第7話 開拓村

本村の四分の一が開拓村に行ったので本村は静かになった。俺はレオポルドとクリストフを連れて移住者と領兵と一緒にバトルホースの草原に移動した。移住者は全員契約魔法で情報の秘匿を契約した。

予定地に着いた俺たちは、森から150メートルほど離れた場所に村を作ることにした。まずは俺、レオポルド、クリストフが魔物の警戒をする中、周りの木を切り倒してもらった。

1時間もすると50×50メートルほどの空き地ができたのでみんなに家を建てるように指示する。家といっても寮に近い感じだ。


魔の大森林での開拓がうまくいかないのは 

開拓スピードが遅いことが理由の一つだと俺は思う。すぐにしっかりと防衛施設を作らないといけない。


だから俺と領兵たちは木でできたシャベルを使って周りに深さ一メートル、幅50センチの堀をなんとか日暮れまでに作った。もちろんかなり大変だった。俺とレオポルドが身体強化魔法を使って本気で頑張ってやっと間に合ったというレベルだ。掘った土は内側に壁のように積み上げているので防壁のようになっている。これを固めてしっかりとした防壁にしたい。


日が暮れて夜になった。防壁の上に松明をたくさん置いているので魔物は来ないだろうが、それでも魔物の遠吠えを聞くと恐怖に襲われる。俺より野営などした事のない移住者の方が恐怖に陥っているだろう。俺はなんとか寝ようと頑張った。


開拓2日目、開拓者たちに寮を作らせる一方で俺は兵を引き連れて森に入っていた。本村との行き来を楽にするため、道の整備をする。整備をといっても木や枝を切って地面を踏み固めるだけだ。

途中、ゴブリンに襲われた時に怪我人が出てしまった。そいつは今まで戦争に行ったことのない新人だった。今までは戦争に志願する人はだいたい決まっていたので新人とベテランの差が激しいそうだ。俺は、兵を鍛える必要があると思った。


そして本村に着いた俺たちは食料などを補充してまた開拓村に戻った。しばらくは開拓村で直接指揮をとろうと考えている。俺がいない間は基本的にアルフォンスに全て任せている。


2週間後、開拓者たちの寮が完成した。開拓者50人+兵士50人用の寮だ。俺はその間、何もしていなかったわけではない。俺は兵士育成メニューをずっと考えていた。まず兵士50人を10人1班で5班作る。本村に2班、開拓村に3班駐留させ、本村では見回りの仕事を行なって他の時間は休暇にしてある。開拓村では基本的に森で訓練をしてもららう。


開拓村兵士訓練メニュー

6時ー6時30分   起床、朝食

6時半ー9時30分  本村まで1往復(15km)

9時30分ー10時   休憩

10時ー12時    開拓村で訓練

12時ー1時     昼食

1時ー5時     森で魔物討伐

5時ー6時     解体、武器の手入れなど

6時ー8時     魔法訓練、筋トレ

8時ー9時     夕食

9時ー12時    自由

12時       就寝




なかなかにハードな訓練だと思う。アルフォンスに普通の貴族の訓練内容を教えてもらったけどただ剣とか槍の訓練してるだけであまり効率が良さそうではなかった。

俺の訓練メニューでは、朝一に走ることで体力アップと疲れた状態で1日の訓練をする精神力を鍛えられる。そして魔の大森林は常に警戒を怠らずに戦う経験を積める最高の場所だ。さらに、魔石や素材を買い取って兵士たちのボーナスにしている。筋トレは最初は効果が理解出来なかったみたいだが、違う重さのウェイトを用意してやると、みんな競って重たいものを持てるように筋トレし始めた。筋トレが終わったらすぐに夕食でエネルギー補給だ。夕食もなるべく魔物の肉を出すようにしている。この世界では平民は貧しい上にあまり肉を食べないので体格がさほど良くない。体格で相手より有利になって精強な領軍になって欲しい。


兵士は本村と開拓村で1週間ごとにローテーションするのでこの地獄のメニューを3週間やらないといけない。あぁ、大変そうだな。

    


さらに俺は寮ができるまでの間、開拓村の防御力を底上げした。堀を深さ3メートル、幅2メートルまで広げ、防壁の高さも四メートルまで高くした。防御力は本村の比ではない。俺は防壁の上に足場を整えて上から攻撃できるようにした。

また、近くの川から水を引っ張ってくる用水路を作って村の中に通した。堀にも水を入れようとしたが、水棲の魔物がやってくると危ないということで空堀になった。



寮が完成したら俺は兵士に訓練メニューを渡してメニューをさせた。結果、日が暮れる頃にはみんな死んでた。ベテランたちでさえ目が明らかに死んでいた。これが普通になるくらいまで鍛えてほしい。ちなみに、兵士たちの面倒を見ているキースは少し疲れたくらいでまだ全然ピンピンしていた。流石にこれには俺も引いた。


開拓民たちには次に、防壁の外に300×300mの柵を作らせた。柵の高さも万が一を考えて3mある。ここを牧場と名付けた。

俺は早速牧場に3匹のバトルホースを放した。ちなみにバトルホースは雑食で草から肉までなんでも食べる。俺以外の人間が近づくことに少し心配していたが、問題なかった。魔物ということもあり、最初は開拓民から怖がられていたが、1週間もすれば怖がらなくなっていた。


兵士が森に行く時はバトルホースの卵優先で探索させている。バトルホースはこの時期しか卵を産まないのでできる限り数を確保したい。



俺は柵が完成してから1週間もすると開拓村が落ち着いてきたため、本村に戻ることにした。


俺はさらに戦力を拡充すべく、本村で全員に魔法適正検査を行った。この世界の貴族は自分で魔法師を育てるということをしないため、平民に魔力適性検査などしない。俺は前世のお陰でこの世界の常識にとらわれずにこの事を実行できる。


俺が魔法適性検査をすると、90人に属性魔法の適性があってその中から若い人を40人を集めて魔法部隊を作った。若い方が魔法を習得しやすいからだ。兵士の時もそうだが、なぜこんなにもみんな軍人になってくれるのかというと、兵士はこの村の水準では高給取りだし、何より手柄をたてて出世できるのが大きい。平民は出世のしようがないので、親も喜んで送り出す。


俺は魔法部隊にも地獄の育成メニューを考えた。

7時ー7時半  起床、朝食

7時半ー9時  魔法訓練

9時ー12時  勉強

12時ー1時 昼食

1時ー3時   勉強

3時ー5時   体力作り

5時ー6時   自由

6時ー7時   夕食

7時ー9時   魔法訓練

9時ー12時  自由

12時     就寝




開拓村の兵士に比べると楽に思えるが、魔力回復速度が最初は遅いから仕方がない。魔力量が増える度にどんどん訓練時間は増やしていくつもりだ。

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