夜空
雨宮吾子
夜空
秋ともなると夜空にたくさんの小魚が泳ぎ始めるものだが、その日ばかりは少し事情が違って鯨のように大きな星雲が空を圧するものだから、ナイトフィッシングの釣果も散々なものだった。波にさらわれてはならないと子供たちに注意を促しつつ、自分自身もグリップシューズの働きを確かめながら堤防の上を歩いていく。爪が水色の子と舌が緑色の子とが、いつの間にやら行進の列からはぐれてしまった。それを悲しむことのない時代である。そもそもナイトフィッシングに来るというのはそういうことだ。彼らが星雲の一部となって我らを守護し給うとき、我々もまた大地を行く者の一人として彼らに祈りを捧げる。それが、私たちの生き方なのである。
夜空 雨宮吾子 @Ako-Amamiya
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