第11話 組織改革

ローク平原での戦いで歩兵隊20名、魔法師3名が死亡した。俺は戦力補充と戦力増強を兼ねて新たに兵の募集をした。すると、領都と他の村からも募集が来て最終的には5000人の募集者がきた。男爵領には約一万五千人の人口がいるがその三分の一が兵士というのも流石にまずいので俺は1000人を目処に選抜試験をすることにした。


まず、都市の周りで3km走らせて上位2000人に絞る。そして10人組を200個作って10人の総当たり戦を行う。そして上位4人を目安に採用した。


さらに落ちた人の中でも身長170センチ以上の人は給料が4分の3の訓練生として合格にした。

この世界は栄養水準が低いので平均身長が160センチくらいだ。身長が高い奴は痩せていても訓練で肉を食わせまくれば体が太くなりパワーが強い兵士になるだろう。

そうして俺は兵士800人、訓練生500人を採用した。





それと同時に魔法適正検査もした。しかし、今回は全員だと人数が多すぎるので、8歳以上30歳未満に限定した。これは何をやるにしても若い方がいいし、魔法の訓練には何年もかかるからだ。

適正を調べる魔道具はランプ型で、反応がない場合は属性魔法が使えず、明るければ明るい程才能がある。しかし才能が絶対というわけではなく、過去には努力次第で暗い判定が出た人でも大国の宮廷魔法師になった人もいる。



俺は明るめの判定とダブル以上の属性の持ち主を対象にして募集を行ったところ、3000人のうち、1000人が合格して600人が志願してきた。1000人の中には子持ちの女性もいるため、600人と若干少ない数字になってしまった。明るさの判定はかなり甘めにするよう指示したので600人の中から脱落者が出ても仕方ないだろうと俺は思った。



そうして俺は兵士1300、魔法師600、衛兵400を採用した。


俺は兵士と魔法師に魔の大森林の中に大きな軍の訓練施設を作るように命じてレオポルドに総監督を任せた。衛兵たちはローテーションとシフトを大きく変えた。見回り、見回り、非番、休暇の順のシフトで必ず見回りは2人1組で行うようにさせた。今まではかなり杜撰な体制だったのでこれからはきっちりさせたい。なお、休暇の日以外は朝に3km走らせている。雑魚衛兵だといざという時に困るからな。最初は根を上げていた衛兵達も3ヶ月もするとしっかり走れるようになっていた。



ひとまずの新統治に関する仕事を終えた俺はまず豪華すぎる男爵邸をなんとかすることにした。建物自体はおしゃれなだけでそこまで問題ではない。問題は中にある趣味の悪い絵や骨董品だ。俺は気に入った5点を残して全部レーベック商会に売った。なんと合計金貨1500枚になった。平均的な男爵領の税収の1.5倍だ。俺はさっぱりしたこの男爵邸に引っ越すことに決め、すぐに手紙で家族を呼んだ。


次に、俺は教育問題に取り組んだ。この国の教育は大都市に貴族や大商人用の学校があるだけで市民は金銭的に教育など一切受けれない。


俺は5歳から7歳の子供に2年間、初等学校に通わすことを義務化した。もちろん無料だ。俺は進んで通わせるようにするために、昼飯を無料で出すことにした。もちろん、体つきが良くなるように主に肉を食わせる。初等学校は午前に文字や計算などの座学、午後は剣術、槍術、弓術の中から一つ選んで修行させる。

初等学校の後には成績優秀者を対象とした、

文官学校、軍学校、魔法学校を作り、3つまとめて高等学校と名付けた。文官学校では文官になるために、軍学校では兵士になるために教育を行う。魔法学校は魔法適正検査で才能ありの判定か、ダブル以上の属性を持っている人のみ通えることにした。高等学校に通う生徒は軍や文官の一部としてお給料も出した。前世でいう防衛大学のような感じだ。高等学校は5年間通うことになる。卒業後はウチの領軍や文官として働いてもらう。


初年度は約1200人が二入学した。2年後が楽しみだ。


ちなみに十数年後にはルードルス領では平民でも成り上がれるこのシステムのおかげで初等学校では激しい競争が行われる事となった。




俺が家族に手紙を送ってから十日後、家族が男爵領都にやってきた。俺の弟と妹のラックとサラはもう7歳になった。ラックは6歳の時からアルフォンスによる修行を始めている。

サラも風と火に適正があって火がかなり明るい判定だったので魔法の訓練をしている。末っ子のクラトルはまだお兄ちゃん、お兄ちゃんと甘えてくるので可愛い。俺の数少ない癒しだ。


さらに俺は領都周辺にあるスラム街をなんとかすることにした。俺は兵士1000人を連れてスラム街を囲った。そして俺は外に出てくるように勧告してから魔法部隊の火魔法でスラム街を燃やす。すると、2度目の勧告でほとんどの住民が出てきた。スラム街には大人500人、子供300人がいた。大人はある程度の援助をして魔の大森林を開拓させた。子供たちは新たに魔の大森林の中に建物を作り、そこで諜報員として育てることにした。俺は俺がみんなを救ったと毎日何度も復唱させることで忠誠心を持つように洗脳させる事にした。契約魔法では、秘密の秘匿はできても人を奴隷のようにはできない。だから俺は諜報員が裏切らないように徹底的に忠誠心を植え付けさせる。



そして俺は支配者が変わったことを知らしめるために男爵領都をキンブルと改名した。



俺は次にルードルス家の家臣団の組織改革に移ることにした。


まず、文官の方は家宰のバンをトップとしてその下に財務大臣と内政大臣の2人をベテランの中から選ぶ。そしてその下に他の文官を置くことにした。その文官も上から一等から三等文官にわける。今までなんとなくしかなかった上下関係をはっきりさせるためだ。そして財務と内政に分けることで今まで財務と内政の仕事がごちゃごちゃになっていたのをまとめてスッキリさせたい。


軍事関係でも少し改革を進めることにした。

俺は新たに天雷騎兵団を設立し従者たちを加入させた。さらに俺は金剛戦士団を設立し、そこに体格の大きな人を順次投入する。



重騎兵隊である天雷騎兵団の団長が俺で副団長は従者長のレオポルドだ。団員には白の生地に緑の刺繍でルードルス家の家紋のグリフォンを入れたマントを支給した。なかなかにカッコいい。


金剛戦士団は団長がアーサーの代から仕えているカヴァンで副団長は超大柄の若手ダンの重装歩兵部隊だ。俺は褒賞金と男爵の骨董品の売却金で大量に鉄を取り寄せて東村で大きさ160cmの大盾で少し外に対して凸になっているものを作ってもらった。大盾は下が尖っている五角で尖っている先を地面に20cmほど刺せて敵の突撃に対する防御力を上げれるようになっている。金剛選手団にもマントを配ろうとしたが、マントは近接戦で踏んだら危ないと思ったので大盾を白に塗装してその上から赤の十字を描いた。これには特に意味はなく、単に俺のイメージの問題だ。どうしても五角の大盾はヨーロッパ系な感じがする。



俺は歩兵部隊に近代的な階級や小隊、中隊などの規模を導入しようとしたが、敵も味方も導入しておらず、瞬時に戦力を対応させるのが難しいため諦めた。その代わり、100人を最小の単位として100人、500人、1000人隊と名付けてそれぞれに隊長と副隊長を置いた。


魔法師は才能によって数を減らす予定なので今回は特に変えなかったが、かわりに異世界定番の黒のローブを支給した。



ルードルス家の主な武官をまとめると、


天雷騎兵団団長    アークノイド(俺)

     副団長   レオポルド

金剛戦士団団長    カヴァン

     副団長   ダン

歩兵部隊司令官    キース

魔法部隊司令官    ラーナ


今までの従者がバラバラの部隊に配属になったので従者の序列も新たにした。


筆頭従者長  レオポルド

筆頭従者   カヴァン、ダン

従者     1000人隊隊長、500人隊隊長

       天雷騎兵団の団員



2ヶ月後、森の中に作っていた軍の施設が完成した。兵士2000人が住める宿舎に訓練場や食堂が並ぶ。もちろん、森の中なので防御の方も堀や柵で周りを固めている。この施設はオークの生息域の中なので食料には困らない。俺はここを〝合宿地〟と名付けた。これからは街には衛兵がいるので街での仕事がない兵士たちには訓練に徹してもらうことにした。


魔法師たちには本村に1000人泊まれる宿舎を作ってもらい、ラーナに訓練を任せた。ルードルスは領民に対して兵士の割合が多いので、魔力切れの時間帯には畑を耕してもらうことにした。食料を得られる上に体力もついて一石二鳥だ。


天雷騎兵団はバトルホース村と本村を行き来しながら訓練を続けている。



なぜ男爵程度でこんな大規模な領軍を持てるのかというと、食料は基本的に自分達で魔の大森林から狩ってこさせるし、魔物の素材も売って費用の足しにしているから全然金がかからないからだ。魔の大森林さまさまだ。魔の大森林はマナが濃い土地なので魔物を討伐しても仕切れないほど生まれる。だからたくさん狩っても問題はない。


初等学校の義務化をして半年、ついに校舎が完成した。場所は領都の外の貧民街があったところだ。貧民街は俺が燃やし尽くしたので更地になった。そこに俺は学校を建てさせた。近くに魔獣がいないとはいえ、流石に危ないので領都と同じ高さの防壁を作った。


100人1クラスとして12クラス作った。教師は座学を引退した文官や街の行商人などの20名にお願いした。教える内容はこちらが指示した。勝手に変なことを吹き込まないように時折視察も行う予定だ。

実技は衛兵や天雷騎兵団の団員に交代でお願いしている。最終的には引退した兵士の再就職先にしたい。





そして俺はなんやかんやで10歳になった。身長も165cmと大人より少し高くなり、体つきも小さい頃からの肉食でがっちりしている。

俺はあと少しで上級魔法師に到達出来そうなところまで来ている。剣術もレイド流の初級まで修めた。

8歳と9歳の誕生日はアーサーの引き継ぎなどで忙しいかったが、今年はだいぶ落ち着いている。

ローク戦争でラパス王国は大きな痛手を負ったのであれから一年近く経つのにそこまで大きな行動を起こしてない。300人程度の小競り合いならあったが俺の天雷騎兵団が大活躍して大勝利をおさめた。天雷騎兵団はバトルホースの調教が順調にいき60人規模まで成長した。

金剛戦士団も兵士からパワーに優れている300人を選抜してついに重装歩兵としての訓練を始めた。金剛戦士団は大盾に長槍の装備に統一した。剣よりリーチがあるので基本的に剣より有利なはずだ。また、訓練生も無事に兵士へと昇格した。









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