第2-②話 国に到着! まずはお着換えだよ♪
エーベルの着替えが無事に終わったところで、今度は3人で食事に来ていた。立派な建物、店の内装、スタッフ、すべてが豪華であり、あきらかに高級店である。
「ちょっとフロッケさん! めっちゃ高そうな店だけど大丈夫なの? さっきも言ったけど、オレお金持ってないからね?」
「なあに、心配するでないわ! 儂とてなかなか稼ぎは良いほうじゃ!
儂も先ほど言った通りで、推しにお金を使うのは義務じゃからな。まあ、お主にもおごらねばならんのはちょっと癪(しゃく)じゃが、まあ、ここまで来てもらったこともあるからのう。
っていうか、儂だってここ10日ほど、ちゃんとした料理は食べておらん。だから旨いものが食いたいのじゃ!」
「その謎の義務感はよく分からないけど、でもでもありがとう! 異世界で食べる初めての人が作る料理だよ!
しかも、こんな高級店で食べられるなんてめっちゃうれしいよ!!!」
「えっと、魚もあるの?」
「もちろんですじゃ! ベル様の期待にも十分に応えることができるお店じゃ! よし、さっそく注文するかのう!」
エーベルも期待の表情でフロッケに尋ねていた。
まずは第一陣で料理とお酒、ジュースも運ばれてきた!
「おおおぉーーー!」
一同は感嘆の声を挙げた。
「それでは僭越ながら、儂が乾杯の音頭を取らせてもらうのじゃ! 遠路はるばる長旅ご苦労じゃった!
かんぱーーーい!!!」
「かんぱーい!」
ふたりも各々グラスを掲げた。
「ぷはーーーー! お酒うめぇぇぇーーー! ビールっぽい飲み物がこの世界にもあるのはうれしい!」
「肉も魚もおいしい!」
公彦もエーベルも満足そうに食事を始めたのであった。
「儂も久しぶりの料理じゃ! 旨いのはもちろんのこと、ベル様がおいしそうにしているところを見れただけで、儂は、儂は………。」
フロッケもなぜか号泣で食事をしていたのであった。
一通り食事も終わり、今度は宿屋に来ていた。ここもフロッケがこの地方に来るときの御用達の宿屋で大浴場が売りらしい。
露天風呂になっていて空の下にいくつかの湯船がある。昼に入っても青空の下で、夜に入っても星空の下でお風呂に入れるので人気が高いということであった。
公彦にとっても久しぶりの風呂となる。そして、なんと言ってもエーベルとフロッケのお風呂シーンなのである。なのであるのですからね!
『いよいよこの時が来た! 甥と見たアニメでも鉄板のお風呂回! お色気シーンに期待したい! でもさっきのお洋服お着替えも大したことなかったから当てが外れたらすまん。
まあ、オレは下手にしゃしゃり出るより、男湯でゆっくりまったりすることにしよう。久々の大きいお風呂だからね!』
公彦はそう思いながらサッと着替えて湯船につかる。ここ数日の疲れが癒えるようであった。
そして、塀の向こう側でフロッケの声が聞こえてきた。
「はぁ。ベル様のお肌は玉のようにすべすべでお美しい! 真紅の髪もサラサラで、儂はそれだけでもう地に召されて………。」
「ああ、うるさい!
おまえの肌もすべすべだろ?
もう、あっち行ってよ!」
『ああ、こっちまで聞こえてるって! まあ、フロッケは相変わらずの安定運転だな。』
公彦は苦笑いで湯船に浸かっていた。
「そんな邪険になさらないで! ここまで一緒に旅をしてきた間柄じゃあありませんか! ぜひともお背中を流したいと思うのじゃが!?」
エーベルにあからさまに邪険にされているのに、フロッケはそんなことは微塵も感じておらず、そんなことよりも自身の豊満な身体を揺らしながらエーベルを見て褒め称えていた。
そんな感じで怪しげでわけのわからない会話をふたりは湯船でしていたのだが、エーベルはフロッケのうっとうしさについに我慢しきれなくなったようである。
「ねぇ! きみぃいる?
どこにいる?」
「エーベル! ここにいるよ!」
公彦はいったん湯から上がり、身体を丁寧に洗っていた。そこへ呼ばれたのでとりあえず返事をした。
このあと、何が起きるのかなんて想像できるはずもない。
ジャッポン!
「なっ、なんじゃ? ベル様?」
フロッケが言葉を発する時には、水しぶきの音がしてすでにエーベルの姿はなかった。
「きみぃーーー!」
エーベルが叫んでいた。女湯のほうからだんだんと可愛らしい声が近くなってきた。空から女の子が、というかエーベルが降ってきたのであった。
男湯に着地するエーベル。もちろん何も着ていなく生まれたままの姿である。そして公彦を見つけて駆け寄って抱きついたのであった。
男湯にはほかに5人ほどいたが、もちろんみんなびっくりした顔でこちらを凝視していた。
はい。注目の的である。
「うわぁ! エーベルさん!? ここ男湯だよ!?」
そんな驚く公彦の言葉にも関係なくエーベルは抱きついていた。
ラッキースケベの状況ではあるが、とてもそんなことを楽しむ余裕があるシチュエーションではなかった。
とりあえず公彦は一度エーベルを引き剝がして、自分とエーベルをちゃんと洗う。
「すいませんでしたーーー!」
そう言って大浴場を一目散に逃げるように上がったのだった。公彦にはそれしかできなかったのである。まあ、当然のことであった。
そして部屋に来た3人。部屋はかなり広い。その中でベットは3つあり、どうやらVIPルームのようである。
「ちょっとエーベル! さっきはさすがに驚いちゃったよ!」
「ええ?
だって、こいつが気持ち悪いんだもん。」
エーベルは明らかに自分は悪くないという顔をしていた。
「うーん、確かにオレもフロッケさんに原因があると思う。」
そう言って、ふたりはフロッケのほうを見た。
「なっ!? わ、儂か?
た、確かにちょっと調子に乗りすぎたかもしれん………。すまぬ。」
意外ではあったが、素直に非を認めた。
そんなこともありながら、すっかり夜も更けておりみんな就寝するのであった。
みんな久しぶりのベットでの就寝である。とてもぐっすり寝れたのである。
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