第3話 修行

朝は魔法修行だ。先生は祖母のエミリーだ。エミリーは火と風が強い光で昔、アルフォンスと傭兵をやっていたらしい。

傭兵は傭兵ギルドに、冒険者は冒険者ギルドに所属している。この世界のギルドは、ラノベのような国を跨いだ組織ではなく、国や貴族が運営していて、自分の所の兵士で捌ききれない問題を依頼すると共に、強い人を見つけスカウトする仕組みらしい。こんな多くの国が群雄割拠している世の中で大陸規模の組織なんて難しいので納得の事情だ。



始めは魔力を感じる訓練だ。心を落ち着かせて、腹の中に何かがあるのを感じる訓練だ。

普通は1ヶ月から2ヶ月かかるものらしい。

俺は、異世界あるあるの丹田に魔力があるに期待しながら魔力を感じる訓練を始めるがなかなか変化がない。

俺は4時間かけてようやく何か腹にあるのに気づく。たぶん、気のせいじゃないはず。俺は初日にして魔力を感じられた。しかし、俺は魔力に気づいただけで、まだしっかりと感じたわけではない。魔力の暖かさを感じたら成功らしい。



午後からは体力作りをした。まず、家の周りを何周も走り回る。その後、ダッシュをして筋トレをする。特に腕の筋トレをしないと剣の修行ができない。筋トレは遠くから見ていたアルフォンスに不思議がられた。この世界には筋トレという概念がないようだ。俺はなんとなく誤魔化しておいた。


初日の訓練を終えたら俺はぐっすりと寝た。





修行を始めて半年が経った。

2週間ほどで魔力を完全に感じて、今は魔力を体内に自由に巡らせる訓練を終えたところだ。魔力操作は魔法の発動スピードや消費魔力に大きく関わるのでこの訓練は一生する必要があるが、ひとまずはこれで大丈夫だそうだ。今は魔力を放出する訓練の最中だ。速くて3ヶ月くらいで習得できるらしい。いよいよ魔法らしくなってきた。


体作りは始めて3ヶ月ほどで、剣の修行をできるくらいまで成果が現れた。

俺は憧れの日本刀を使いたかったが、刀はあまり普及していないらしい。金属や魔物のフルプレートが主流のこの世界で西洋剣の方が鎧に当たった時ダメージを与えられるからだろう。だから俺は仕方なく剣の修行をすることにした。先生はアルフォンスだ。


剣の修行といっても基本はずっと素振りだ。

最初は飽きるかもしれないと思っていたが、どんどん洗練されていく感じがたまらないので今のところ大丈夫だ。

ちなみに今日からは弓の訓練も始まる。というのも、体作りのために肉を食べる必要があるのだが、この世界では肉はあまり食べないらしい。というのも、肉はかなりの高級品などでウチのような下級貴族には手が届かない。だから俺は森で魔獣の肉を手に入れることにした。そこで狩りでは弓が手っ取り早いので弓も教えてもらう。

最近の目標は

〝毎日肉を食べて目指せマッチョ!〟




この半年で父アーサーは戦争に行っていた。

アーサーは別に剣に素質があるわけではないが、アルフォンスの厳しい訓練でかなり強いらしい。

アルフォンスはルードルス家の初代当主で前国王から名誉騎士の称号を貰うほどの強者だ。

騎士には王国騎士と地方騎士の2種類があって王国騎士は国王がにんめいし、地方騎士は

貴族が任命する。王国騎士は地方騎士より圧倒的に強いし、待遇もいい。ただ、中には侯爵クラスの地方騎士だと王国騎士並みに強い人も多いそうだ。

名誉騎士は王国騎士と同等かそれ以上に強く、大きな手柄をたてた貴族に与えられる。つまり、名誉騎士の人は圧倒的武闘派貴族というわけだ。



俺は修行に明け暮れて6歳になった。この一年は修行でずいぶん鍛えられた。半年前から罠を使って獣を獲って食べているので体格もだいぶ良くなった。慣れてしまえば弓より罠の方が作って放置できるので圧倒的に楽だ。

