第23話 俺の自由世界にバニーが保護される



今、黒ヒョウちゃんから、進化したバニーは、いじいじと地面に何かを書いている。



「こんななずじゃなかったのに……」と。



どうやら、俺と意識合体をしてみたが、その結果、思い通りにはできないことに気づいたらしい。



その理由は、俺が無数に分身しはじめたからだ。



バニーの想定外の俺がたくさん出現してしまったのだ。



しかも、それがどんどんとさらに分身していって、中にはバニーの嫌がることをしたがる俺まで生まれはじめたのだ。



「バニーちゃん……おいしそう……」などと言い始める俺まで出現してしまった。



いやいや、これは食べ物ではないんだよと俺が教育するも、なかなか……



仕方がないので、バニーには、一時、バニー用のミニ世界に避難してもらうことにした。



意識合体は、一時、休止にした。



でないと、俺もバニーも不自由になるとわかったからだ。



船頭がたくさんいると、船はあらぬところに進む……



せっかくそのために安全プライベートミニ世界が使えるようにしたのだ。



無理に合体している必要はまったくない。



お互いプライベートなミニ世界で自由にやればよいのだ。



たまに、テレパシーで会話したり、たまに互いにミニ世界にご招待するくらいでちょうどいい。



まあ、つまりは、俺の自由世界では、みんな自由に楽しもうぜ! ということだ。



互いにいろいろ相手のために犠牲になったり、気にしてやりたいこともできないとかは、つまらない。



俺の自由世界に参加する以上、自由に楽しんでもらわねば、自由世界を創造する意味がない。



ただ、自分以外の他の意識たちを苦しめたり、いじめたり、酷い体験を強制したりすることは禁止だ。


互いに禁止。



というか、そもそも俺の自由世界は、そうした酷い体験の強制ができないように設定してある。



相手が望まない酷い体験を強制しようとしても、相手に拒否権があり、不可能なのだ。



ゲームで言えば、他のキャラに攻撃をしたり、何かしたい場合に、それを起動する前に間があって相手の意識に「●●さんからの、この攻撃、もしくはアクションを許可しますか?」


と聞いてくる感じだ。



そこで相手がNOと応じれば、その攻撃もアクションも発動できない。


まあ、そういうプログラム設定がされている世界だと理解してもらいたい。


だから、相手が嫌がっているのに、無理やり嫌なことをするなどということは、不可能となっている。



この機能がなかったために、俺の元いた世界で、どれだけの意識たちが苦しんだだろうかと思うと、なんだか泣けてくる。



この機能さえつけておけば、すべての苦しみや悲しみや拷問は生まれなかったのに……と思うのだ。


「なんでつけへんねん!」と、大阪太郎君が、また喚いているが、気にしないでおこう……



まあ、そういうわけで、バニーは、俺の自由世界のミニ世界に保護されることになった。



まあ、出てきたければ、いつでも自分の意志で出てこれるので、好きにやらしておこうと思う。



バニーはバニーなりに、自分が望む世界を創造すればいいのだ。



プライベートミニ世界に自慢作ができたら、ご招待してくれ、俺もご招待しよう。



こうして俺は、バニー師匠を俺の自由世界に取り込んだ。いや、保護した。


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