第3-①話 買えないなら自分で掘るぞ!

 とりあえず、3人は馬車に戻っていた。そして、今後の作戦会議を始めていた。


「現状には納得したよ。


 抗争の間って、他種族にも魔石の供給が十分じゃなかったんだね。そして、ようやく採掘が戻ってきたばっかりって感じで、今の取引先との供給で手がいっぱいなんだろう。


 本来なら魔族とドラゴン族がいなくなった分はビジネスチャンスって思っていたけど、とてもそんな状況ではないってことだね。


 これはこっちの国に魔石がくるのは当分先になりそうだね。」


 公彦はしみじみと現状分析を口にした。そしてフロッケも複雑な表情でしゃべりだす。


「しかし、魔族とドラゴン族って相当嫌われていたな。儂らのことではないにしろ、またまた魔族の評判を落としてしまったわい………。


 それとこの現状、確かにお主の言う通りじゃわい。総合ギルドに報告して早急に対策を立てる必要があるな。」


 ふたりが暗くしているが、エーベルは特に何事も無くふたりを見ていた。



「さて、お通夜みたいにしてるわけにもいかない。今後どうするかだけど、買付が出来ないなら自分たちで掘ってみたいんだけど?」


 公彦が気を取り直して提案する。


「そういうことなら私がんばる!」


 エーベルが答えてくれたが、フロッケが心配そうに答える。


「いや、いくらベル様でも魔石の原材料となる石英はとても硬いです。ベル様がお怪我をされたりしたら大変ですじゃ。


 とは言っても、やってみること自体はやってみるべきかと。ここらを探せは放棄された採掘場があるやもしれん。」


「なら一度チャレンジしてみますかね!」


 そう言って3人は放棄された魔石採掘場を探すことにした。



 1時間程馬車で動いていて、いくつか採掘場はあったが、ようやくひとつ、小さいが放棄されて誰もいない採掘場を見つけた。


 早速エーベルが岩に向かってパンチを繰り出す。ドカンと大きな音が響き渡るが、岩は少しヒビが入っただけのようであった。


「痛い。」


 殴ったエーベルはちょっと痛かったようである。手をさすっていた。


 そして今度はファイアーボールを作って岩に向かって投げた。またまたドカンと大きな音を立てたが、今度は石英が木っ端みじんに粉砕されて、これはこれで使い物にならない状態であった。



「うーん、なかなか難しいね。石英っていったら硬度6,7とかだったはず、そりゃあエーベルをもってしても硬いわな。


 それにドワーフたちはショベル、ハンマー、ツルハシといった道具を駆使していたもんな。今回はそんなの無いし………。


 まあ、後は魔法でなんとか出来るかどうかだけど………。」


 そう言って公彦は気を落ち着かせて魔法を発動させた。そして大気がするすると公彦の手の中に集まってきていた。


 パン!


 最後にはじけるような音がしてパチンコ玉くらいの大きさの水晶が落ちていた。


「あれ?」


 そのまま公彦は地面に座り込んでしまった。魔力切れのようである。


「うまいこと、水晶は出来たけど、この大きさのものを作るのにオレの魔力いっぱいに使ったってことか?


 こんなんじゃ、商売にはならんな。」


 しかし、水晶自体はとても高純度で太陽の光に照らされていてきらきらと光っていた。


「………。

 とても綺麗だね。」


 エーベルはじっと水晶を見つめていた。ドラゴンの本性なのかきらきらと光るものには抗えないらしい。


「すごい興味津々って感じだね? だったらこれはとりあえずエーベルにあげるよ!」


「え? 本当に?」


 嬉しそうにするエーベルである。それを見た公彦も嬉しくなる。そしてフロッケが語りかけた。


「ぬぬ、お主にしては良い仕事をするではないか!


 ベル様! 手で持っていては大変でしょう。儂にちょっと預けてくれませんか? 良いものがございますゆえ。」


 こういう時のフロッケに関してはエーベルも信用しているようで、素直に水晶を渡したのであった。


「ふむ。ちょっと待ってくだされ!」



 そう言ってフロッケは空間魔法からいろいろと道具を取り出して作業をしていた。そして10分ほどで作業が完了した。


「これでどうですじゃ! ネックレスにしてみました。」


「わぁ。これはすごいね!

 ありがとう!」


 エーベルはお礼を言いながら受け取りそのネックレスを着けた。お礼を言われたフロッケは今にも土に還りそうであった。


「こ、これは!? 尊い。尊いですじゃ………。」


 フロッケは完全に土に還ってしまった。そして公彦も驚いた表情で、


「おおお! エーベル! すごく可愛いよ!」


「えへへ。ありがとう。

 それと、この水晶。

 きみぃの魔力をとっても感じる!」


「なっ!? その言い方はやめなさい! こっちが照れてしまうでしょ!」


 この受け答えにエーベルも少し笑っていた。



 ***********************

 いよいよ第三章を書き上げました!

 公彦の実際の仕事の話です!

 エーベルの仕事の話もあるよ!


 たくさんのPV、イイね、ブクマ、そして何より☆をお願いします!

 みなさんの力でこの作品を押し上げてやってもらえると嬉しいです!

 どうぞ、よろしくお願いします!!!


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