第2話 怪我人が沢山です!
食事のあと、クロと戯れてると双子がやってきた。双子は大人しいジルと活発なヨルで黒髪にブルーの瞳の可愛らしい男の子達だ。双子の見分け方はまぁ性格が全然違うのですぐ分かるが、ジルは右目の下に小さいホクロがある。
「ねーちゃん行ってきます」
「行ってきまーす!」
「ちゃんと勉強してくるんだよー」
「「はーい」」
双子はこのアンガル村の小さな学校に通っている。生徒も数える程しかいない。皆顔見知りの子ばかりだ。
私は2人を見届けるとクロとも別れて家の中へ入ると丁度お母さんがチロを着替えさせている所だった。チロは黒髪にグリーンの瞳の天使だ。
「チロ~」
「ねーたんもりにいきゅのー?」
そう私は今年から猟師デビューしたのだ。父達のグループと一緒じゃなく個人プレーだ。
「うん、大物捕まえてくるよ!」
「しゅごーい」
「気をつけるのよ」
個人プレーといってもパートナーがいます。そうクロです。私が森に入ると自然と隣にやってくる可愛い相棒だ。
『森が騒がしい、何かいるぞ』
「レッドボアの大群かな!」
『言ってみるか、ライラ乗れ』
「がってん承知!」
『…』
ライラはクロに乗ると物凄いスピードで森を駆ける。するとそこには見覚えのある人物がいた。
「お父さん?」
ライラの父親のゴルムは黒髪にブルーの瞳の若々しい美丈夫だ。とても猟師には見えず貴族といっても違和感がない。そんなゴルムと他の猟師達の目の前には酷い惨状が広がっていた。
「ライラ!丁度良かった!こいつらに回復魔法を頼む!」
そこには大量のレッドボアの死骸と見覚えのない人達が血塗れで倒れていた。冒険者なのだろうか、鎧を纏い剣を持っている。ライラはクロから降りて順番に回復魔法をかけていく。
【ヒール】
倒れていた人達の傷口が塞がり皆起き上がる。致命傷だと思っていた傷が簡単に塞がった事に驚きを隠せない面々。
「ありがとうございます、まさか助かるとは.....もう駄目かと」
「良かったな!うちの村で休んでいきな!」
「よろしいんですか?改めまして私はライオネルと申します。」
話を聞くと、サーレント王国という国の騎士団らしい。ある任務のためこの森に来たがレッドボアの大群に遭遇してしまい今に至るらしい。レッドボアでこんな怪我する人いたんだ。
騎士団は団長のライオネル含め5人の精鋭部隊らしい。レッドボアにもやられたのに?ライラは疑問に思いながらもクロの元に戻る。するとライオネル達が唖然とこちらを見ているのに気付く。
「何か?」
「お嬢さん...その狼は神獣フェ..フェンリルではありませんか!?」
「いえ、家の番犬ですが?」
「は?番犬?」
ライオネルはフェンリルを見ると気にしてないのかあくびをしている。
「クロは家の番犬でな、ライラが拾ってきたんだよ。」
ゴルムが軽々と巨大はレッドボアを担いで言う。他の猟師も軽々と担ぐのにも驚いたが、ライラと呼ばれた少女も軽々と担いでいる。
この人達はどうなってるんだ?それに一番の謎はライラだ。回復魔法をは白魔術師のごく一部しか使えないはずだ。
だがライオネル達が本当に驚くのはこれからだった。
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