第143話

3月下旬のある日。 


俺は赤坂と共に社長室へと呼び出されていた。


まぁ何故呼び出されたのか心当たりはある。


多分この前の北海道出張の件についてだろうな。 赤坂は俺の隣でソワソワしながら


「なぁ丹羽、多分あれだよな?」


「俺もそう思う。多分あれの件についてだろうな」


「…かぁ~っ! 遂に俺も昇進出来るのかぁ♪ 入社してから結構経ったけど、やっと俺にも日が当たる日が来たんだなぁ~♪」


「まだ社長から何も言われてないから何とも言えないけど、まぁ俺が思うに赤坂、お前は営業2課長に昇進するんじゃないか? 前もってお祝いの言葉を言っておくよ。課長昇進おめでとう赤坂」


「ありがとう丹羽♪ 丹羽は部長就任かな」


「いや、俺は良くて部長補佐が関の山だと思うぜ」


「いやいや、絶対に営業部長だって。自信持てよ丹羽」


「そうかなぁ? じゃあ期待するか。もし違ったら慰めてくれるか?」


「任せろ。俺の奢りでいつもの居酒屋に行こうぜ♪」


「いつもの居酒屋かよ。もう少し良いとこ連れてけよ」


「馬っ鹿。俺の財布事情を考慮してくれよな 良いとこなんて無理に決まってるだろ?」


「そこを何とか! 赤坂課長!」


そんな馬鹿な話をしながら俺と赤坂は社長室へと向かった。




コンコンッ


「「失礼致します」」


俺と赤坂は社長室のドアをノックして社長室の中に入った。


「丹羽君、赤坂君。 よく来てくれた。 まぁ其所に座ってくれ」


社長に促され俺と赤坂はソファーに座る。 社長も俺達の対面のソファーに座る。 そして


「丹羽君、赤坂君。この前の北海道出張ご苦労様でした。 君達のお陰ですすき野支部の業績は格段に良くなったと報告を受けているよ。 君達を出張に行かせた私も鼻が高いよ」


「「ありがとうございます」」


「でだ、今日君達2人を此処に呼んだのは他でもない。出張前に言っていた昇進の件についてだ。 私が考えているのは、先ず赤坂君。君は5月1日から営業2課の課長職を任せたいと思っている。 本当は4月1日からにしたかったのだが、現課長からの引き継ぎをしてもらわないといけないから引き継ぎを終わらせ1ヶ月遅れで課長職に就任して貰おうと思っている。どうかな赤坂君」


「身に余る光栄です。 謹んでお受け致します。 し、社長。1つお聞きしたい事があるのですが」


「ん? 何だね赤坂君?」


「今の2課の課長は?」


赤坂の質問に社長は自分の顎を触りながら


「今の営業2課の課長は、周りに対してのハラスメントや取引先からの課長に対するクレームが余りにも多かったから、愛媛県の日振島支部に転勤してもらい、そこで営業職に5月から就任して貰う予定だよ」


と笑いながらそう教えてくれた。


日振島(ひぶりしま)は、愛媛県宇和島市の宇和島港から西方約28km、愛媛県と大分県との間の宇和海にある有人島である。 島を歩いて1周しても2時間で回れる位の大きさらしい。 漁業や磯釣りが主の島だ。 そこに転勤とは……禿げ良かったな。都会の幻想を忘れゆっくりと過ごせるぜ。


「で、次は丹羽君だが」


おっ? 次は俺の番か。


「丹羽君も5月からになるのだが、営業部長に就任して貰いたい。丁度営業部長が大阪に転勤になるんだよ。そしてその空いたポストを埋めるのが丹羽君、君だよ。君なら実力も十分だし、期待以上の成果を出してくれると私は確信している。 丹羽君、やってくれるか?」


俺の答えは1つだ。


「勿論です。謹んでお受け致します。必ず社長の期待にお答えするとお約束いたします」


「君ならそう言ってくれると思っていたよ。宜しく頼むよ丹羽君」


社長は満足げな表情で頷いていた。 社長の期待に応える為にも5月から部長職…気合い入れるぞ。



「丹羽、やっぱりお前部長じゃん! やったな!」


「ありがとう赤坂。お前こそ課長頑張れよ」


「おう! 部下に慕われる上司目指して頑張るぜ!」


社長室を出た俺と赤坂は笑い合いながらお互いの拳を合わせた。



帰宅後、刹那と子供達に昇進の話をしたら、刹那は食卓に並んでいたおかずにラップを掛け始め、直ぐに冷蔵庫の中にINしてしまった。 そして


「今からお父さんの昇進祝いをしに行くわよ! 早く支度しなさい!」


と夕飯を食べる気満々だった久遠と瞬を部屋に押し込んだ。 そして急遽外食に出掛ける事が決定した。


今晩は回らない寿司屋での夕飯になった。




ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです(* ̄∇ ̄*)


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m










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