第3章 番外編② エーベルの初めてお仕事(クエスト)をする
そして、昼食が終わって飛行可能な3組5名が集まっていた。そして、フロッケはみんなに伝える。
「先ほども言ったが、我々が先行部隊となって敵の盗賊団の事前調査を行う。場所が近くなってからの飛行には十分に注意するように。
おそらく、夜には全員集まれそうなので、少し休憩の後、敵の盗賊団に夜襲を仕掛けることになると思う。」
フロッケの言葉に皆が頷いた。
エーベルは服を脱ぎ捨ててドラゴンの姿になる。
「そういや、完全なドラゴンの姿は初めて見ます。あああ。なんと美しいことでしょうか。
これはなんと言いますか、一言でいうと、『推すしかない!!!』ということですじゃ。」
「なんでも良いから早く乗れ!」
フロッケが謎の感動を覚えているときに、エーベルは幻想を打ち砕くかのように催促するのである。
エーベル達はかなり速いスピードで1時間ほど飛行した。
森の中の比較的大きな川があり、そこでみんな降り、川沿いを進んでいくことになった。すると広めの河原がありそこに建物が立っていた。
かなり立派な木造建築物と石造建築物であり、建築技術の優れたものも盗賊団の中にいるみたいである。
「くっ、石造建築物が増えているみたいじゃのう。これは人数も増えていると見たほうがよさそうじゃな。
では、みんな、いろいろと状況を探ってくれ。その後、作戦を立案するとしよう。」
フロッケの言葉に、エーベル以外は頷いていた。しかし、エーベルはちょっと違っていて、周りの雰囲気に意識を集中していた。
「うん。これくらいなら平気かな?
ねえ? 建物は壊しちゃっても良いの?
やっぱり殺さないほうが良いよね?」
「え? 何が平気なのですか?
こんな場所まで管理はできないので確かに建物は壊しておいたほうが良いですね。また、良からぬものが棲みついてしまいそうじゃ。
一応、Sランク犯罪者集団なので最悪死んでしまってもしょうがないですし、こちらの罪に問われることは無いですが、出来るだけ殺さずに処罰を科せるようにしたほうが良いです。
って、普通に答えてしまいましたが、何をするつもりですか?」
「わかった。
たぶん、大丈夫だと思う。」
エーベルは一言だけ残して建築物に向かっていった。ちなみに尻尾あり人間バージョンになっている。
そして、建物近辺を見回っている二人のうち、ひとりに対して問答無用で攻撃を仕掛けた。
『ドゴッ!!!』
まずひとりは気絶した。
エーベルは文字通り正面突破を仕掛けていったのである。それもひとりで。
「!?」
もうひとりは、何が起きたかを理解することも無かった。
『ボコッ!』
これまた鈍い音がして、見回りふたりを瞬殺で気絶させたのである。
『ゴゴゴゴゴゴゴ!!!』
エーベルは特大のファイアーボールを3発ほど木造の建物に放った。もちろん建物は火の海になって燃え盛る。
「なんだ?! 敵襲か!?」
燃え盛っている木造の建物や、石造の建物からわんさかといろんな種族が出てきた。そしてエーベルに向かって魔法や物理攻撃を仕掛けてくるのである。
しかし、エーベルには有効打となる攻撃は当たらなかった。そしてエーベルは気絶したいろんな種族の者の山を築き上げていく。
フロッケと後の3人は何が起きているのかも分からずに10分ほど惚けていた。
そしてフロッケが我に帰り、
「はっ! と、とりあえず我々も行くぞ! でも、ベル様の邪魔はせぬように気絶した者どもを起きても大丈夫なように縛り上げるとしよう!」
そして1時間程度エーベルは盗賊団のいろんな種族と格闘していた。そして、約40人の全員をだれ一人殺すことなく気絶させてしまったのであった。
建物も木造建築のほうはかなり焼け落ちてしまっている。しかし、石造建築に関しては少しだけ破壊されているがほぼ残っていた。
完全に盗賊団の拠点は壊滅してしまった。エーベルひとりの働きによって。
「とりあえず、全員気絶させておいた。
あ、こっちの建物も壊したほうが良い?」
エーベルは何事もなかったかのようにフロッケに質問をした。
「………。」
フロッケはまだ何が起きたのか理解することが出来ず、ボーっと突っ立っていた。
「ねえ? 聞いてるの?」
「はっ、すまぬのじゃ。いったい何が起きておるのか頭がついていっておらぬので。
とりあえず、建物はそのままで良いです。盗品を押収する必要もありますから。その後の処置は冒険者ギルドに任せるほうがよかろう。」
『ドン!』
エーベルはフロッケが回答するや否や、いきなり川のほうへ突き飛ばしたのであった。
『ゴゴゴゴゴ!』
空にファイアフレアを放って、そして自分もジャンプしてその場から離れた。
『シュシュシュッ!』
ファイアフレアから逃れた矢が何本か地面に刺さったのであった。
「なっ、何事じゃ?」
ただでさえ状況を飲み込んでいないフロッケは、さらに突き飛ばされて気が動転していた。
「ちっ。外したか。」
エルフのグループ8人が拠点に現れた。恐らく盗賊行為をして帰ってきたところといったところみたいである。
「なっ! お主はレベル150超えのS級犯罪者のエルフではないか! この盗賊団に合流しておったのか? これはかなりやっかいじゃな。」
「あーあ、派手にやっちゃってくれちゃいましたね。それにたった5人にこのありさまですか?
