第28話
そう考えて押し黙っていると貴久はあたしの前を歩き出した。
「いいの? エマがなにかするかもしれないよ?」
あたしはその後ろ姿に声をかけた。
「大丈夫。それよりも、エマちゃんがここで何を見たのか聞いてみたいんだ」
それは、あたしもそう思っていた。
ただ知るのが怖くて、逃げていただけだ。
「……わかった」
あたしは小さな声で返事をして貴久の後を追い掛けたのだった。
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