第6話 希望のバトルホース
公爵領都を出発して村に帰ってきた。村の入り口に着くと母さんと双子達、それと知らない人が2人で出迎えてくれた。
「お前たち、元気にやっていたか?」
アルフォンスが知らない2人に話しかける。
「ええ、元気です。向こうでそれなりに有名になって帰ってきました」
「もちろん、元気ですよ、お父さん」
ん?お父さん?あ、この2人が叔父さんと叔母さんか!
「はじめまして、叔父さん、叔母さん。ルードルス・アークノイドと言います」
「よろしくね。それにしても兄さんそっくりだ。」
「そうね、でも血縁上は叔母さんだけどまだ若いから〝お姉さん〟と呼んでいいのよ」
叔母さん改めお姉さんの顔が笑ってない。
他の人が退散していく中、俺とアルフォンスは2人の話を聞いていた。
キースはグラン流剣術上級、レイド流剣術中級の大剣使いで、ラーナは上級魔法使いだ。2人共その若さでかなり優秀なようだ。
ラーナは王国最大の未踏破ダンジョン、キースはドラゴンがいるダンジョンにいたらしい。
パーティーをもう抜けてきたから今すぐ働けるそうだ。俺としてはありがたい人材だ。
ラーナとキースという嬉しい誤算があった俺は次の日、ラーナ、キース、レオポルドの3人で魔の大森林に入った。
森は木がまばらに生えていて色々な種類の草が生い茂っていた。
しばらく先に進むと、緑色の魔物が現れた。そう、異世界定番のゴブリンだ。俺は素早くウィンドボールをぶつけ仕留める。ゴブリンは声をあげる事なく絶命する。残りの二体もこちらに気付いて声をあげるがキースがすぐに仕留める。初めての魔物との戦闘はすんなり終わった。初陣を済ませたおかげか、あまり魔物に怖気付いたりはしなかった。
それからゴブリンから魔石をとってアンデット化しないように燃やして死体を処理する。
俺たちが先に進むと薄緑色の狼に囲まれた。
フォレストウルフだ。フォレストウルフは巧みな連携で俺たちに迫ってくる。俺は最近習得したウォーターウォールで後方の安全を確保する。ラーナが杖を掲げると中級魔法の
アイスランスが4個形成され敵に向かって飛んでいく。前方の敵を片付けたので俺はウォーターウォールを解除するとレオポルドとキースが突っ込んですぐに処理する。俺はウルフのテイムが頭に浮かんだ。
この世界にはテイムなどという都合の良いものは存在せず、基本的に調教しないといけない。魔物の調教は難しく、調教されるのは全く攻撃しないサイみたいな魔物のガーライドとダチョウみたいな鳥、ドードーだ。地球のドードーみたいなミニサイズじゃない。
最初はドラゴンに乗ってみたいと思った事もあり、アルフォンスに話すと調教するのに国一つ分の調教師が食われるとアルフォンスにバカにされたことがある。
ん?待てよ。そもそも調教する必要はないんじゃないか。前世の知識に辛うじて刷り込みが残っていた。あ、これいけそうだわ。
ルードルス家には馬が一頭しかいない。魔物なら大抵のものを食べるから餌代も安いし、
何より魔物は馬より強いし魔法も使えるかもしれない。武田の騎馬隊、超強かったらしいし最強のルードルス騎馬隊作ってみたい。
俺が馬みたいな魔物について聞くと、魔の大森林のフォレストウルフやゴブリンの生息地の奥に今より木がまばらにが広がっているという。そこに、バトルホースという馬より少し大きい魔物がいるとレオポルドが教えてくれた。俺はそこに案内してもらうことにした。
俺たちはレオポルド先導の下、森を進んだ。3時間くらい進むと少し開けた場所に到着した。ここがバトルホースの生息地だ。
「今からバトルホースを狩る。だけど、狩るのは卵を守ってるやつだけにしてくれ。」
バトルホースを狩り過ぎていなくなったら元も子もない。しっかりと管理したい。
お気づきの方もいると思うが、この世界では馬が卵から生まれてくる。というより、ゴブリンのような人型の魔物でない限り基本卵生らしい。
3人は俺の指示に困惑したが、俺は後で説明すると言ってみんなを納得させた。
俺たちはバトルホースを探しまくった。かなりの数のバトルホースがいるが、卵を守っているとなると全然見つからない。俺たちは1時間かけてようやく念願の卵を見つけた。卵の3個をメスが守ってる。雄はいないようだ。
俺たちは速く決着をつけるべく俺とラーナの魔法で瞬殺した。俺は卵を布でくるんで背中に背負った。
「アーク、バトルホースは人間に懐かないよ」
「それがさ、懐くかもしれないんだよ」
俺はキースの忠告を流し、村へと戻った。
俺は、卵から目を離さないように俺の執務室に置いて、朝晩2回、魔力を注いだ。その甲斐あってか3日後に3頭とも孵化した。
三頭とも俺を親だと信じて攻撃してこなかった。刷り込み成功だ。俺はラーナとキースを呼んでバトルホースを見せびらかした。
2人ともめちゃくちゃ驚いていた。俺は、2人にバトルホースを飼育してバトルホース部隊を作る計画を話した。2人は大賛成で、成功すれば心強い戦力になると期待していた。
俺は黒いバトルホースを俺のバトルホースにしてラテン語で黒を意味する〝アーテル〟と名付けた。
まず、キースにはバトルホースの草原の開拓をお願いした。王国の法律では魔の大森林などの魔物が多い土地は例え平民でも開拓したら開拓した人の土地になる法律がある。だけど殆どが失敗に終わるらしい。俺は絶対成功させるために簡易要塞を建てるつもりだ。
ラーナにはバトルホースの飼育をルードルスで独占するために、秘密を守らせる契約魔法を使える人を探してもらおうとしたが、何とラーナが擬似契約魔法を使えたのだ。
契約魔法は闇魔法の呪いの部類に入る。
契約が守られないと呪いがかかって最悪死ぬというものだ。実際、この世の殆どの契約魔法がそうらしい。
しかしラーナは光魔法で神に宣誓するというかたちで擬似契約魔法を使えるらしい。前者との違いは光魔法の場合、内容が簡単な物しか使えないが、破ることができない。探索者は取引などで契約魔法は必須だから光魔法の契約魔法を覚える人が多いという。
開拓村に行く30人と領兵50人
俺はすぐに募集を出した。
領兵はより戦争で活躍できるように常に森で鍛えさせるために同行させて職業軍人にする。領兵の方は今までの戦争で活躍した人や体格がいい人に声をかけたところ全員が快諾してくれた。
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