第11話

「ヒッ!」



自分にしか聞こえないような小さな悲鳴が漏れた。



視線の先にいる白いワンピースの女はずっと俯いたまま立っている。



さっきまで確かにそこには誰もいなかったのに……!



ワンピースには赤い模様がちりばめられていて、そこから出ている手足は異様なくらい細くて白い。



コレは、生き物ではない!



咄嗟にそう感じた。



目を合わせちゃいけない。



今すぐここから離れないといけない。



そう思えば思うほど足は頑なに動かなかった。



視線を女から外すことだってできなかった。



あたしはエマの手をきつく握りしめる。



そして次の瞬間女がバッと顔を上げた――…。



「はっ!?」



大きく息を吸い込んで目を覚ました。


心臓が早鐘を打っていて、全身に汗をかいている。



窓から差し込む朝日が部屋の中を照らし出していて、それを見ていると徐々に呼吸は落ち着いて来た。



「なに、今の夢……」



あたしは手の甲で額に滲んだ汗をぬぐい、そう呟いたのだった。

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