第11話 意識だけの状態になる方法
俺は、好奇心で過去のいろいろな時代を意識だけの状態で訪問した。
俺は、できればすべての魂たちを俺の自由世界にご招待したいと思っていた。
だが、相手が心から望んでいなければ、そもそもご招待できない。
さらに、相手の意識が肉体という体験強制装置から自由になれていないと、これまたご招待できなかった。
そして、ほとんどの人たちが、肉体から自由になれていなかった。
そもそも、肉体から自由になろうと思ってすらいなかった。
これは、親や社会がそうした教育をしてこなかったからだろうと俺は思った。
というか、以前の俺もそんな状態だったのでわかるのだが、つまりはそうした可能性をぜんぜん知らないだけなのだ。
よって、そうした方法を知りたいと求めてくるような魂たちであれば、ご招待できる可能性があった。
永遠に肉体の中にいたいと思っているような魂たちには、残念ながらその方法を伝えることもできなかった。
聞く耳持たないという感じで、相手にすらしてもらえない。しまいには、悪霊退散!!!などと怒鳴られる始末だ。別に無理強いする気はないのだ。嫌がられてはやってられない。
だが、そうしたことに興味がある者もわずかではあるがいた。
そもそも今の世界が嫌で嫌で自殺したいとすら思っているような者たちは、結構、話を聞きたがった。
彼らの多くが、肉体や世界といつ決別してもいいという感じで、ほとんどこの世界を見切っていたからだ。
意識だけの存在になる方法は、実は、そう難しいものではなかった。
要するに、自分が肉体や●●会社の重役や田中なにがしさんやお父さんやお母さんや●●国人や……ではなく、自分が自由な意識であると自分の意志で断固として決めれるかどうか なのだ。
つまりは、自分の意志で断固として完全に自分が自由な意識であると決めることができれば、意識だけの存在になれるのだ。
そのためにいろいろな修行や準備や学習が必要な場合もあるが、必要ない場合もある。
そうしたことは、あくまで自分が時空を超えれる自由な意識なのだと断固として完全に決めれるかどうかを後押しするための修行であり、準備だからだ。
はじめからその完全な覚悟や決意が持てるのならば、いきなり自由な意識だけの存在になることも可能なのだ。
つまりは、「自分は何を望むのか?」 という問いにそのような答えを断固としてできるかどうかなのだ。
権力者たちは、意識だけの存在を支配することができないことを知っていたから、この秘密をわざと教えないで隠していたらしい。
「自分とは何か?」という問いにほとんどの人が断固として断定的に答えることができないのにはそうした隠された理由があったのだ。
この問いに対して、
「自分が時空を超えることができる自由自在な意識存在である」
などと答える者など、ほとんどいなかった。
そして、肉体に利己的な生存本能などというものをプログラムして、肉体に入れられてしまった魂たちに肉体が一番大事だと思い込ませるようにしたのだ。
そもそも、寿命で肉体が滅ぶことがわかっているのに、その肉体が滅びないようにすることを最優先しようと考えること自体、妙だ……ということにすらほとんどの人は気づいていなかった。
それは、生存本能にプログラムされた仕組みが、そのように思わせるように設定されていたからだ。
そんなことが、意識だけになると、当たり前のようにわかってしまう。
だから、自分が肉体であると信じ込んでいて、肉体の滅びを恐れ続けている者たちは、意識だけの世界にご招待することができないのだ。
俺は、それを「生存本能の壁」と名づけた。
また、生存本能からは何とか自力で自由になれた魂であっても、物質世界での支配欲とか、所有欲とか、そうした執着が強すぎると、これまた意識だけの世界にはご招待できなかった。
その今いる物質世界そのものが丸ごと魂を呪縛するためのトラップになっていることに気づけないと、どうしてもそのトラップの外に出ることができないのだ。
トラップは、ひとつだけではなく、いろいろな種類が多重構造で仕掛けられていたので、そのすべての呪縛から自由になれる魂は、ほんの一握りだった。
経済システムさえ変えれば自由になれるとか、社会的に成功すれば自由になれるとか、支配者がいない世界になれば自由になれるとか……そうしたことも全部、トラップの一部であるということに気づける魂は、非常に少なかった。
それらは、すべて物質世界という大きなトラップの中の話でしかないからだ。
そのトラップから完全に脱出するためには、「物質世界の法則」や「生命世界の本能」や「人間社会の常識」……などを丸ごと無視できるくらいの知恵や覚悟や意志が必要だった。
だが、中には稀にはいるのだ。そうしたトラップを丸ごと捨てようと思う魂が……
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