第2-①話 国に到着! まずはお着換えだよ♪
馬車の定期便に乗って約1時間、平野部ではあるがちゃんとは舗装されていない、なんとかギリギリ道のようなところを走っていた。
停留所兼馬の休憩所で約20分のみんな休憩タイムに入っていた。ようやく田舎町という感じのところで陶芸をするための窯のようなものが多数あるところを通っていた。
「ここって?」
公彦がぼそりと呟く。
「ここはオークとドワーフの自治区の境界付近を通っておる。まあ、厳密な境界というものはないんじゃがな。」
「のんびりした田舎町って感じだね。なんか癒されるよ。でもようやくこの世界に来て人が住んでいるところに来たよ。って、以前人間の国に行ったのはノーカンにしてるけどね。」
公彦は正直、物足りなさを感じていたものの、人が住んでいるところにいるということでこれから始まるちゃんとした生活に思いを寄せるのであった。
『うん。これでようやくエーベルを文化的な生活にしてあげられる。ミーナさん。見ていますか? ようやうここまで来ましたよ!』
さらに馬の休憩を挟みながら数時間馬車を走らせてようやく本日の目的地に着いたようである。周りはだいぶ暗くなり始めていた。
ここは先ほどとはまったく景色が違っていて、しっかりとした街並みである。道は石畳で舗装されているし、建物も3階、4階建てものだって多い。生活水準がぜんぜん違うようである。
「ちょっと! さっきとはぜんぜん街並みが違うようなんですが?」
「ああ、ここはエルフの自治区じゃからな。彼らはそれなりに経済力もある。これくらいは当然というわけじゃ。人間族の街にも引けを取らんじゃろうて?」
「いやいや、急に街が発展していてびっくりしたよ! これはより高度な生活が期待できるじゃないか! うーーーん! 異世界の街にようやく来たぞ!!!」
「っていうか、そんなことはどうでも良いのじゃ。本格的に暗く前にベル様のお召し物をちゃんとしたいと思うのじゃがどうじゃろうて?」
「ああ! それは大賛成! フロッケのくせにまともなこというじゃん!」
「くせにとはどういうことじゃ! まあ、賛同して貰えるのは良かったがのう。」
そう言ってふたりはエーベルを見る。
「ええ?
めんどくさい!
私は別にこれでいい。」
エーベルはめんどくさそうにするが、二人はそれを全力で拒否する。なんだかんだエーベルのことになると意見が一致する二人であった。
そして、フロッケも何度も行っているというお店に行くことにした。
『二人でキャッキャウフフの展開! というわけには行かないみたいね。エーベルのダルそうな声と、フロッケの悲鳴のような雄叫びのようなうごめきのような変な声が交錯しているよ………。』
そんなこんなでエーベルが試着してはフロッケが叫びということを繰り返していたようだが、それもようやく終わったようである。
「まあ、こんなところじゃろうてな。本当はもっと可愛らしいお召し物にして欲しかったのじゃが、しかし、ベル様は何を来てもお美しい………。
わ、儂はもう地に還る時が来たようじゃ。サラサラサラ。」
フロッケがそんなことを言いながら試着室から出てきて、続いてエーベルも出てきた。
『こっ、これは!? とってもシンプルなのにとっても可愛い!!!』
公彦はあまりの衝撃に驚いた。
若干スカートにも見えるショートパンツで半袖のTシャツ。色はシンプルな赤。そこはレッドドラゴンの本能を残しているようである。服に関してはただそれだけだった。
そんなシンプル服装なもんだから、さらりと伸びる腕が綺麗で、なんと言っても足が長く伸びているのが美しいにもほどがある。
さらに幼さが残る可愛さとシャープに整っている顔がいっそう映えわたっていた。
「あれれ? それとなんか違和感が………!?」
公彦の言葉にフロッケが砂の状態から華麗に復活してうっとうしくドヤ顔を決めている。
「フフフ。そうじゃろうて! びっくりしたであろう? 服を着るのにどうしても邪魔になるので引っ込めてもらったのじゃ!」
そうなのである。なかなか立派にあった尻尾が無いのである。それに足や腕に少し残っていた鱗も完全に無くなっていたのである。
見た目上は完全に普通の人間の女の子である。
「うわー! 尻尾が無いだけでずいぶんと雰囲気が変わってしまうもんだね! エーベル! めっちゃ可愛いよ!」
「まあ、これくらいなら良いかな。
尻尾が無いとさらに戦闘力が下がる。
まあ、戦うことないから良いかな?」
エーベルは公彦が褒めていたのは適当にスルーして、若干文句を言いながらキョロキョロと自分を見ていた。着ている服に関しては納得しているようである。
そんなエーベルを横目に公彦はフロッケに耳打ちをする。
「ところで、この服はいくらするの? 女の子の服だから結構高いんでしょ?」
「いや、別に大した金額ではないわ。」
「そうなのね? 今はオレお金持ってなくて、そのうち稼げるようになったらちゃんと払うからね。」
「いやいや、そんなもんいらんわ! 儂がベル様に貢ぎたいだけじゃからの。推しにお金をつぎ込むのは信者の勤めじゃからな!」
「えええっと、何を言ってるのかは理解できないけど、でも、ありがとう! 恩に切るよ。」
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