第3-②話 買えないなら自分で掘るぞ!
「さて、いい具合に休憩はできた。話を次に進めるとしましょう。
一応、水晶も作れることは分かった。そしてこれを大量に作りたいんだけど、どうすれば良いか?
まずひとつめとして、エーベルにあげた水晶はゼロから精製したものだけど、水晶の原材料の石英はこの辺にいっぱいあるので、ここから錬成すれば良いと思う。
ふたつめとして、自分の魔力だと少なすぎてこの大きさのものしか作れない。ここで魔力共有ができないかを検討したいのです。」
公彦が力説する。そこへフロッケが入ってくる。
「それはまあ、わからんでもない。しかし、具体的にどうするんじゃ?」
「よくぞ聞いてくれました。フロッケさん! 魔族のフロッケさんよりも魔力を持っているエーベルさんの力が必要ということです!」
「ちょっ! お主、その言い方は悪意を感じるのう。まあ、事実じゃからしょうがないが。」
「まあ、グダグダ言っちゃったけど、ひとことで言うと、エーベルの魔力を借りて、ここにある石英から水晶を作りたいってことだね。
たぶん、身体の一部を触れていれば魔力共有も可能だと思うし、ご都合主義で出来るんじゃないかと思うんだよね。」
「なるほど。わかった!
どう?
これで大丈夫?」
エーベルは何かを察して、公彦の正面から抱きついた。そして、謎にドヤッとしていた。
「えっと、あっと、エーベルさん。なぜ正面から抱きついたの? 別に手を繋ぐとかで大丈夫なんだけど? それに、これは魔法がやりずらい。」
苦笑いの公彦だが、お構いなしに抱きついている。さらにギュッと抱きついた。
「むきぃぃい! ちょっとベル様! そんな破廉恥極まりないこと! け、けしからんです! うらやましいわけじゃないわ!」
そんなエーベルを見てフロッケが何やら叫びだす。そして結局のところ、エーベルは公彦の後ろから抱きついてもらうことにした。
「ふぅ。なんだか魔法を発動する前から謎に疲れてしまったけど、それじゃあまず、魔力共有をやってみるね。」
そして公彦は魔法に集中する。
「あっ、なんだかもうひとつすっごい大きな魔力の塊を感じる。これがエーベルの魔力かな? とてつもなく大きくて威圧感あるんだけど、でもとても暖かいね。」
「私もなんだかムズムズする。
変な感じ。
でも、気持ち良いかも。」
ふたりの気持ちが交錯して、気分も高揚してきたようである。それを見てフロッケは思わず口にした。
「ちょっ、おぬしら! なっ、なんか見てはいけないものを見せられているような気がするわい。
はっ、破廉恥じゃぞ!!!」
フロッケはそのように言ったが、ただ単にエーベルが後ろから公彦に抱きついているだけである。
「うん。なんだかいけそうな感じがしてきた。じゃあ、このまま水晶を1個錬成してみるね。」
そう言って公彦は周りにある石英から先ほどと同じように球体の水晶を錬成して見せた。しかし、今回のはピンポン玉くらいの大きさのものが出来上がった。
「やったぁ! 出来たぞ! しかも、オレ疲れてない!」
「きみぃおめでとー!」
そう言って、公彦はエーベルとハイタッチをした。そして公彦はさらにエーベルに尋ねる。
「エーベルはどう? 魔力共有してなんか疲れたとか気持ち悪いとか無い? 大丈夫そう?」
「私もぜんぜん平気!
なんだか、変な感じがした。
でも、気持ちよかったかも。」
「そっか、それなら良かった! じゃあ、引き続き水晶を作りたいけど良いかな?」
「うん。平気!
500個くらい作っても大丈夫だよ!」
そして公彦は言われた通りに水晶を500個一気に錬成した。その後、流石にエーベルもぐったりと疲れていたようである。
「ちっ! なんだかうらやまけしからんもんを見せつけよってからに!」
フロッケがボソッとつぶやいた。
そんなフロッケを見て、公彦は思い出したかのように言った。
「あ、そういやこれだけ綺麗な水晶が作れるんだったら、もうちょっと応用してシリトンやアメジスト、さらには黒水晶やあのピンクのやつも作れたりできるよね?
黒水晶やピンクのやつは貴族婦人なんかに人気がでそうだわ。グフフ☆
えっと、どうやって作るんだったっけな? 確か、シリトンとアメジストは鉄分が混じっているんだっけ?
あと、黒水晶とピンクのやつはなんだっけ? うーん、元の世界だと簡単スマホで検索ぅーって出来るけど、こっちはそんなのないやん!
検索するのに慣れちゃって、覚えることをしなくなったもんなぁ………。」
「おい! なにを言っておるのじゃ! 終わったのならさっさと戻るとするぞ!」
ぶつくさと言っている公彦に対してフロッケが催促した。
「あっ、待って! もう一回やる! 今度はシリトンとアメジストを作る。」
「私、今日はもう魔力が無い。
ごめん。」
エーベルがしょんぼりと謝った。
「いやいや、大丈夫だよ。エーベルはぜんぜん悪くないし、むしろ、すっごく頑張ってくれて感謝してるよ。ありがとう!
ここはもうひとり魔力がすごい方がいらっしゃるからねぇ。なんせ、本家の魔族だしね。」
そう言って、公彦はフロッケをほうを向いた。同じようにエーベルもフロッケのほうを向いた。
「なっ、わ、儂か? 儂はやらんぞ!? そんな破廉恥なこと!」
そして逃げようとするフロッケだが、瞬時にエーベルがフロッケを捕まえる。
「おまえもやる!
貢献する!」
「べ、ベル様! 後生じゃ! ここは見逃してくれんかのう。」
「ダメに決まってる。」
ジタバタとするフロッケだがエーベルは無慈悲なひとことを発した。そして公彦はフロッケの腕を掴んだ。
「フッフッフ。ほれほれ、痛くしないから大人しくしておれ! ほほう、これがフロッケの魔力か?
なかなか良いもの持っておるじゃん。流石は上級魔族様。それになんだかんだいってもとても優しい感じだね。普段ツンツンしてるのって、やっぱりツンデレなんじゃん!」
「ぐわぁぁぁ! なっ、なにを言っておるんじゃああぁ! やめろぉ!」
フロッケは怪しげな悲鳴を上げていたが、公彦は構わず魔法を続けたのであった。そして、合計100個ほどシリトンとアメジストを作ったのである。
「ふぅ。なかなか上手くいったな。綺麗に出来てるよ。」
「あああーーー、このような人間族の男に儂の純潔が穢されたわい………。」
フロッケはふらふらになりながら最後の力を振り絞って悪態をついたのであった。
「いやー、ポッとした思い付きだったけど、めちゃくちゃ上手くいって良かったよ! っていうか、ここまで来たらただのチートだよな。
お金が無くなったら、みんなでここに来て水晶を量産したら食うに困らないな!」
「私も最近訓練してない。
魔力使うこと少ない。
ここで一気に魔力使うのはうれしいかも。」
「わ、儂は二度とごめんじゃからな!」
そして3人は目的を大いに果たして元の宿屋に戻るのであった。
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いよいよ第三章を書き上げました!
公彦の実際の仕事の話です!
エーベルの仕事の話もあるよ!
たくさんのPV、イイね、ブクマ、そして何より☆をお願いします!
みなさんの力でこの作品を押し上げてやってもらえると嬉しいです!
どうぞ、よろしくお願いします!!!
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