新たな出会いは災いのもと

「そして、今日から新たな高校生活が始まりますが…」


長ったらしい先生の話は、眠くなるのがお決まり

いやでも口がひらいて、目から涙が出る


「それでは、起立!」


ガタガタッ


(やっと終わった)


私達新入生は、渡り廊下から見える中庭の桜を横目に

新たな教室へと向かう


教室では自己紹介をしたり係を決めたり

担任の先生の話もほどほどに

プリント等を配られて、何事もなく入学式は終わった


…はずだった


「それでは、終わりにする

 あ、保健係の立川は保健室で先生と顔合わせしてから帰ってくれ」


「あ、いきなりですか?」


「明日から早速体育があるんだ

 念の為、包帯の場所など聞いておいてくれ」


「…わかりました」


気分が下がるほどではないが

ぶっちゃけめんどくさい気はする


(保健係なら、勝手にベッド使えると思って立候補しただけなのに)


保健室があるのは2年生の校舎

1校舎、2校舎、3校舎とあり

それぞれに1学年と理科室や音楽室がある


(2校舎の一階一番奥だから、この部屋のはず)


目的の保健室の扉を開けた


パシンッ!


何かを叩いたような乾いた音が、いきなり耳に飛び込んでくる

それと同時に


「なんでそんな言い方するのよ!!」


「興味ねぇもんはねぇ」


「あんたなんか、好きになんなきゃよかった!」


「うわ!」


中にいた女性は部屋から飛び出すと

私の肩とぶつかったものの、そのまま走り去っていった


(え、なんで私がこかされにゃならん?)


「災難だったな」


「あ…」


嘲笑いながら、声をかけてきた人物に目をやると

それは


「自称イケメンのナルシストバカ」


「なげぇし、ナルシストじゃねぇイケメンは事実だ」


「でもフラれてしばかれてた」


「俺がフったんだよ!」


「かわいそ」


「しらねぇよ、勝手に気持ち押し付けてくる方が悪い」


このバカと再開するとは思っても見なかったし

むしろ、したくなかった

しかも、こんな場面気まずすぎる


(神様ってほんといじわるだよな)


「いッ…」


立ち上がろうと手をついた時だ

先程の衝突から尻もちをつく際に、手をひねったらしい


「どした」


「いや、なんでも」


なんとなく、この男には言ってはいけないと

私の本能が言っているので黙ることにする


「それより、先生は?」


「ずっと前からいねぇよ」


「え、そんな…」


とりあえず、職員室に先生を呼びに行くことにした

のだが…


「ちょっとまて」


「痛いぃぃ!な、なに」


「やっぱ手首やってんじゃねぇか」


「え、いや大丈夫」


「いいからこい」


「ちょっと!」


ガラガラガラ…


なんなんだこいつは…







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天邪鬼もいいところ @so2wo_1230

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