第4-①話 会談………、の前の能力チェック!

 さて、寝起きではまたまたエーベルが公彦のベッドで寝ていてひと騒動あったりもしたが、それは置いておき3人は準備が完了して宿屋の前にいた。



「さて、みんなの準備も万端! そろそろ会談に行くとしますか!」


 公彦はのろしを揚げるように威勢よく掛け声を出した。



「あ、すまん。昨日言っておくのを忘れておったのじゃが、会談は午後からじゃ! 魔王様は午前中、別のおえら方の打ち合わせがあってじゃのう。」


「ズコーーーーーーッ! 異世界始まって以来の盛大なずっこけだよ!」


「いやいや、ホントにすまんかった! じゃが、代わりに冒険者ギルドで能力チェックをしようではないか。それで良いかのう?」


「もう、勘弁してと言いたいところだけど、まあ、能力チェックといえば、異世界での重要イベントのひとつではあるな。神様のスキルの件もあるし、ここは素直に受けておくとするよ。」



 そして一同は冒険者ギルドに向かうことにした。


 扉を開けると、いろんな冒険者がざわざわとしていて活気にあふれていた。そして受付らしき亜人の女性がフロッケに気が付いたと思いきや寄ってきた。


「フロッケ様。お待ちしていました。準備は整っています。」


「うむ。助かるのじゃ。それではよろしく頼む。」



 あらかじめスケジュールされていたようである。一同は建物の3階にある部屋に案内された。もちろん関係者以外立ち入り禁止の場所である。


 部屋には机があり、土台の上にソフトボールくらいの水晶が置いてあり、その隣にカードが数枚置いてあった。周りには椅子も4つ置かれていた。明らかにVIP待遇のようである。


『ほほう、めっちゃ用意周到だな。椅子も4つだし。昨日のうちに段取りされていたようだ。何が目的かはわからないけど裏はありそうだな。』


 フロッケは早速椅子のひとつに座った。そして受付のお姉さんが案内をしてくれる。


「それでは早速能力チェックを行いたいと思います。よろしくお願いします。」


「あ、ご丁寧に。こちらこそです。」


「まあ、とても簡単なんですけど、この水晶に触れてもらって、魔力を放出して頂くだけです。すると、結果がこのカードに刻まれます。」


「なるほど。そりゃあ簡単だ。とりあえずやってみるかな。」



 そう言って公彦は水晶に手を触れて魔力を吹きかけるようにした。数十秒くらいしたところでカードが光った。


「うわっ! びっくりした! てっきり水晶が光るのかと思ったけどカードのほうかよ!」


「ありがとうございます。チェックは完了しました。」


 そう言ってお姉さんは光ったカードを取り出して内容を読み上げた。

 HP:22 MP:27 火:100 水:100 風:100 土:100 精神:100 強化:100 支援:100 魔法耐性:100 ギルド貢献度:0 冒険者レベル:26



 お姉さんがこの結果を読み上げたところでフロッケが立ち上がりカードを覗き込んでいた。


「うわぁ。わかっていたとはいえ、いざ実際に目の当たりすると気持ち悪いものがあるのう………。

 レベルが26、こちらは普通で良かったわい。」


「ちょっとフロッケさん! 確かに100が並んですごいんだろうなあってのはわかるし、実際に神様の言っていたことも証明できたと思うけど、もうちょっとこのシステムの補足をしてもらえると助かるんだけど?


 例えば、冒険者レベルって何よ???」


「ふむ。なるほど。確かにそうじゃな。


 まずは冒険者レベルじゃが、これはHPとMPとギルド貢献度から算出される。この3つは身体を鍛えたり、魔法の練習をしたり、クエストをこなしていけば成長していく数値じゃ。


 あと、お主のすべて100となっておるのは属性値じゃな。いわゆるところの生まれ持った素養じゃ。多少の増減はあるが、基本的に数値は変わらんものになる。


 この属性値によって使える魔法の幅が決まってくるんじゃ。例えば水が0なら水の魔法は使えん。使えてもとてもショボいものになるのう。」



「なるほどね。属性はわかったよ。ようはオレはすべての魔法が使えるってことで、神様の言った通りってわけね。


 あと、このレベル26ってほかの人と比べてどうなの? 高いの? 低いの?」



「人間族の場合は、歳とレベルが一致することが多いみたいじゃぞ? そう考えるとお主は何もしとらん割には高いと思うがな。


 人間族の場合はレベル99を超えると一般的に勇者とか呼ばれるレベルじゃ。過去にそう多くは無いな。」



「ふーん。まあ、レベルにはあまり興味ないかな? フィジカル系な仕事はするつもりないからね。」


「いやいや、レベルを馬鹿にするものではないわ! レベルが低いと受けられるクエストの幅が狭まるからな。」


「うっ、そういうことか………。ちゃんとレベル上げもしなきゃだな。ああ、ゲームやっているみたいだよな。


 ちなみに人間族以外はどうなってるの?」



「ふふふ。よくぞ聞いてくれた! 魔族、ドラゴン族、エルフ族、要請族は3桁じゃぞ! そもそもこの仕組みは人間族が作ったみたいなんじゃ。


 それをパクってみたものの、数値が足りなくて3桁にしたくらいじゃからな。ちなみに儂も3桁を超えとる!」


 そう言ってフロッケはうざそうにドヤァっとしていた。


「ちっ! だから魔族ってやつは!」


「人間族以外の具体的な数値じゃが、だいたい100を超えたら一人前みたいなところがあるのう。そして300を超えるのは数百人しかおらん。そして400超えはまだひとりもおらんというのが実情じゃ。」

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