もっとやる盗賊団だとおもってましたが恥ずかしいですねぇ。
まあでも、ってことは、この5人を倒してしまえば逆にここのトップになれるっていうことで良いんですかね?」
8人のリーダー格のエルフが如何にも小物感溢れることを言いながら、エーベルたち5人に近づいてきた。
フロッケは河原から上がって、エーベルたち冒険者ギルド5人と、エルフ8人が対峙することになった。
まず、エルフのリーダーが口を開く。
「まあ、君たち5人もなかなかやるようだけど、オレのレベルは160あるし、ほかの7人も100前後だ。
8対5だと勝負にもならんような気もするけど? このまま逃げるっていうんなら今回は見逃してあげても良いけどね?
どうするよ?」
この挑発めいた言葉にフロッケが反応する。
「ここは5人で協力してあいつらを撃ちましょうぞ! 他の7人は4人でなんとか凌いでおくので、ベル様はあのリーダーを先に倒してもらっても良いじゃろうか?」
「ううん、あれくらいなら平気。
むしろ、危ないから離れてて。
捕まえた人たちが逃げないように見張ってて。」
「いや、流石にこの8人をひとりでは危険なのじゃ!」
ふたりのやりとりにエルフのリーダーが言葉を発する。
「アッハッハッハッハ!!!
俺たちをお嬢さんひとりで相手するっていうの? いくら最強のレッドドラゴンでもそれは舐めすぎでしょ?
っていうか、逆に気分が悪いわ! お望み通りお嬢さんから片づけてあげよう!」
「あっ、自分に集中してくれるんだ?
それはいろいろ手間が省ける。
ありがたい!」
エルフたちは各々風の魔法や氷の魔法を解き放つ。そして格闘も仕掛けてきた。
『ドゴッ! バギッ! ズンズン! ………。』
鈍い音があたりに響き渡っていたがそれも数分で止んだ。
そしてそこに立っているのは当然のことエーベルである。エルフ7人は地面とお友達になっていた。
「なっ??? おのれ許さんぞ! フリーズボール!」
エルフのリーダーは巨大な氷の塊を発生させていて、それをエーベルに向かって投げ込んだ!
しかし、エーベルは特に避けようともしなかった。このままでは直撃は避けられない。
「べ、ベル様!」
フロッケの言葉が響き渡る。
『ドン………。』
氷の塊は地面にぶつかり水蒸気をあげていた。
「ふっ。やったかな!」
エルフは一言漏らしてドヤッている。しかし、こういうときは決まって死亡フラグが建つものである。
「ダメだよ。
いきなりこんな大技は。
隙だらけ。」
エーベルはボソッと言いながら水蒸気の中から現れた。その後、エルフの顎を蹴り上げてそのまま宙返りをした。
『ドン!!!』
当然だが、エルフは5メートルほど宙へ舞い、エーベルはすかさずジャンプして今度はエルフの頭を地面に叩きつけた。
『ドカッ………。』
またまた鈍い音がして、頭から地面にめり込んでしまった。
「ふう。
これでおしまいかな?
もうちょっと強いのかと思ったのにな。
まあ、良い運動になった。」
戦闘が始まって10分程度。またまたエーベルがひとりで盗賊団の懸賞金が掛っているリーダークラスを壊滅させてしまったのであった。
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いよいよ第三章を書き上げました!
公彦の実際の仕事の話です!
エーベルの仕事の話もあるよ!
たくさんのPV、イイね、ブクマ、そして何より☆をお願いします!
みなさんの力でこの作品を押し上げてやってもらえると嬉しいです!
どうぞ、よろしくお願いします!!!
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