玄国

 玄国は羽たちが住んでいる辰国の北側に位置する、いわゆる遊牧民族の国です。辰国とは険しい山脈を挟んでいます。子どもにはとても耐えられない厳しい山々で、そこを抜けると広大な草原が広がっています。

 

 とにかく広大で、盾となるような山や川など無いため、都を作り都市国家をつくるのに困難でした。そのため、ここに住む人達は少数人数で集まり、移動しながら暮らすことになりました。移動しながら暮らしているため、同じ国の人間だと分かるように、旗を作ることにしました。


 それが「大八部族旗」というものです。この色は作中で出てきたように、赤と黄金、青と黒、と言ったように決まった色を使い、また狼を図案に組み込むことで玄国の人間である証としたのです。家族単位で暮らしているところもあれば、複数人の家族が寄り集まっている場合もあるのですが、旗を見ればどの部族の所属か分かるようになっています。


 また、部族同士で大まかな縄張りがあるので、それを確認しながら移動しています。数年に一度部族長が集まり、大部族会議を行います。会議の内容はその時々で変わりますが、満場一致が原則としています。これは、互いに離れて暮らしているからこそ、共同意識を高めておかないと、災害や疫病、他国の侵入などの緊急事態の際、統率が取れなくなってしまうからです。

 共通の情報網はありますが、一つの部族が協力せずにいると共倒れになってしまう確率が上がってしまうのを恐れています。


 部族間での”王”は持ち回りのため、あまり権力はありませんが、子牙の出身である天狼族は別格の扱いを受けていました。一番古い部族であり、前述した緊急事態の際の統率力を買われ、他部族から信頼が高かったのです。このため、天狼族を”王”と勘違いした他国の介入により、滅ぼされることになるのでした。

 幸い、子牙は混乱した会場から脱出することができ、玄国と辰国の狭間にある還鶴玄楼に匿われる形で生き延びることができました。その後は、周家に引き取られ迎えが来るその日まで周子牙として生きることになったのでした。

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