第3話 一方、男子二人組は。

一方、柊真と和はというと。


気づくと、畳の上に寝っ転がっていた。

俺–柊真–はがばっと起き上がる。

えっと、何がどうなってるんだ?

「ふぁーあ、平安時代に来たんだぁ〜。」

そっか、俺たちは今、タイ脱で平安時代にタイムスリップしたんだった。

「って、それを起きた瞬間に言える和さんって、すごいですね。」

「だってもう、慣れちゃった。」

はて?

「江戸から帰ってきてからここに至るまでの3ヶ月、僕、いろんなところ行かされたんだよ。美沙いわく、『明ちゃんや柊真君には危険なところ行かせられないけど、和なら大丈夫だよね?信じてるよ?』」

ひいいいいいいい

語尾が怖いです、語尾が。

「そんで、一週間に一回タイムスリップ生活。壬申の乱の戦場の中で戦ったとか、卑弥呼亡くなる直前に召使いになって、卑弥呼亡くなった時に卑弥呼の墓に生き埋めにされかけたとか。」

ぎゃあああああ

「もう、平安とか平和すぎ。」

うん、和さんの気持ち、分かる。

「しかも、この格好だと多分貴族でしょ?僕たちサッカー部だから、蹴鞠とか余裕。」

そう、俺たちは同じサッカー部だったんだ。

なぜ気づかなかったかというと、うちの部、100人の大所帯だから。

「和さん、平安の貴族は、蹴鞠してるだけじゃないですよ。和歌作るとか、儀式やるとか。」

「うわー、儀式かぁ。あ、でも、和歌は詠めるよ。」

「すごい!一句読んでみてください!」

「えーと…、ここで一句。」

ドキドキ。

「中秋の 名月一人 見る夜に」

お、凄そう。

「みたらし団子 きな粉団子」

はあ、名月を見ながら食べるみたらし団子、いいよね…、って、最後の七七がさぁ。

「美味しいよね、みたらし団子。」

「いやそうですけど、だからって最後『みたらし団子 きな粉団子』は流石に平安貴族はやりませんよ!ちょっと字足らずだし。」

「字足らずは別にいいでしょ。」

や、言いたいのそっちじゃないんですが。 

その時。

ブブブッ

腕輪が震え出した。

「そうそう、この腕輪、通信機能が追加されて、あの博士と通信できるんだよ。」

へぇ。

その後、新ルールの説明を受けた俺らは、通信を切る。

「……ギュッ♡」

「和さん、からかってます?」

「ごめん。……ギュッ♡。」

反省…してませんよね。

「和さん、腕輪投げるの禁止になったのは俺らが、原因ですけど、抱きついていい感じになる〜の下りは、和さんも含まれてますからね…ギュッ。」

「柊真くん、ギュッは語尾をあげないと…、には僕たちも含まれてる⁉︎」

ボッ(和さん赤面)

まあ、怒りは収めよう。

さて、こんなこと続けてたら、が進まない。

平安では何があるだろう?

いつになったら、あいつに会えるんだろうか…

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