幕間.5

 朝がきて、楽しい時間の終わりが近づく。

 みんな起きて、朝ごはんを食べて各々帰る準備に取り組む。


 「よし、忘れ物ないな?」

 「「「はーい」」」

 元気のよい返事が重なり合う。それを聞いて、「うむ、よろしい」とでもいうかのようにうなづく先輩のお兄さんのりょうさん。それを、何やってんだという視線を向けている僕らの一番上の姉の麻耶姉さん。うん、通常運転である。他の人達も元気そうである。

 車に乗り込み、出発してまもなく、先輩と舞姉さんは寝てしまった。「帰り道はやっぱり寝てしまうよね」などと話しながら道中は進む。

 「空も眠かったら寝てていいよー」

 「いや、だいじょうぶ。起きていたい」

 「そう。無理せずにね」

 窓から緑の山々、晴れ晴れとした空からくる変わる景色を眺める。

 きれいな景色だな。普段見ない景色が見れて楽しい。

 ・・・グランピング、楽しかったなぁ。このメンバーで遊びに行けて嬉しかった。予定が合えば、奏音かのん先輩も一緒に行けたのに。

 景色は町に近づくにつれて、見慣れた景色に変わっていく。

 時間が過ぎるにつれて楽しかった、非日常から日常に戻っていく。


 

 『でさ、私には妹がいてね――――』

 『そうなの!じゃあさ――――』


 ・・・目を覚ます。いつの間にか寝ていたらしい。家に帰ってきてリビングのソファで眠っていたらしい。

 それにしても、懐かしい夢だった。久しぶりに思い出した。

 それにしても、楽しかった。姉もいて、先輩もいて先輩のお兄さんもいて・・・。本当に楽しかった。いい思い出になったなぁ。


 このままで本当にいいのか。確かにを伝えた。でも、まだ言ってないこともある。

 彼女に伝えた方がいいのか。・・・・まぁ、タイミングがきたらだね。今考えても仕方がない。

 そう結論付けて、近くに置いていたノートを閉じる。

 あと何個、線を引けるかな――――


 

 机の上の紙を見て頭をひねる二人。一人は休みの課題でうなっている。二人は、別々のプリントを見ながら顔をしかめたり、目を閉じたりと面白いぐらいに変わっている。私は、それを眺めながら楽しんでいる。

 ここは、心音の家でリビングである。心音が悩む理由もわかる。だが、そろそろ答えが欲しいところなのだ。その時、

 「あーー!!もう嫌だ!遊ぼう!遊ぼうよ?何で課題しないといけないのさ!」

 「それは、舞が課題が終わってないのが悪い。うちと心音は終わったし」

 と冷たく奏音は言う。

 「教えてくれてもいいじゃーん」

 「いいけど、『全部!、てへっ』って言ってすぐにふざけてまじめにやらないじゃない」

 舞はうっとでも言いたそうな顔をする。奏音は追撃をやめない。

 「とりあえず、やりな。・・・それでも無理なら教えてあげる」

 「うー、わかった~」

 彼女はまた課題に戻る。「これが、国語だったら~」って聞こえてくる。課題は数学で国語ではない。彼女は国語の方が得意だったりする。・・・まぁ、やればどちらでも私はできるが。彼女もやればできるんだけどなぁ。

 うなっているようだったが、やがて静かになった。舞の方に視線をやると、集中し問題に取り組んでいた。うんうん、やればできるのだから、やればいい。さて、こっちはどうかな?そろそろ答えを出してほしいのだけど。いい答えをもらえるだろうか。

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月夜に君を唄う 秋月そらノ @s0right_wwfno

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