第2-②話 魔石の買付に行くぞ!
公彦は宿に帰り、早速みんなに状況の説明と明日からの予定を相談した。
「かくかくしかじかというわけなんで、明日から魔石採掘場に行こうと思うんだけど。」
「おうおう、行けいけ! そのほうがベル様とふたりでクエストが出来るわい!」
フロッケがそう言ったとき、すかさずエーベルが答える。
「わかった。
きみぃが行くなら私も行く!」
「エーベルありがとう! で、エーベルにお願いなんだけど、空を飛んで魔石採掘場に行きたいんだけど乗せていってくれるかな?」
公彦の言葉にすぐにフロッケが反応する。
「あ、それは無理じゃ。王国もそうじゃったろうが、この国でも原則飛行は禁止じゃ。警備隊へ届け出が必要になる。
一般人じゃと、少なくともクエストに絡んで重要と認められない限り、絶対に許可は降りんな。」
「うそ? マジかよ!? まあ、確かにそうだよな。無作為に空を飛んでいたんでは危ないよな。これは地球でもそうだったしな。」
「あーあ、明日も二人っきりで一緒にクエスト出来ると思っていたのにのう! しかし、儂も行くからな! 絶対におぬしらをふたりにはさせんからな!」
「いや、フロッケは当然来てもらうけどな。ってか、フロッケにもお願いしたいことがあるんだけど。
魔石もたくさん確保しようと思っていて、その際に空間魔法で運んでほしいんだよね?」
「え? そんなのダメに決まっておろう? 儂の可愛い服と混ざってしまうじゃろうて?」
「なっ!? めっちゃ真顔で答えやがったな? でも、昨日はフロッケもクエスト達成に貢献しているから無下にはできん。
飛べないし運べないじゃしょうがない。ここは馬車でも借りてのんびり行くとしますかね………。」
ということで、公彦はこの日、馬車を借りるための手続きに入った。エーベルたちには道中に必要な食料などを買い出ししてもらったのだった。
さらに翌日。
公彦たちは魔石採掘場に向かうことにした。道中、今は廃墟になっているらしいが魔族の街を通るルートで行くことにした。
総合ギルド近辺から出発するとちょうど通り道ということもあるが、抗争の状況も知っておきたかったからだ。
いざ、魔石採掘場へ向かって出発する3人。そして夕方には魔石採掘場付近の魔族の街に着いた。
「こ、これはなんというか、文字通り廃墟じゃん。草木一本も生えてないじゃんか。想像以上にひどいね。こんなんだからまあ、人っ子一人いないし。
でも、もともとは結構な街だったんだね? 破壊はされているけど、建物は結構立派な造りをしているし、道も破壊されているけどちゃんと舗装されているみたいだしね。」
公彦はぼそりと感想を漏らした。
「ベル様、一応、この道を暫く行けばドラゴンの街にも行けますかどうしますか?」
「いや、別にいい。
家は無くなってるから。」
フロッケは一応、気を利かせてくれたようであったが、エーベルは即座に断った。
「じゃあ、だいぶ暗くなってきてるから、今日はこの廃墟のどこかで寝るとしましょうか? 実際の魔石採掘場に関しては明日にしましょう。」
公彦の提案に対してふたりは頷いた。そして、寝泊りできそうなところをみんなで探すことにした。
翌日、魔石採掘場のひとつへ向かった。フロッケの話だと、このあたりは人族中心の他種族連合国の領土だが、人が簡単に採掘出来る場所はもう無いみたいである。
しかし、この辺一帯が魔石の材料である石英の岩石の山となっており、どこかしら掘れば魔石がでてくるということである。
なので、他種族連合国はこの地域を開放している。そしていろんな種族があちこちに採掘場を構えて点在している状況である。
そして公彦たちはとても大きな採掘場に到着した。いくつかの種族かつ、たくさんの人がそこで魔石を採掘していた。
「あのう、すいません!」
早速公彦は近くのドワーフに声を掛けてみた。ドワーフは一瞬公彦と、そしてエーベル、フロッケをチラッと見て何も言わずに無視をした。
『なっ!? これは感じ悪いな………。しかし、これで引き下がるオレではない。』
「あのう。すいません! ちょっとお話を聞かせてもらいたいのですが?」
ドワーフに付きまとうように話しかける公彦である。ドワーフはあからさまに嫌そうに邪険な表情で公彦のほうを見た。
しかしながら、黙ったままである。公彦はさらにしゃべりかけた。
「あのう。魔石を手に入れたいのですが、売ってくれたりしませんか?」
「………。おめえらに売る魔石なんてねぇ! とっとと帰ってくんなあ!」
そう言ってドワーフはその場を去っていった。
「なっ、なんなんだよ? オレなんもしてないのに!」
ちょっと予想をしていない展開だったので混乱する公彦だったが、今度は木の精霊を連れて作業をしている人に声を掛けてみた。
「あのう。すいません。」
「あんたは人間族かい? 後ろの魔族と人型はしているけどドラゴンだよね? ふたりは連れかい?」
こちらは先ほどのドワーフよりは幾分親切に対応してくれた。しかし、いきなり質問をされて戸惑ったが、それでも丁寧に回答を心がける公彦であった。
「えっと、そうです。それがなにか?」
「これは自分も含めての話なのだが、ここいらにいる採掘者はドラゴンと魔族が嫌いでね。先の抗争で自分たちが大迷惑を被ったからね。
この採掘場は中立というか、特にどこかの種族が独占してるわけではないのに、魔族とドラゴン族はかなり横暴だった。
あと、魔族とドラゴン族が独占的に採掘している場所がここから近くてね。彼らが抗争しているときは、この辺りまで戦場になっていてね。まあ、戦場というとかなりの広範囲が巻き込まれていたけど。
その間、仕事が止まってしまって生活もままならなかったんだよ。それが2か月ほど続いたんだ。たまったもんじゃないよ。ここ10日間ほどでようやく普通に仕事が出来るようになったんだ。
確かに後ろのふたりは関係ないんだろうけど、それでも積極的に話そうというやつはいないだろうな。
これはほかの採掘場に行ってもそうだと思うぜ。どうしても話がしたいなら、あんたひとりだけで、ほかの採掘場にでも行くことだな。」
「なっ? そういうことでしたか? 話をしてくれてありがとうございました。」
そして公彦はなにもすることが出来ず、採掘場をあとにしたのだった。
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いよいよ第三章を書き上げました!
公彦の実際の仕事の話です!
エーベルの仕事の話もあるよ!
たくさんのPV、イイね、ブクマ、そして何より☆をお願いします!
みなさんの力でこの作品を押し上げてやってもらえると嬉しいです!
どうぞ、よろしくお願いします!!!
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