――――> 

 どこからともなく落ちてきたがからん、と地面に転がる。


 それは、祢々切丸ねねきりまるを果たしてすぐのことだった。

(なんだ?)

 夜道で通りすがりの一般人を襲った怪異を斬り捨てて、凄惨な事件の現場を立ち去ろうとした矢先。

 が変わる気配に、祢々切丸は神経を研ぎ澄ます。

「ぅ……ぁ……」

 異変は、人気の無い路地で無残な姿を晒す女の骸に起きていた。

か)

 怪異によって害されたものが、強い未練や恨み、あるいは怪異から受けたによって、次なる怪異と成り果てる――。

 そんな光景をこれまでに幾度となく目にしてきた祢々切丸は、鞘に戻したばかりの白刃を抜き放ち、世のことわりを歪めて今まさに起き上がろうとしている女の骸へと狙いを定めた。

「大人しく死んでいればいいものを」

 女の骸が怪異ひとならざるものと成り果て、次なる犠牲者を生む前に。

 つい先程まで哀れな被害者でしかなかった女の骸めがけて、祢々切丸は微塵の容赦も無い白刃を振りかぶる。

「縺励〓縺ョ縺ッ縺翫∪縺医□」


 そこで、祢々切丸の意識はぷつりと途切れた。

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