第103話 子供が欲しい姉と
リルカを使うことは彼女たちを愛する行為でも、彼女たちを愛することがリルカを使うことではない。リルカがなくたって私は彼女たちを愛していいんだ。
そんな当たり前のことを不良ちゃんに教えられたついでに結局リルカを使ったけど、後悔はなかった。……なかったと言えばなかったのだ。
もとはといえば
この感動をだれかと共有したいという気持ちを、向けるべき人はすぐそばにいた。
「―――あら、ゆみ。どうしたの?」
扉を開いた姉さんが私を迎え入れてくれる。
私は姉さんにぎゅっと抱き着いて、ぱちくりと瞬く驚きを見上げた。
「あのね、姉さん。今から少しだけ、私と過ごしてくれる?」
「ええ。もちろん。……ふふ、甘えんぼさんの日なのかしら」
「どうかな」
私はにっこりと笑って姉さんをベッドの上に誘う。
ふたりで隣り合うと姉さんはすぐに私を押し倒して、柔らかな笑みとともに抱きしめてくれる。
「好きよ、ゆみ」
「うん。……私も。もっとぎゅっとして?」
「ふふ。はぁい」
姉さんの手が優しく頭をなでてくれる。
耳元にちゅちゅと触れる温かくて柔らかい感触。
お返しに頬を吸いながら、身体をくるりと入れ替える。
「あら。今日は、あれはしないの?」
「後のお楽しみかな」
にっこりと笑いながら、姉さんの衣服の下に手を潜らせる。
ぐい、と無理やりに押し上げて下着を外すと、大きな塊が弾むのが服の上からでもわかる。
「ゆみ?」
とろりと溶ける姉さんの瞳。
まるでなにかを期待するような視線。
ユキノさんは姉さんを説得できなかったのだろうか。
それとも私が求めるのならどうだっていいのかもしれない。
まったく姉さんはあまりにも無防備で、そしてどこまでも私を愛してくれる。
だけどもちろん、そういうことはしてあげない。
ユキノさんに顔向けできないし、なによりまた姉さんを戸惑わせてしまうから。
私はゆっくりと姉さんの服をまくっていく。
露になったおなかは、結構運動を頑張っているけどふにふにで、ひそやかなつぼみがいじらしく芽吹いている。
そっと柔らかな場所に指先を沈めると、姉さんは喉の奥に息をためて、「っ、ふ」と熱っぽく吐息する。
「姉さんのおへそ、かわいいね」
「そんなこと、ユキノにも言われたことないわ……」
「そうなんだ」
自然に口角が上がって、にこにこと笑ってしまう。
くりゅくりゅとおへそをほじりながら、かわいいかわいいって、めいっぱい姉さんに伝える。
「んっ……」
「かわいいね。ふふ。こういう姉さんも素敵だよ」
くりくりとおへそをかわいがりながら、手首あたりで姉さんのおなかを押す。
「姉さん、ユキノさんの子供、ほしい?」
「んぅ…ええ……」
「姉さんが産むの? それとも、ユキノさん?」
「分からないわ……」
「そっか」
ぐいぐいと押すおなかの奥には、姉さんの子宮がある。
いつかユキノさんとの子供が宿るかもしれない場所。
私の熱で、いっぱい、温めてあげる。
「ゆみ、っ、ゆみ、まって、」
「どうしたの? おなか、触ってるだけだよ」
「っ、いじわる、しないで、」
「いじわる? なぁにそれ」
くすくすと笑いながら姉さんのおなかをなでさする。
いつも私を甘やかしてくれる姉さんが、こんなにも追い詰められたみたいに私に縋り付いている。
それがたまらなく心地よくて、全身が焼けそうなくらい熱い。
「姉さん。いつかユキノさんの子供ができたら、ちゃんと教えてね。もしもこの家を出ててもね」
「うんっ、うんっ、ぅ、」
「そしたらまた、いっぱい撫でてあげる。姉さんがちゃんと元気な子供を産めるようにって、いっぱい応援してあげる」
「だっ、め、かも……」
「ふふ。どうして? 私の初めてをもらってくれるって言ってたじゃない。それと比べたら、別に大したことじゃないよ」
「ちがうのっ、ちがうのっ」
泣きそうになりながら私に縋りつく姉さん。
かわいくて、たまらなく愛おしい。
「ゆみ、これ以上は、だめっ、お願い」
「どうしてイヤなの?」
「嫌じゃないの、でもっ、でも、ぉ、」
いやいやして逃れようとする姉さん。
どうやらこうしておなかをなでるだけの行為が、姉さんの何かを刺激しているらしい。
もしかするとユキノさんに悪いことをしてしまっているのかもしれない。
そんな危機感が、あの姉さんをこんなかわいい顔に、姿に、色に、している。
それとも単に別の理由なのかもしれない。
位置的に、私が押しているのは子宮だけじゃないわけだし。
―――どっちにしても、逃すつもりはないけれど。
「ほら、姉さん―――お望みのこれ、あげるね」
「やっ、おねがいっ、ゆみ、」
悲鳴じみた声を上げる姉さんに、リルカを押し付ける。
気を利かせた姉さんはちゃあんと枕元にスマホを用意しているから、少しも動かなくたってちゃんと契約を交わせる。
「今度、ちゃあんとユキノさんにもやってもらってね。私だけなんて、ズルいでしょ」
とんとんとん、とおなかを叩きながら姉さんにささやく。
すると必死になってうなずく姉さんは、どんなふうにおねだりをしてユキノさんとするんだろう。そしてそのときに、私のことを思い出すんだろうか。
それを思えば胸が躍る。
忘れたくても忘れられないくらいに、いっぱいおなかの奥で私を覚えてもらおう。
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