殿中曲【還鶴玄楼】
第三章に登場する還鶴玄楼。これは、漢詩からとってきました。
黄鶴楼をモチーフに、異国情緒あふれる曲想になっています。物語での還鶴玄楼は黒い楼閣で、玄国と辰国の国境にそびえています。
互いの国を行き交う際の関所代わりにもなった場所で、作中のとある人物の記憶の奥底にある光景です。彼は楼閣を檻だと思っていたのでしょうか。それに安どしていたのか、はたまた……。
元々は玄国の有名な歌からとられた作品で、玄国の人間なら「この曲……どこかで」となる曲なのですが、辰国側にとってみれば殿中曲。この温度差も羽子伝ならではのものではないでしょうか。
中心の楽器は馬頭琴。馬頭琴と言えば皆さん国語の教科書に出てくるあの羊飼いの少年ですよ。玄国を出そうと思った時、馬頭琴は出したいと思いました。ついでに二章ではこれっぽっちも楽器を弾いていない坊ちゃんにも来ていただいて、三人で奏でることになりました。
実は、馬頭琴の音を生で聴く機会があり、一色はその時「夕暮れの草原」を見ました。その光景に黒い楼閣があったらいいな、と思い第三章の下地にしたわけです。夕暮れの草原はまるで黒い海のよう。さざめきは波の音。その中でひときわ目を引く楼閣は、きっと旅人たちの目印になったことでしょう、と。
羽「まさか異国の曲が殿中曲になるとは思わなかったな。だから明英は知っていたんだな」
馬頭琴の音色はどうだった? 御曹司。
羽「あぁ。弦を使う楽器だから二胡に似ているが、どこか違っていい音だったよ」
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