殿中曲【遠吼孤虎】

 二章で登場した殿中曲は【遠吼孤虎】です。これは元ネタは分かりやすいんじゃないでしょうか。


羽「人虎伝説だろ?」


 『山月記』という小説からとりました。


「まさかその声、我が友李徴子か!?」


 という、ネットミームにもなった作品ですね。ですが、これをそのまま持って来ると、殿中曲にしては暗すぎると思ったので、山月記とは違う方向で虎に変化した男を出しました。原作は好きですし、国語の授業は楽しかったですよ。


 曲自体のモチーフとしては、原曲が力強いけれど、別バージョンだと落ち着いている曲を選んできました。限定するわけではなく、今回は人物にスポットを当てたいので、曲のモチーフはあえて選んではいません。


羽「澄の腕前と、描写にこだわりたいからだな」


 感想でも、原曲の遠吼孤虎の描写が印象深いとのコメントを頂き、とてもうれしかったです。速さと激しさが際立つ作品で、優雅で優しい【春想月花】とは全く異なる雰囲気を持つ曲になります。春想月花が春なら、こちらは秋ですね。


 そして、春想月花は王宮の手入れをされた庭園ですが、遠吼孤虎は手つかず、しかも草木もほとんどないような岩壁むき出しの荒々しい山です。この対照も、考えてみると面白いかもしれませんね。


羽「春想月花は聴いていると安心するけれど、遠吼孤虎は急かされる感じがするよな。何度手が絡まりそうになったことか……」


 殿中曲はまだまだあるので、また話していきましょう。それでは、次に行きましょう!

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