とかが腐ってるかもしれないし、隣国と戦争してたり魔物が攻めてきたり、何か問題があるに違いない。好き放題やっちゃっていいはずなんだ。都合悪くなれば帰ればいいし。(帰り方知らないし別に帰りたくもないけど)
ああ、オレのチーレム救世主生活、オレはここだよっっっっ!!!!
なんて思ってたはずなのに。
なんだろう、この状態は。
あっという間に兵士みたいのに捕まえられて、城の奥。
目の前には、美少女でも悪人みたいな頭の悪そうなおっさん王様でもなく、超イケメンの兄ちゃんが偉そうにオレを見下ろしていた。
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