第13話 公爵領都防衛戦

俺は天雷騎兵団50人、金剛戦士団300人、

初級魔法師になった魔法師200人、歩兵700人の計1250人を率いてキンブルを出発した。魔法師は旧男爵領で募集した人が思ったよりも上達速度が早かったので200人も集められた。金剛戦士団は重装歩兵だから一見移動が遅そうに思えるが、凸状の大盾の上にフルプレートの鎧を乗っけて引いているからそこまで遅くない。


俺は2週間弱で公爵領都に着いた。人数が増えると移動時間がどうしても長くなってしまうが仕方がない。着いた頃にはもうすでに戦いが始まって2日目の夕方だった。遠目から公爵領都を見たが、まだ領都は落ちていないようだ。俺は敵軍から離れた位置に陣を置き、辺りが暗くなってから夜目がきく者に偵察に行かせた。その時に、食料の位置を探させた。帰ってきた偵察から食料の位置を聞き出した俺は夜襲をすることにした。ローク平原での仕返しをするつもりだ。やられたらやり返す、

100倍返しだ!今、俺の頭の中には○沢直樹しかいない。


夜襲の手順だが、まずオークの脂肪を布で包んだ拳くらいの球に縄をつけて火の球を投げれるようにする。火の球を2つずつ持った歩兵300人と火か風が使える魔法師80人で敵の食糧庫に近づかせる。配置に着いたら俺とラーナは指揮官がいそうなテントを探しながらアーテルに乗って敵陣を進む。

どんどんと俺とラーナが奥に進むと一際豪華なテントが現れた。おそらく指揮官クラスのテントだろう。

ラーナは上級魔法のフレアランス、俺は火と風の中級魔法の複合魔法、ハイフレアを放った。フレアランスは基本的に〝フレア〟の名を冠する魔法は爆発を伴うので〝ファイア〟

より威力が高い。ラーナはそれの槍版、俺は単に風魔法で威力を高めた魔法だ。

指揮官のテントはフレア系の特徴である爆発により木っ端微塵になった。すると指示通りに俺とラーナの魔法を合図に、周囲から火の玉が投げ込まれる。そして魔法師から火の魔法が放たれて、さらに風魔法で炎上、そして煙を敵陣中央に集めて被害を拡大させてる。

俺とラーナは急いで敵陣を脱出して自陣に戻った。敵の混乱が想像以上で奇襲部隊の損害はゼロだった。

報復を恐れた俺は夜の見張りの数を増やして一夜を過ごした。



俺は夜明けと共に目が覚めた。兵士はもう動き始めている。俺は斥候の数を増やして俺たちの陣を探りにきた敵の斥候を生捕にして来るように命じた。1時間ほどで敵の斥候10人を捕らえることができた。俺は指を一本一本切り落として行って情報を全部吐かせた。周りの兵士達の顔が引いていたが俺のイメージの中の拷問はこれだから変えるつもりは無い。

昨日の俺たちの夜襲で食料の8割が焼けて兵士は300人死んだようだ。敵は残り9千人で食料は約3日分しか残っていない。敵は領都の食料を奪うために短期決戦に持ち込もうとするはずだ。対して、こちらは敵の補給を潰せば長期戦に持ち込める。かと言っていつまでも敵に時間を取られる訳にはいかない。何しろ、敵は後続として三万もの大群を連れている。

こちらのベストな状況としては敵後続の三万が国境を越える前に蹴りをつけたい。



俺は敵の城攻めが始まると同時に敵陣の背後から堂々と近づいた。

前列に金剛戦士団を二列に配置して左右の側面を歩兵で固める。中央には横一列の魔法部隊を配置していつでも魔法を放つ準備をしている。俺は2時間程前から天雷騎兵団を率いて自陣から離れた森の中に隠れていた。


金剛戦士団に気付いた敵は城攻めの兵のうち約3000人を俺たちに当てた。敵は金剛戦士団に向かって突撃してくる。50m程まで敵が近づくと魔法部隊が比較的射程が長いアロー系魔法で敵を減らす。絶え間なくアロー系魔法が放たれる中、ついに敵の前線が金剛戦士団にぶつかる。しかし、地面に大盾を刺した金剛戦士団はしっかり耐える。そして盾の上から3mはある長槍で敵の頭を突き刺す。

そして劣勢とみた敵の指揮官は指揮官の近くで待機していた兵200を魔法部隊の側面から攻撃させようと前に出す。もちろん、魔法部隊に辿り着くまでに歩兵部隊がいるのでそう易々と魔法部隊まで辿り着かないだろう。

敵の兵士たちが敵本陣から十分離れたところで俺は騎兵団に突撃の合図を出す。俺を先頭に、敵指揮官目掛けて一直線で突っ込む。

敵指揮官は俺たちの陣の側面に兵を送ったから無防備だ。俺は簡単に指揮官の首をとった。そのまま歩兵部隊と混戦となっている敵200に突っ込んで敵をかき乱して殲滅した。

金剛戦士団を見ると、一部崩れているところもあるが、大体はしっかりと守れている。さすが鍛え抜いた大男達の集団だ。

俺は歩兵部隊に金剛戦士団と連携して敵側面からの挟撃を指示する。俺は騎兵団を率いて敵背後から気が散るようにヒットアンドアウェイを繰り返す


開戦から一時間後、敵をほとんど殲滅し、残りも敗走をし始めた。俺は一度軍を集め被害報告をさせる。

騎兵団1人、金剛戦士団30人、歩兵部隊を150人、魔法部隊5人を失った。予想以上の戦果だ。特に金剛戦士団は歩兵の中でも体格が良く力強い人を選んだのであんなに激しい戦いぶりでも被害が少ない。


俺たちの勝利を知った公爵領都から約3000の兵士が門を開けて敵の城攻め組の本陣に突撃する。俺もここぞとばかりに突撃を命令する。

身体強化を使った金剛戦士団がファランクスで城攻め組に突っ込む。文字通りに人が吹っ飛ぶ。その後ろから歩兵隊が突入して傷口を広げて味方の退路を確保する。対して魔法部隊はウォール系魔法で敵の退路を限定する。

魔法部隊のお陰で効率よく敵を殲滅できる。天雷騎兵団も側面から突撃して敵を狩りまくる。敵軍の中にポーズ子爵を発見する。俺は急転換してポーズ子爵の元へ向かう。俺は遠くから中級魔法フレアを放ちポーズ子爵付近を吹っ飛ばす。砂埃がおさまるとそこには倒れたポーズ子爵がいた。それを見た俺は大声で叫ぶ。

「反逆者、ポーズを天雷騎兵団団長アークノイドが討ち取ったぞ」

俺たちの士気は上がり、敵の士気は下がる。

これからはルードルス家の名よりも天雷騎兵団の名を有名にしたい。領軍に名前をつける貴族はいないのでより有名になれると思ったからだ。

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