蔭位の制 

 二章で羽が無自覚坊ちゃんモードになって漏らしたのが、この蔭位の制です。これはざっくり申しますと、

「高い身分の貴族の子ども達は、ちょっと位階さげるけれど貴族として扱うよ」

 と、いうことです。

 今の感覚で言えば、コネ入社、縁故就職と言ったところでしょうか。日本では、平安時代にありました。平安時代のイメージの一つに、貴族は貴族、平民は平民、というようにバキッとした身分制度があったので、貴族にはそうおちおち没落してもらうと困るのが、時代背景にあったのかもしれません。

 なにせ、この時代の平均寿命や災害に対する意識を考えれば、藤原四子のように疫病で全滅することだってあり得るわけです。


 日本史の授業でこの話を聞いた途端、「これネタになるな」と教科書に色んな意味でマーカーを引いたのは記憶にあります。高い位階を得られれば、必然的に子ども達にも同様に位階が授けられるので、二つ名を獲得した澄に子どもができたとき、その子はもう「平民」ではないのです。

 

 澄はその生い立ちのせいで、自分を「なにも持たない子ども」だと言ってしまうところがありますが、そんなことはないと御曹司も言っています。


羽「あの二胡を何もないって言われたら、俺なんか……」


 あ、御曹司が落ち込んだ! ではまた次回!

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