第1話 出会い
「うーーん、星がきれい」
と背を伸ばしながら、夜の公園を歩く。空には星が広がっていて綺麗だった。私は、夜が遅いと言われる時間に公園を1人で歩いていた。
春とはいえ、夜は少し肌寒い。
私は、この夜の散歩が日課になっている。
夜は人が少なくて歩きやすく、晴れていれば空も綺麗である。肌寒くとも、日中よりは暑すぎず心地よい。
私は、ベンチのある広場まできていた。私は、ベンチに座りゆっくりとすることにした。大体の散歩でもベンチまで来て座るのだ。空を見上げながら、のんびりする。(今日は、月も出ていて綺麗だな。しかも満月。)
私は、次第にまぶたが重くなってきたが、がんばって目を開ける。それを何回か繰り返し、目を瞑っていた。まぁ、本気で寝なければ大丈夫と思いながら、まぶたを閉じ、ベンチに座っていた―――
いくらか時間が経ち、目を開ける。時間を確認しようと携帯に手を伸ばそうとするすると、目の前にある丘の上に人が立っていることに気づいた。
その人は月明かりに髪が照らされて、輝いてた。立っている丘の上だけにスポットライトがあたっているように見え、髪だけでなく周りの空気も輝いて見える。とても同じ場所だとは思えない。幻想的で綺麗で、儚い印象を受ける。あまりの光景に少し見とれてしまう。
それからどれくらい時間が経ったか。短い時間だろうが、長く感じた。その人はこちらに気づいたのか、近づいてくる。
「おねーえーさん。ここで寝てたら、風邪ひきますよー」
と幼い声で声をかけてきた。
見えたときから、背が小さいなとは思っていたが、近くで見るとやっぱり小さい。私は背が高い方ではないが私よりも小さい。その人は、顔にあどけなさが残っている少年であった。近くで見ると髪色もわかる。白髪で肩にはかからないぐらいの短髪であった。服装はパジャマに上からセーターを肩からかけているかんじであった。意外ではあった。自分が言えるほうではないが私よりも年が下の人がこの時間帯に出歩いていて会うとは思ってなかった。
私が話しかけられ、その少年が思っていたよりも若そうであったことに驚き黙っていると、
「あれ、お姉さん聞こえてる?・・・寝ぼけてるのかな」
と戸惑っているようだった。何か言おうとした時、
「あ、もしかして僕よりも年上じゃなっかたのかも。でも、同い年?いや、下?もしかして、、、死んでる。いやいやまさか。それとも・・・」
と悩みだしたので変な方向に向かう前に声をかける。
「いやいや、大丈夫だよ。死んでないし、寝てないよ。声をかけてくれてありがとう」
彼は、安心したように一息つき、
「それならよかったです。いくら、寒すぎないからって寝ると風邪ひきますからね。でも、さっきは寝てたと思いますよ」
と言ってきた。いや、寝てないって言ってるじゃん。目つむってただけだよ。
「いや、少し目をつむってただけだよ」
「いや、寝てたと思いますよ。しばらく動いてなかったですし」
「いや、寝てない。きみが丘の上に立ってるの見てたし」
でも、と彼は言う。しつこい。寝てないはずと認めたくない気持ちを持ちながら考える。というよりもいつからいたんだろうか。いつ来たのか気づきはしなかった。
「まぁ、いいです。起きましたしね。こんな遅くに外に出ていていいんですか。家に帰らないで。・・・不良ですか?」
「同じ言葉を返すよ」
携帯で時間を確認し、帰ろうと思い立ち上がる。
「まあ、いい時間だし今日は帰ろうかな。君も気を付けて帰りなね」
「ぼくこそ大丈夫ですよ。お姉さんこそ気を付けて帰ってくださいね。女子なんですから」
と優しく笑顔で言ってくる。
「大丈夫だよ。家近いし。きみこそ、早く帰らないと親御さんが心配するよ。ほら帰った、帰った」
「ぼくももう帰りますよ。それに心配なら大丈夫ですよ。無事に帰れますし。それじゃあ、さようなら」
と言って、帰っていった。
私も帰ろうと思い帰路についた。
彼はどうしてあんな時間にあそこにいたんだろうかと考えながら、帰っていた。まぁ、もう会うこともないか、と思い深く考えるのをやめ家に帰った。
これが、彼、
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