殿中曲【九星八十八】

 ラスト殿中曲は、周羽が作曲した九星八十八です。


 さて、この九星八十八。九星と八十八でそれぞれ意味合いがあります。天文学をちょっとかじったことのある方はピーンと来たのではないでしょうか?


 まずは九星。水金地火木土天海(冥)です! わからんわ! 太陽系の惑星です。私が子ども頃に冥王星は準惑星に降格されたため、実際には八星八十八がふさわしいのですが、「はっせいやそや」と「きゅうせいやそや」をそれぞれ口に出して読んでみると、後者の方がしっくり来たんですね。

 私は占いはあまり詳しくないのですが、「九星」には一白・二黒・三碧・四緑・五黄・六白・七赤・八白・九紫という、暦と占いをミックスさせたものという意味があるそうです。中国の民間信仰とありました。これが九星とした理由の一つです。

 もう一つは「救世」

 世を救う、なんて大それたことを御曹司は考えたわけではないのですが、御曹司にとっては音楽がすべてで、そのためならば何でもするという人なので、「音楽=救い」というわけですね。

 

 お次は後半の八十八。やそや、いい響きです。

 これには二つの意味があります。前述した天文学で合わせるなら、現在天文学で発表されている星座の数が88なのです。九星の方が過去の意味を持って来るなら、こちらは現代で合わせようと考えました。過去から未来に引き継がれた音、という意味を込めました。

 もう一つは、中国の民間信仰に合わせて「8」を重ねるというものです。中国では8は縁起のいい数字とされていて、日本でも末広がりという事で縁起がいいものと考えられています。西洋では、8を横倒しにして「∞(無限大)」ということで縁起が良いとされてるそうです。

 8を重ねて八十八。縁起の良さ、そして永遠に続いていく音、という意味を込めました。

 ある意味ラスボス曲なので、豪勢にしたかったんですね。


「らすぼす? よく分からないが、俺が出せるすべての音をつぎ込んだ。この曲で人々が安らげるなら、俺にとっての一番の幸いだ」

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羽子伝~楽典~ 一色まなる @manaru_hitosiki

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