第3章 番外編① エーベルの初めてお仕事(クエスト)をする

 公彦、エーベル、フロッケの3人は冒険者ギルドと商業ギルドへ登録し、初めてのクエストを受領するためにまずは冒険者ギルドへ来ていた。


 そして公彦は言った。


「冒険者ギルドのクエストはふたりに任せちゃって良いかな?」


「うん。良いと思う。

 きみぃは自分の得意なことをすると良い。

 私、ここのなら得意。

 いっぱい稼いでおくね!」


 エーベルは快く受託した。そして公彦は商業ギルドへ向かった。


 その後もエーベルはクエストをいろいろと眺めていた。そしてあるクエストを見つける。


「ねえ、あれはなに?

 金貨10枚。」


 そう言いながら、エーベルはフロッケの腕をゆすった。


「うっひゃー! ベル様の可愛らしい手が儂の腕を!! 暫くは洗いません!」


「いや、洗えよ。

 いちいちキモイし。

 で、金貨10枚のやつは?」


「し、失礼しました。あまりにも尊すぎて取り乱してしまいました。


 盗賊団討伐のクエストじゃな。ここらや、人間族中心の他種族連合から流れてきた強者どもがこの国と王国の国境付近の森に棲みついてしまってな。


 ドワーフやオークの村が襲われたり、この国から辺境伯へ向かう荷台が襲われたりしておる。


 いろんな冒険者が討伐に向かったが、ことごとく返り討ちにあっておるのじゃ。そうこうしておるうちに向こうの人員も40人くらいになって、レベル100クラスもごろごろとおる。


 各ギルドや各種族の街、さらには辺境伯領からも報奨金が上積みされていまや金貨10枚に膨れ上がっておるというわけですじゃ。」


「あれを受けるにはどうしたら良い?

 金貨10枚あったら当面は生活できる。」


「た、確かに金貨10枚あったら3人で宿屋暮らしでも3~4か月は余裕で暮らせると思いますが、あれは流石に無理ですじゃ。」


「でも、レベル150なんでしょ?

 ダメなの?」


「ううっ、そんな目で見つめないでくだされ。確かに儂はレベル150になってレベル的には受託可能になっておるが、パーティーメンバーが最低15人必要のクエストじゃ。」


 そうこうやりとりしていると、明らかにモブであろう冒険者3人組がフロッケの周りにやってきた。


「フロッケの姐さん! ご無沙汰しております!」


「おう! お主たちか。久しいのう。」


「姐さん。討伐クエストにご興味が? 実は我々も全員レベル80を超えてとても強くなったんです!


 もし、姐さんがこのクエストをやるっていうなら、ぜひとも参加させてください!」


「あの盗賊団が結成されてから約3年弱、最初は護衛のクエストが多くなって嬉しかったんですが、最近ではいつになったらあの盗賊団を壊滅するのかと各方面に言われて肩身が狭い思いをしていたんです。


 本当に無能無能と蔑まれています。なんとかしたいと思っているのは我々だけじゃないはず!」


「あ、いや、別にそういうわけでは………。」


 モブ冒険者ふたりに声を掛けられたが、困り果てるフロッケである。すると、もうひとりのモブ冒険者が口を開く。


「姐さん。そちらの可愛らしい方は誰ですか? 監視任務をしているって聞きましたがその方で?」


「ばっかもーーーん! あんな下賤なものと一緒にするな!


 こちらのお方はエーベル様。儂が唯一認め、お慕い申し上げている方じゃ。ちなみに同担は認めんからな。


 お主たちは引き続き、儂を推しておれ!」


「もちろんです! 我々はフロッケの姐さん一筋ですから!」



 モブ冒険者3人は一同に声を挙げた。そしてモブ冒険者ひとりはまた声を挙げる。


「みんな! フロッケの姐さんがいよいよあの忌まわしき盗賊団の討伐を検討されている。みんなはここでヒヨッたりしねえよなぁ???」


「うおおおぉぉ!!!」


 大勢の冒険者たちがモブ冒険者の煽りに対して気勢を挙げていた。


「あ、いや、じゃからのう………。」


 明らかに困っているフロッケだったが、エーベルも黙ってフロッケを見つめていた。


「ベル様まで、そんな目で儂を見つめないでくだされ………。


 あ、いやでも、確かにここにおるものはレベル100前後も多い。それにベル様はレッドドラゴンでレベル200超えの戦闘のプロフェッショナル。


 儂とベル様がうまく協力できれば壊滅までは行かなくても半壊くらいまではダメージを負わすことができるかもしれん。


 そうなれば、盗賊団の活動が大きく減ることになるやもしれんし、少しは汚名返上できるというものか?」



 フロッケがぶつぶつと独り言を言っていると、ギルドの受付のお姉さんがやってきた。


「フロッケ様がこのクエストのリーダーとなって頂けるのであれば、ギルドとしてもとても心強いです!


 先ほど、上のものとも話してきましたが、盗賊団を壊滅できれば申し分ありませんが、一部ダメージを負わせることが出来たとしても、部分的に報酬を出すことが決定されました。」


「うおおおぉぉぉ!」


 ギルドにいた冒険者たちは大いに盛り上がっていた。ここはフロッケの最後のひとことを待っている雰囲気である。


「ふむ。ではやるとするか! 皆の者、儂に続くがよい!」


 冒険者ギルド内はそれはもう興奮の渦潮となっていった。



 結局のところ、32名が集まった。中にはレベル100超えの冒険者も数人参加してくれていた。


 そして冒険者ギルドの近くの公園にみんな集まっていた。そしてフロッケがみんなに鼓舞をつける。


「うおお! これだけの戦力であればかなり良い線までいけそうじゃ。壊滅は無理でも当面の活動を抑えられそうじゃわい!


 いやはや、これで無能ギルドの汚名を少しは返上できるというものじゃ!


 皆の者、存分に活躍してくれ!」


「おおおぉ!」


 フロッケの言葉に皆が声を挙げる。



「良し、まずはギルドから昼食の差し入れがあったので、皆で一緒に食べながらお互いの士気を高めようぞ!


 その後は、高速飛行が可能な者が敵拠点の近くまで行き、現在の最新状況を調査しておくようにする。


 そして、みんなが集まったら作戦を立て、総攻撃を掛ける。しかし、皆の者、くれぐれも無理する出ないぞ!」


「おおおぉ!」


 そして皆で昼食をとりながら、各々準備を始めるのであった。



「ねえねえ。

 場所はわかるんだよね?」


 エーベルはフロッケの腕を引っ張りながら言った。


「ああ、またベル様が儂の腕を! って、でもここは我慢。ええ、もちろんです。ベル様。儂も何度か視察に行っておりますゆえ。」


「じゃあ、私が飛んでいく。

 場所を教えてほしい。」


「え? 儂がベル様に乗っても良いのですが?」


「え? 乗らないの?

 じゃあ、足で掴んでいく?」


「いえいえ、ぜひとも乗せて下され!!!

 あああ、ベル様に乗せて頂けるなんて、なんという幸せ!!!」


「まあ、きみぃはもう乗ってるんだけど。」


「ぐぬぬ。そうであったわい………。」



 ***********************

 いよいよ第三章を書き上げました!

 公彦の実際の仕事の話です!

 エーベルの仕事の話もあるよ!


 たくさんのPV、イイね、ブクマ、そして何より☆をお願いします!

 みなさんの力でこの作品を押し上げてやってもらえると嬉しいです!

 どうぞ、よろしくお願いします!!!

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