第11話
「ヒッ!」
自分にしか聞こえないような小さな悲鳴が漏れた。
視線の先にいる白いワンピースの女はずっと俯いたまま立っている。
さっきまで確かにそこには誰もいなかったのに……!
ワンピースには赤い模様がちりばめられていて、そこから出ている手足は異様なくらい細くて白い。
コレは、生き物ではない!
咄嗟にそう感じた。
目を合わせちゃいけない。
今すぐここから離れないといけない。
そう思えば思うほど足は頑なに動かなかった。
視線を女から外すことだってできなかった。
あたしはエマの手をきつく握りしめる。
そして次の瞬間女がバッと顔を上げた――…。
「はっ!?」
大きく息を吸い込んで目を覚ました。
心臓が早鐘を打っていて、全身に汗をかいている。
窓から差し込む朝日が部屋の中を照らし出していて、それを見ていると徐々に呼吸は落ち着いて来た。
「なに、今の夢……」
あたしは手の甲で額に滲んだ汗をぬぐい、そう呟いたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます