第5話 女房生活、やっとスタート

「そなたたちに、女房としての教養を教えるぞ。」

おおー!

「きゃー‼︎」

美沙さんの喜び方がアイドル登場なみ。

「ついてくるが良い。」

ははぁっ。(言う相手が違うと思う)


「楽器は女房の教養じゃ。」

どこかで琴の音がする。

ポロロン

日本の音楽って、癒されるよね。

「お主たちは、何ができるのかの?」

「ピアノです。」

「美沙さん、ここ平安です、ピアノは存在しませんよ!」(小声)

美沙さん、きっと平安の生活を見れて嬉しいんだね。だから上の空なんだよね…。

「ピアノ、とは何かの?」

「「……あはは。」」

もう笑って誤魔化すしかない。

「あ、そういえば、私、琴ができます。」

「おお、そうか。たまには貴族の方々の前で披露することもあるだろう。」

学校の音楽の授業に感謝。


「双六をやったことはあるかの?」

「ありますよ!」

「明ちゃん、サイコロ振って、『わー一回休みだー』みたいな双六じゃないからね。」 

あ、そうなんですか。

「私はルールわかるよ、平安時代の遊びやりたかったから、友達まで誘ったの。」

へー、じゃあできるんだ。

「でもね、みんな普通のすごろくだと思ったみたいで、」

あらら。

「ルール説明したら難しかったらしくって、小1だったし。」

あららら。

「そのあと双六はやらずに公園で遊んでその日は終わった。」

あらららら。

「やりたかった…双六…やりたかっ…た…。」

「美沙さん、私が付き合ってあげますから、双六。」

「ホントに!」

美沙さんの目、きらきらりん。

なんか、喜んでもらえてよかった。

と、その時!

「定子様。」

播磨さんが言った……って定子様⁉︎

慌てて前を見ると、そこには麗しき女性が!

もしかして、これが噂の、ててて、定子様⁉︎

「定子様っ⁉︎きゃぁ…ぐふっ」

叫びかけた美沙さんの口を慌てて塞ぐ。

こめんなさい美沙さん、急を要するので手荒な真似も勘弁してください。

「そなたたちが新しい女房の武蔵と武蔵式部ですか?」

「「は、はいっ!」」

「仲良くしましょうね。」

「ひぃー…ぐふっ」

美沙さん、叫ばないで!

定子様は、そのまま行ってしまった。

「美沙さん、叫ばないでください!どうして叫ぶんですか、憧れの定子様の前で。」

「だって、叫ばざるを得ないでしょ!明ちゃんだって、推しのアイドルの身の回りのお世話できることになって、その推しに『仲良くしましょうね』なんて言われたらもう喜ぶしかないでしょ!」

推しのアイドルはいないからよくわからないけど、嬉しいってことはわかった。

「ああ、このまま平安で恋したい!例えば鳥がこの部屋に迷い込んできて、飼い主がちょーイケメンとか!」

「流石にないですよ〜(笑)」

しかし、人間の妄想とは侮れないもので。

ぴよぴよ

「きゃー、小鳥迷い込んできたぁー!」

ええええ!





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