第4-②話 会談………、の前の能力チェック!

「あと、スキルは無いの? 最近のゲームだと毒耐性レベルとか、技の名前だったりとかがステータスに含まれてたりするんだけどね?」



「ゲーム? ゲームというのはわからんのじゃが、まあ、そのスキルっていう概念はわからんでもないな。要は使える魔法や必殺技みたいなことを言っておるのだろう?


 結論を言うとそういうのはない。魔法も各々自由に創作できるからな。そういうのがあったらきりがないわい。そもそも属性の数値がわかればそやつの能力も予想が着くじゃろうて?


 それに以前、水の魔法を試したと思うのじゃが、お主がゼロから錬成して水を出し、儂は周りから集めて水を出したろ? 同じ水を出すのにも方法はいろいろとあるからな。」



「むむ、確かに。 フロッケのくせにめちゃくちゃ的を得た説明じゃないか! しかもとてもわかりやすいのがさらに腹が立つ!」


「ホントのホントに、お主は失礼な奴じゃな。じゃから儂は優秀じゃと何回も言っておろうが。さらにこの国でもかなり偉いほうなのじゃからな!」



「なるほど。まだまだ詳細は勉強しなきゃだけど、今回はこれくらいにして、エーベルの番かな?」


「ベル様に関しては儂もとても気になっておる。あの可愛らしい手が水晶に触れると思うだけで………。」


 最後は心の声がだだ漏れのフロッケであったが、これに対してエーベルが意外な回答をするのである。


「私は受けない。

 受けたくないんだけど。」


「え? どうして? さっきフロッケが気持ち悪いこと言っちゃったから?」


「ううん。そんなのは関係ない。

 おじいちゃんとお母さんがよく言ってた。

 私とお母さんはできるだけこういうのはしちゃダメだ。

 強いのがばれたら、いろんなところから目をつけられる。

 弱いふりをしていなさいって。」


「儂も、興味はあったがそういうことなら無理にチェックしてもらうわけにもいかん。」


「うっ。ごもっともな意見ですね。」


 ふたりは残念そうにしたが、公彦がもう少し踏み込んで聞くことにした。


「一応、今後オレはエーベルとずっと一緒にクエストしたり旅をしたいって思っているんだ。仲間としてね。


 なので、出来ればエーベルの能力を正確に把握しておきたいっていう希望はあるんだよね。それでもやっぱりダメかな?


 確かにミーナさんの言うことのほうが正しいとは思うから無理にとは言わないよ。」



「うーん。

 別に良いけど。

 でも、たくさんの人に知られたくない。」



「お? 確かにそうだね! じゃあ、まずは受付のお姉さんには申し訳ないけど席を外してもらって良いかな?」


 公彦はそう言ってふたりに目くばせをする。


「そうじゃな。すまんがあとは儂がやるので戻ってもらえるかな?」


「はい。承知しました。それでは失礼します。」


 フロッケの言葉に受付のお姉さんは元の仕事に戻っていった。



「で、これからチェックした結果は3人だけの秘密ということで。刻まれたカードもオレが責任もって管理するようにする。これで良いかな?」


「うん。わかった。」



「あ、フロッケさん! エーベルの数値が入ったカードはこちらで貰うけど、もちろん大丈夫だよね?」


「うむ。ベル様のお願いとあってはしもべの儂が対応するのは当然じゃからな! カードはお主にくれてやるわ。」


「あと、万が一、エーベルの情報が外部にもれたらその時は………。」


 公彦はそう言ってフロッケを見る。

 エーベルも公彦に合わせてフロッケのほうを向いた。


「儂を疑おうってことなのか? それはないと言うものじゃ! 推しのベル様の困るようなことをするわけがなかろうが!


 そしてベル様が儂のことを見つめてくれているー! 尊い、尊いですー!」


「うーん、例えば魔王様とやらに報告せよって言われても大丈夫なの?」


「なっ!? ちょっ!!! お主、相変わらず細かいところを突いてくるのう。じゃが安心せい! 個人の秘密に関することは、明らかに犯罪性が確認されない限り、報告の義務は発生しないことになっておる。


 まあ、もしどうしてもそのような状況になったとしても儂はベル様に命を捧げる覚悟はある! 大天使ベル様とはそのような存在じゃからな! ああ、尊い!」


「う、うん。相変わらず何を言っているのかぜんぜん1ミリも理解できんけど、でも本気で約束は守ってくれるのであろうということは理解したよ。」


 そう言って公彦はエーベルのほうを見て合図を送った。エーベルもこくりと頷いた。


「ささ、ベル様。こちらですよ。ああ、相変わらず可愛らしい手をしていらっしゃる! フフフ。フフフフ!」


 エーベルを見計らってここぞとばかりにフロッケがナビを申し出る。もちろん余計なナビ出ることは言うまでもない。


 鼻息荒くしているフロッケだが、そんなことはまったく気にせずにスルーしているエーベル。そして水晶に手を触れる。


 カードが光ってチェックが完了する。さっそくフロッケがカードを確認した。


「ふむふむ。どれどれ? え? ほう? なぬ!? こ、これは………!?


 どうやら儂はまだ旅の疲れが取れておらんかったようじゃ。確かに厳しく激しい旅をこなしてきたからな。」


「ちょっと! フロッケってば何を言っているの? オレにも見せてよ。」


 そう言って、公彦はフロッケからカードを奪った。ちなみにだが、文字はもちろん異世界語の文字で公彦は知らない文字である。


 しかしながら、公彦はこれを読むことが出来るのである。これも魔法の一部で神様からのスキルであった。

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