第4-③話 会談………、の前の能力チェック!
「えっと………。相変わらず、知らない文字なのに読めるって気持ち悪いな。」
そう言って、公彦はカードの内容を読み上げた。
HP:250 MP:190 火:100 水:0 風:85 土:25 精神:0 強化:0 支援:0 魔法耐性:100 ギルド貢献度:0 冒険者レベル:220
「………。フロッケさん。これって???」
「細かいところでいろいろと突っ込みたいところはあるんじゃが、まず一言で表すと、
化け物クラスの強さ。
ということじゃな。」
「だよね? めっちゃチートじゃんこれ!? オレよりもチートじゃん。ってかエーベルぜんぜん動じてないじゃん。」
「え?
まあ知ってたし。
半年くらい前におじいちゃん達と測った。
半年前よりレベルが10ほど上がってた。」
このエーベルの言葉に公彦とフロッケはお互いに見合わせてふかーいため息を吐く。
「さ、流石はもう一つの多種族連合のドラゴン! この国にいるドラゴンとは別格じゃな。ますますお慕い申し上げます!!
今、ベル様は人間でいうところの10歳くらいじゃと思う。それでこのレベルであれば300超えは行くであろうし、もしかしたら、全人未到達の400を超える逸材かもしれぬな。
それでいてこんなにも愛らしくて可愛らしい。本当に推せます!!!ベル様!
いやはや、そんな方に戦いを挑んだら、そりゃあ瞬殺されてしまうわい。あのまま戦闘を続けていなくて本当に良かったわい。
あと、ベル様。火属性が100なのはわかりますが、魔法耐性が100となっていますがどうしてですか? ブラックドラゴン以外は100にはならないはずですが?」
「おじいちゃんがブラックドラゴン。」
「なんですとーー!? またまたとんだ情報が! あ、いやしかし、ハーフやクオーターと言っても、属性が複数最高値になることはありませんぞ?」
「ええ?
そんなこと言われてもわかんないよ。」
エーベルはちょっとだけイラついた声色で言った。普段あまり表情が変わらない分、ほんの少しのすごみでも十分迫力を感じた。
「し、失礼しました!!!」
フロッケはジャンピング土下座をして謝った。
「うわぁーー! でも本当にすごいよ! 今後ずっと旅やクエストをする仲間がこんなに強いだなんてとっても心強いよ!」
公彦は素直に喜んでいた。
そんな素直に喜ぶ公彦を見て、エーベルは少しだけ恐縮して照れていた。
照れているエーベルを見てほっこり癒される公彦であったが、もうひとつフロッケに質問をした。
「フロッケさん! ここでひとつ大きな疑問が出てきたんだけど聞いてもらっていいかな?」
「なんじゃ? 言うてみ。」
「うん。このチェックってさ、どっちかって言うと魔法力や精神的な数値しか無いけど、フィジカル的な数値って出ないの? 腕力とか?
今、エーベルにもチェックしてもらったけど、でも、本来ドラゴンって魔法力よりも肉体的なフィジカル面の強さのほうがメインじゃん?
事実、エーベルって格闘とかも出来てそっちの強さの数値が無いのは不十分だし、おかしいんじゃないの?」
「いやはや、本当にお主は細かいな。そんなんではおなごにもてんぞ? まあ、頭が良いのは認めてやるがな。
確かにお主の言うことはもっともだし正しいじゃろう。実際のところ、王国や帝国の騎士になる者などは、このチェックのほかに身体測定なんぞもやっておる。
しかしのう、人間族以外の場合で大規模な戦闘になるとき、ほぼ魔法での戦闘になる。それはドラゴンも含めてな。
先日の魔族とドラゴン族の抗争も原則的に魔法での争いじゃったからな。
そう考えたとき、肉体的な身体情報というのはさほど重要じゃないのじゃよ。なので、チェックしとらんというわけじゃ。」
「うーん。確かに言ってることはわかった。でも、冒険者ギルドでのクエストでフィジカル情報が知りたいような依頼とかは無いの?」
「うむ。人間族の国では重要になることもあるが、この国ではほぼないな。討伐系のクエストも魔法で解決するからな。」
「なるほど。こればっかりはこの世界の常識に慣れていくしかないというわけか。」
フロッケの言葉を一瞬飲み込み、公彦はもう一度エーベルに質問を投げかけた。
「ねえ、エーベル! ちなみにミーナさんはどれくらい強かったの?」
「お母さん、レベル200ちょいだったと思う。
おじいちゃんやお兄ちゃん、お父さんは普通で、
120くらいだったと思う。」
「ひぇーーー、それでもやっぱりドラゴン族なんだね、ミーナさんは200超えでほかの家族も当然のごとく3桁ですか?」
「おじいちゃんは魔法が得意で、
お母さんは戦いが得意だった!
私も戦いのほうが得意だからお母さんに似た!」
「へぇ。なるほどね。でも、MP数値も高いのに魔法が苦手なのはなんかもったいないよね。でもまあ、属性ならしょうがないということかな?
あと、ミーナさん、それだけ強いのにどうして倒されたかということも気になるところだけど、今は置いとくとしよう。」
公彦のこの言葉の後、一息ついて、もう一度フロッケのほうを見た。
「ん? なんじゃ儂のほうを見て。いくら儂が可愛いからと言ってジロジロと見られるのは気に食わんな。」
「いや、可愛いのは別にどうでも良いんだけど、くれぐれもエーベルのことは内密に頼むよ。想像以上にチート能力だからね。」
「はっ? そのことか? お主もくどいよのう。儂のベル様への忠誠心を舐めるではないわ!」
「まあ、わかった。そこはいったん信じることにして、これ、もちろんフロッケも能力チェックしてくれるんだよね?」
「え? 特に考えておらんかったが?」
「いやいや、我々の能力を知っておいて、フロッケだけ秘密ってことは無いでしょう? エーベルだって嫌がってたのにチェックしたんだからね。」
「なっ? ベル様のチェックを勧めたのはお主ではないか! いやまあ、別に隠すことでもないのでチェック自体は構わんがな。
ただ、儂の場合は自費になるが………。これ、結構高いんじゃぞ?」
そう言ってフロッケはしぶしぶ自身の閉鎖空間から自分用のカードを取り出し、そして水晶に手をかけた。
「えっとじゃな、読み上げるからしっかりと聞いておれ!」
HP:140 MP:160 火:15 水:15 風:15 土:15 精神:90 強化:90 支援:90 魔法耐性:80 ギルド貢献度:150 冒険者レベル:153
「おおお! 冒険者レベルがとうとう150を超えた! いやー、長かったなぁ………。
というか、儂、レベルは負けてもしょうがないにしてもMPも魔法耐性でもベル様に負けておる。一応、上位魔族なんじゃがのう………。
そりゃあ、儂の魔法がまったくもって効かなかったわけじゃわ………。
あ、いや、でもしかし、よりベル様を讃えることができるというものじゃし………。」
フロッケはレベルアップの喜びと、MPでエーベルに劣っている自分の残念さでとても複雑な表情を浮かべていた。これは動画に撮りたいくらい面白い状況であった。
「フロッケさん、本人が言うように黙っていればかなり可愛いんだと思うけど、こういうところ本当に残念だよな。でもまあ、これがフロッケの良いキャラってことかな。
さてさて、そろそろ本番のギルド長と魔王様とのご対面ですかね? 今度こそ?」
「ふむ。そうじゃな。お昼を食べたら向かうとするかのう。あ、ちなみにどさくさに紛れて儂を褒めたところでなんも出んからな!」
そうして3人は昼食を取り、総合ギルド長、魔王様との会談に向かうのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます