第19話・相棒は強くなりました!


 あれから二週間が経った。

 今までがヤバすぎて忘れていたが、本当はこんなに平和なんだな…


「おい死ねやこのゴミが!ハハハッ」


 ボカッドガッ


 本当に平和だな……



 一週間前───


「ここが【王立魔導専門高等学院】か、名称長いな」


「はい!長いですね。」


 最近ミシアがすんげぇニコニコしてる。

 まぁ可愛いからいいが…


「ここからは別行動だ。ミシアはレナと一緒に学院の特待生クラスに入るって陛下が仰っていた。あと学院内では俺に話しかけないでな、陛下の命令の「平等派」を見つけるのに特待生クラスと最低クラスが話すのは目立つからな」


「分かりました…」


 しょんぼりしているがレナといれば大丈夫だろう。

 この国の女王に恩を売って売って売りまくれば、後からいいことありそうだし。


「じゃあなー」


 この学院は数千人が在籍しているらしいが、特待生クラスは全部で20人程度その中の2人にミシアとレナが入っている。

 もちろんこれは、正式な入学試験を受けた結果である。

 俺は女王から最低クラスに入るように命じられたが、つまるところ裏口入学…不正である!



 在校生が大きな体育館的な場所の椅子に座っている。でも椅子と言っても偏見だが結婚式場の椅子みたいに長い。長椅子と言えばいいのか?


「これより、王都魔導専門高等学院の入学式を執り行います」


 特待生クラスから順番に入場する。最低クラスはもちろん最後だ。


「入学許可候補生。ミシア・アダルシア。前へ」


「はい!」


 同時に全ての生徒が立つ


 まぁ長いので割愛するがこうして俺達は新入生となった。



 さっきも言ったが入学方法は不正である、なので


「あいつって──」「見てみて」


 こんな感じに噂がたつ、火のないところに煙は立たないと言うが、ガッツリ火が立ってるので煙どころか黒煙である。


(女王はこれを狙ったとか?)


【不明ですが、平等派とはいえ不正している人には話しかけないと思われます】


(つまり逆効果だと言いたいわけだな)


【肯定します】


 まぁ確かにいい人でも不正入学したやつに話しかけたくないよな。


 そんなこんな思っていると最低クラスの教室に着いた。


 ガチャ


 この世界の学院というか学校はドアである。

 教室に入るのにドアを開けるのは少し違和感があるな、慣れてかないと。


 俺は後ろの方の席に座った。この世界では高等学校なのに大学みたいに席は決まっていない。授業内容は決まっているが


 ゴーーン……ゴーーン


 この学院のチャイムだ。1日目だし説明で終わるだろうか?


 先生と思われる成人男性が入ってきた


「よォ、俺はこのクラスの担任になった【フレン】っていう。先生ではなくフレンって呼…べ」


 フレンが俺の姿を見て少し驚いた顔をする。


(どこかで会ったことあるっけ?)


【冒険者になる時、試験監督をした人です】


(あぁ…あいつか)


 試験監督と教師を兼任してるのか?


「まぁいい、とにかく今日は自己紹介と授業内容を簡単に説明して終わりだ」


 全生徒をこの目で見た感じ人間は全体のおよそ30%。獣人は20%。匠人ドワーフが15%

(割愛)


 まぁこんなこと言っても分からないから(自分もよくわからん)、簡潔に言うとたくさん種族がいますよってことです。

 誰に話してんだろなぁ


「次、トハン」


「はい。私の名前はトハン、種族は人間。得意なことは特に無し、よろしくお願いします」


 別に言うこともないしな。


「短いがまぁいいだろう」


 そうして自己紹介を聞いていくと、結構訳ありっぽい人が多い。双子や羽生えてるやつ、怯えてプルプルふるえてたり、結構カオス


「あーまぁとにかく今日はこの辺でな」


 ゴーーン…ゴーーン


「トハンだけは学長室に行ってくれ」


「はい」



「失礼します。」


「来たかトハン君…いやSSランク冒険者スログアドラー様と言った方が宜しいですかな」


「……トハンとお呼びください」


 女王から聞いた学院に1人だけ事情を知っている奴がいるって言うのはこの人か…


「ではトハン君突然なんだが君にお願いしたいことがある」


「なんでしょうか」


「君に特待生クラスの実技授業の先生になってくれないか?」


「どういうことでしょうか」


「最近魔素の乱れによりこの学院の下にあるダンジョン。無限迷宮の魔物が数段階強くなっている。教師で倒すことは可能だが何が起こるかわからない。だから君の力を借りたいんだ」


「私も授業があるのですが」


「大丈夫君は病弱ということにしてある。数日間休んでもバレないだろう」


 俺は正直ミシアとレナ以外の人間は助けようとは思わないが、依頼ならしょうがないか


「やってくれるね?」


「わかりました。喜んでお受けさせていただきます」



 やっと一日目が終わった。にしてもあの学長……Sランクくらいか?力はあるな。


「ねぇトハ」


「何?どうした」


「最近は闘ったりしないの?」


「そうだなぁ。闘うことは無くなるかもなぁ」


「えぇー暇だよー」


 まぁ力が有り余ってる状態の神族は星ごとぶっ壊しそうだからなぁ。


「じゃあ俺と闘う?」


「本当?やったー」


 あれから時間が経っている。技術だけじゃあ勝てないかもしれないな。


「ってどうした?シリク」


「最近【人化の術】ってのを覚えたの」


「へぇ…」


 人化の術か、名前の通り人に化ける為のスキル。スキル究極能力くらいだろうか


「人の姿で闘うか」


「わかった!」


 シリクは光に包まれていく───


「これが人間の姿かー」


 ぴょんぴょん跳ねているが、とにかく…

 子供…身長は小学2年生くらいか…

 前も説明したと思うが、攻撃を避けるのには体が小さくてパワーがあるやつが原理上最強である。相手の距離感を惑わす為だ。


(これはいい闘いになりそうだ)


【称号・戦闘狂候補が戦闘狂になりました。能力値が上昇します】


「よーしそんじゃあまた分身体の俺が合図をするからなぁ」


「やるかシリク」


「うん!」


「本気で来いよ?」


「もちろんだよ!」


【想像弱化を解除・一部スキルを発動】


「それではーーーー初め!」


 分身体の花火ファイヤーフラワーの爆音により戦闘は開始された。


 刹那──地面を強く踏み込んだ衝撃の音。速すぎてスキルを使っても捉えられなかった。

 トハンは何とか防御魔法を展開する。


 スキルを使わず物理的に縮地をしたか…狙ったか狙ってないはともかく、今の俺ならシリクの一撃で死ぬ。


『一点集中!防御魔法・完全盾パーフェクトシールド!』


 パキパキと音が鳴る。


 防御魔法は大きさを小さければ小さくするほど強度が上がって壊れにくくなるはずだし、パーフェクトシールドを破壊寸前まで持っていくとは…完全盾とは一体──


 呑気なこと考えてる暇はねぇな───


『職業支配・マスタージョブ・フルオーラ』


 封印された神と現役の神じゃあ実力差がありすぎるな…シリクはまだスキルが使えない。正確に言うと使いこなせない。何とか持ちこたえているのが奇跡だ。


「はぁ!」


 トハンは刀を振り下ろすがシリクは右足に力を入れて踏み込み、トハンの目では視界の右側に消えていったのが限界だった


 右を向くと既に右手が顎の下に来ていた。


 マズっ反応できない───


【危険を感知しました。自動戦闘作業オートバトルモードを起動。最適化を開始。最適化が間に合わない為、身体結界を発動します】


 シリクの攻撃は、サトによる結界で少しだけ威力を下げた為気絶は塞いだが完全盾でギリギリ防げた攻撃を結界なんかで防ぎきれてはいない。それに脳震盪で集中できない。


自動戦闘作業オートバトルモード・最適化完了。戦闘を開始します】


 俺の意識は朦朧としているが、サトはサトで、俺とは解離した意識を持ってる。

 それに…


【脳震盪による症状により視界不良・瞬間再生を発動】


 サトは的確に状況を判断し、回復も入れながらシリクを足止めしている。水魔法と土魔法を応用して沼を造り出したり。


【神魂言霊を発動】


「動くな」


 神魂言霊とはいえ神であるシリクには長くて3秒だろう。

 それにデメリットとして同じ相手に同じ強制は数秒間使うことが出来なくなる。


【今現在習得しているスキルでは倒すことが不可能と断定・新スキルを創造します】


 またチートスキルでも出来るのか?


【創造完了【解析変換ラーニングチェンジ】を創造しました。解析変換を発動します】


「あれっ!?」


 その一瞬の隙に縮地を発動しみぞおち鳩尾を本気で殴り。シリクは気絶した。


「勝者・トハン」


 分身体が消える。


完全回復パーフェクトヒール


「んー、また負けたー!」


 プンプンしているが正直これは俺の負けだ。

 まず、サトの完全任せにまで追い込まれたことと、武技が使えない距離を保っていた。

 武技の虹蜺一閃は使えなかった。今の俺が出せる最大火力。


「次闘ったら負けるな。ほぼ確信しているよ」


 強くなった。あとはスキルさえ使いこなせるようになれば、今の俺なら負ける。


「はははっ!成長が楽しみだ」わ

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