第2話 俺は幽霊さんとお話する
幽霊もどきは、まだ形がおぼろであったので、すぐに消えてしまいそうで心配だった。
今のところ、会話はできるようだが、消えてしまっては困る。
そこで、俺は、幽霊もどきに、なんとかもっとしっかりとした形になれないだろうか?と質問してみた。
すると、
「どんな形がお好みですか?」などと言う。
いや、どんな形がお好みかとか言われるとなんだか困るではないか。
ここでメイド服を着た美少女……などと言うのが王道なのかもしれない…
だが俺は、誰も知らない秘密の道を進みたくなる性分だ。
俺は思い切って言う。
「じゃあ、黒ヒョウで」
すると幽霊さんは、「は?」と言う。
「黒ヒョウって、あの猫族の大きい奴ですか?」
そうそう、それ。
俺は、うなずく。
幽霊さんは、「ええーー!!!」などと騒いでいる。
「黒ヒョウではダメなのか?」と聞くと、
「ダ、ダメではないですけど、本当に黒ヒョウでいいんですか?」
などと言う。
俺は、「うむ、黒ヒョウで」と伝える。
幽霊さんは、なんだかモジモジしながら、
「で、では……」とかいいながら、黒ヒョウの姿に変化してゆく…
ついに俺の目の前には、立派な黒ヒョウらしきものが出現した。
黒ヒョウのくせに少しモジモジしているところが、なんともかわいい。
さて…ここからどうしたものか…
とりあえず、背中に乗ってみたいなと思う。
すると、俺のその思いを察知したのか、幽霊さんから変化した黒ヒョウさんは、後ずさりをしはじめた。
いや、なんでも言うことを聞いてくれるんじゃなかったのか?と思うが、
「そんなわけないでしょー!」などと言われてしまった。
どうやら、何でもありというわけではないらしい。これはちょっと不自由だなと思う。
だが、まあ、モジモジしながらも黒ヒョウさんに変身してくれたのだから、それはそれで満足すべきなのだろう。
仕方ないので黒ヒョウさんの背中に乗るのは、今はあきらめることにした。
ちなみに、頼むとたいていの姿に変身してくれることがわかった。
メイド服の美少女はもとより、怪鳥とか、ロボットとか、エプロンを着た二頭身の竜とか…にも変身してくれた。
俺は、自分が新しい世界を創造しはじめているということに、この時点ではまだ気づいていなかった。
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