第3話 強く願う
強く願うということが鍵だったようだ。
俺は、自分が望む世界を強く願うことで孤独ではなくなった。
世界が消える前にいろいろな小説や漫画を読みまくって、いろいろ空想する材料を集めていたのがよかったみたいだ。
すでに、肉体がなく、社会も、世界も消えているので、空想だけに集中できる。
幽霊さんは、黒ヒョウになり、ついには、ありとあらゆる姿に変身するようになった。
しかも、姿形だけでなく、中身まで時々変化することがわかってきた。
メイド服の美少女の姿で、たまに
「何いうてまんねん、あんた」などと言ったりしはじめるのだ。
「きゅい、きゅい、きゅ~!」などと意味不明なことを言い始めることもある。
はじめは、「え?」と思ったが、中身も変わる方がスリルがあってよいかもしれない。
たまに、どこから来たんだ?と思えるような想定外の変なキャラまで出現しはじめた。
俺は、開けてはならないヤバい世界に通じる扉を開いてしまったのかもしれないと思った。
次第に、変身するだけにとどまらず、勝手に分身までしはじめた。
しかも、分身して出現したキャラが、また別の姿やキャラに変身するのだ。
一体、これはどういう仕掛けなのだろうか…
俺はてっきり、俺がイメージしたものしか形にならないと思っていたのだが…そうはならなかった。
さすがに、魔物系のキャラが出現する場合もあった。俺が強く消えろと意志すると、たいていは消えるのだが、気を抜くとまた出現しはじめる。
まるで自分で制御できない食欲や性欲に翻弄されているような心境になる。
頼んでもいないのに、湧いてくるのだ。
次々と、いろいろな予測不能なキャラたちが湧いてくる。
それはそれで飽きないし、楽しめることも多かったが、たまに俺に襲いかかってくるキャラまで出現してきたのには焦った。
襲われてはかなわない。
一体、どうなっているのだろう…
俺が気を抜くと、変なのが出現してくるのだ。
彼らは、無意識の海の底からやってきた使者たちなのだろうか…
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