第2-①話 魔石の買付に行くぞ!
公彦は宿に戻った。生産ギルドはオークの街にあるためかなりの時間がかかる。到着はすっかり夜も遅かった。
そして、エーベルもフロッケもすでにパジャマでいつでも寝れます状態で公彦を待っていたのだが………、
「ちょっ、こんな大金どうしたの? フロッケってばとうとう盗みまでするようになっちゃったのか………。」
なんとテーブルの上に光り輝く金貨が12枚も置いてあるのである。
「ちがうわ!!! 相変わらず、失礼なやつじゃのう。まあ、こんなやりとりはどうでも良いのじゃ。
ぶっちゃけベル様が本当に凄いんじゃ………。」
「いやいや、いくらエーベルが凄いって言ったって、一日で金貨12枚なんてどうやったら稼げるの???
個人系のクエストだと懸賞金がついている金貨2枚のものがマックスだったような気がしたんだけど? しかも1日で終わるような簡単そうには見えなかったんだけど?」
「そうじゃろう? 儂もそう思っておった時代もあったもんじゃ………。
実は森に棲みついてしまった盗賊団がおって、それを壊滅、討伐するクエストじゃったんだがことごとく失敗しておって、そして被害も大きくなっていってな………。
クエスト受託のための冒険者レベルも150以上になっておったし、いろんなところから懸賞金も積まれていって報酬も金貨10枚になっておったんじゃ。
まあ、もちろんのこと、最低パーティーが15人以上じゃったので、ベル様にはそれは無理じゃと言ったんじゃが、儂が行くならと有志が集ってくれてクエストが成立したんじゃよ。
で、実際にまず飛行可能なベル様に儂も乗せてもらって、さらに数人で目的の場所に先にいったんじゃ。そしてその後はベル様無双状態じゃったわ。
ベル様一人で、敵の盗賊団約50人を一網打尽にしてしまってのう。いや、敵にもレベル100超えの手練れはたくさんおるんじゃぞ?
あと、その中に指名手配中の犯罪者もおって、金貨2枚の懸賞金がついておってな、報酬はクエスト報酬10枚と合わせて、満場一致でベル様にということになったわけじゃ。
まあ、盗賊団から物品を押収するので、そこからほかの参加メンバーに一部を報酬として分け与えることになっておるがな。」
フロッケがいまだに何が起きたのか分からない状態で、慌てふためき混乱しながら説明してくれた。フロッケのこの状況から如何に大変なことをしでかしたのを理解した。
「え、エーベルさん。凄かったんだね?」
「いや、大したことない。
クエストを受けられたのもギルドのみんなのおかげ。
っていうか、もっと大変なのかと思ってた。
まあ、久々に運動できたと思う。」
公彦とフロッケはエーベルのほうを見るが、特に何事もなかったかのようにしている。むしろどこか物足りなさそうに感じる。
「おかげで、ベル様はちょっとした話題の人になってしまったわい。」
「いやまあ、そうでしょうね………。」
公彦とフロッケはあっけにとられ、ボーっとエーベルを見ていた。
「私、目立つのは嫌だったんだけどね。」
最後、エーベルがボソッと愚痴を言った。
「あ、いや、それはそうと、オレもフロッケに聞きたいことがあったんだ! でもまあ、それは明日にして今日は寝ますかね。
エーベルのお陰でしばらくは何もしなくても宿で暮らせそうだしね。」
そして翌朝。みんなは朝食を済ませて、カフェのようなところに来ていた。
そして早速公彦はフロッケに質問を投げかける。
「ねえ、昨日各種ギルドに行って気が付いたんだけど、魔石採集のクエストや売買なんかの依頼が多かったんだけどなんでかわかる?
もしかしたら困っているよね? これって何かビジネスチャンスかなって思っているんだけど?」
「ああ、それな? この国の魔石はドラゴン族と魔族の街から供給されておったんじゃ。
で、それも含めてじゃと思うのじゃが、そのふたつの種族が抗争になり、双方とも壊滅してしまったじゃろ?
それで、供給がストップしておるというわけじゃ。まったくもって良い迷惑をしておる。魔石を加工する者たちの仕事が無くなっておるからな。」
「え? だったらほかの種族から入手すればよいだけの話じゃないの?」
「そこんところはどうじゃろうか? すまんが儂もその件はあまり詳しくはないのじゃよ。自分で調べてくれ。
各ギルドの受付である程度の手数料を支払えば、いろいろと教えてくれるはずじゃ。」
「なんだよ。使えないな! じゃあ、オレは今日もギルドめぐりすることにするよ。ふたりは昨日大活躍だったみたいだから休んでてよ。」
「なっ!? 儂だって全部を知っとるわけじゃないわ! 馬鹿もん!!!」
フロッケに吐き台詞を言われてしょうがないので、公彦はもう一度冒険者ギルドと商業ギルドへ向かうことにした。
そして、フロッケに言われた通り受付で手数料を払って魔石に関する情報を教えてもらうことにした。
さらには、ギルド内にいた冒険者や商人たちにも謝礼を払い、魔石に関する情報を聞きだしたのであった。
あれこれと、言葉を尽くして確認した結果、概要をまとめると以下のようであった。
一般的な魔道具・魔武具は各ギルドが出資する総合商店、いわば独占企業によって一元的に取り仕切っている。
魔石とその他材料の仕入れ、ドワーフやオークたちへの製作の発注、製作物をさらに買い上げて自国や他国への販売などが含まれる。
魔石の種類や大きさによっては、宝石類や宝具として扱うこともある。こちらは各個人商店が扱い、腕のある職人へ委託するということだ。有名デザイナーへ発注というのが分かりやすいかもしれない。
魔石の入手についてはフロッケも言っていたが、ドラゴン族と魔族の街から提供されていた。しかし、採掘場所や提供方法などで揉め始め、とうとう全面抗争となってしまったわけである。
双方の街は壊滅し、多数の死者を出し、生き残った者もどこかに散ってしまったようで、今では魔石はほぼ入ってこない状態となったわけである。
それにより、商業ギルドだけでなく冒険者ギルドへも魔石採集のクエストが多数登録されている状態であった。
この話を聞いた公彦はふと総合ギルドへ来るときのことを思い出していた。本来なら生産を担っているドワーフやオークなら、もっと良い暮らしをしていても良いと思うはずだが、実際はそうでもなかった。
独占企業として一元的に管理しているというのも気になった。一般的には独占していると競争が発生せず、商品の質も上がらないし、値段なんかも膠着してしまう。
下請けを担っている人が不利になることもあると感じたからだ。
この国の状況は理解していくつか懸念事項は感じたとしても、実際に魔石採掘場がどのようになっているか確認する必要があった。
自身の魔石買付も兼ねて、魔石採掘場へ向かうことにしたのであった。
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いよいよ第三章を書き上げました!
公彦の実際の仕事の話です!
エーベルの仕事の話もあるよ!
たくさんのPV、イイね、ブクマ、そして何より☆をお願いします!
みなさんの力でこの作品を押し上げてやってもらえると嬉しいです!
どうぞ、よろしくお願いします!!!
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