剣術はあと半年くらいしたら、基礎中の基礎が終わり正式に流派としての剣術を学ぶ。

この国には大きく分けて3つの流派がある。

比較的大きな大剣を使う冒険者に多い力強いグラン流、比較的片手でも扱えるような、細いロングソードを使う兵士に多いファーレンス流、ロングソードを使う防御特化のレイド流だ。

俺的には大振りなグラン流ではなく、レイド流かファーレンス流がいいと思う。いずれ、俺だけの刀の流派、アーク流を作ってみたい。


それぞれの流派には、初級、中級、上級、

将級、王級、帝級、神級の七段階がある。優秀な人でも将級になる頃には30歳から40歳らしい。

アルフォンスは25で将級になって全盛期は王級だったらしい。ちなみに将級になると道場を持てて、最年少記録は13歳だ。200年前から変わってないらしい。どんな化け物だったのだろうか。

上級は大都市の道場、将級以上は王都でしか昇級試験をやってないので俺もいつか受けてみたい。


魔法面でも成長があった。まず、魔力の放出ができるようになった。魔力の放出ができるようになったので俺は毎日魔力を使い切るようにした。そう、異世界あるあるの魔力量の増大を期待してる。これは意外と成果があった。毎日少しずつだが魔力量が増えている。さすがラノベ様だ。放出がある程度できるようになったので今は属性魔法に取り掛かっている。


属性魔法は想像次第でオリジナル魔法を作れる。しかし、魔法は長い歴史を持つのでファイアボールなどの基本的な誰でも思いつきそうな魔法は初級、中級、上級、超級、特級、王級、神級の7段階にランク分けされ広まっている。普通の人頑張っても上級魔法が一つ使えるレベルらしい。魔法師のレベルも使える最高位のランクで7つに分けられる。


大体の魔法師は上級魔法師として一生を終えるらしい。ちなみにエミリーは超級魔法師で俺は驚いた。



7歳になった。この一年も訓練に明け暮れた。今年は鎧一式を貰った。鎧一式をもらうのは初陣をしろという意味だ。俺は初陣に出れるレベルまで成長した。

また俺に新しい弟ができて名をクラトルと俺に命名させてくれた。自分の考えた名前は愛着がわく。もちろん、クラトルも赤髪だ。


そして7歳になったので俺は貴族の長男として領地経営を学び始めた。先生は家宰のバンだ。

家宰は、貴族の文官家来の中で一番偉い人だ。武官で偉いのは従者長になる。

学ぶといっても授業をするわけではなく、

バンが説明しながら自分の仕事をしているのを俺が見て覚える仕組みだ。領地経営って楽そうだと思っていたけど、かなり書類仕事ある。ベリーハードだ。


この一年でファーレンス流剣術の初級を修めた。まだまだ実戦が足らないが、一通りはできたので合格としよう。


属性魔法に関しては初級魔法のファイアボールとウィンドボール、ウォーターボールを習得できた。まだ発動スピードや消費魔力が多いが、どれか一つでも覚えておくと接近戦でかなり有利になるので実戦でも使っていきたい。


魔法に正式な名前はなく、昔の人がそれっぽい名前をつけて弟子達に教えたらしい。詠唱も、自分達がイメージしやすいように勝手に言ってるだけで、上級者になると普通にアレンジしている。教本には一般的に発動しやすい呪文が載っている。

中には特定の呪文を詠唱しないと発動しない古代魔法も存在する。今まで古代魔法らしき呪文は多く見つかってるが、そのほとんどが解読されていない。解読しても、貴族家が独占している。


属性魔法以外で覚えたのは、身体強化魔法だ身体中に魔力を巡らせる魔法で普通は1.5倍ほどしか強化できないが、俺は血管と筋肉を意識することで2倍まで強化できた。現代医学のおかげでチートじゃんと喜んでいたら、5倍以上強化できる人もいると聞いて俺は少し落ち込んだ。


剣と魔法の稽古は従者長の息子のクリストフと一緒にするようになった。クリストフは10歳でもうすぐファーレンス流剣術の中級を修めようという段階だ。これは比較的優秀なレベルだろう。魔法は闇に才能があって土も少しだけ使える。ダークボールとアースボールを使える。貴族でもないのにダブル属性とは素質がある。

 

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