第144話

時は流れて4月。 久遠と瞬も中学2年生になった。


いやぁ改めて思うけど、子供の成長って早いね。 この間小学校に入学した(何時の話をしているんだろう?)と思っていたのに、もう中学生。しかも2年生だ。 そろそろ2人も自分の進路とかに悩み出す年頃になるな。 悩み事等を相談してきたら、その時は親身になって相談に乗ってやろうと考えている。



さて、話は変わり、新1年生達の入学式も終わり少し経ったある日。


……最近どうも久遠の機嫌が悪い。 一体どうしたというのだろうか? 


朝も " ムスッ! " とした表情でご飯を食べて学校へ登校していくし、夜も何かイライラしている雰囲気を目一杯醸し出しているし……。


何か悩み事でもあるのだろうか?


此処は久遠の父親として、久遠の悩みを聞いて解決出来るのならしてやりたいと思う。


「なぁ刹那、久遠の奴最近ずっとイライラしているみたいだけど、何か悩み事でもあるのかな? 久遠から何か相談された?」


先ずは刹那にそう聞いてみた。 もしかしたら刹那は久遠から相談をされているかも知れないから。 同じ女性だし、相談しやすい立場だからな。


すると刹那は


「あ~。そうですねぇ。何だが最近イライラしていますね久遠。 ウチは久遠から何も聞いていませんね。 まぁ、久遠がイライラしている原因はウチは何となくですが分かりますね。 ウチも久遠の年頃から同じ様な経験をしていますから。 もしウチが感じている事が久遠のイライラの原因ならウチや圭介さんにはどうする事も出来ませんね。 本人が解決するか、もしかしたら劉ちゃんが何とかしてくれると思いますよウチは」


と笑顔でそう言ってキッチンへ向かい夕食後の片付けをし始めた。


……刹那も経験がある? はて? 何だろう? もしかしてあの日? いやいや、考えが下衆いな。


まぁ、俺と刹那にはどうする事も出来ないのなら仕方がない。 様子を見る事にしますかね。


しかし……劉ちゃんなら何とか出来る事って一体何だろう?




~久遠side~


4月になりクー達は2年生になりました。


新入生の入学式も終わり、やっと普通の日常が……と思った時期がクーにもありました。


最近クーは滅茶苦茶イライラしています。 何故かって? それは


「丹羽久遠さん。俺は丹羽久遠さんの事が好きです!  一目惚れしました。俺と付き合って下さい!」


そう。告白です。 クーが2年生になってから、かなりの数の告白をされる様になりました。 それはもう毎日。 酷い時は1日に5~10人から告白されるんです。 全部の休み時間+放課後が全て告白で潰れてしまうんです。


あり得ないと思いませんか? クーの貴重な劉ちゃんとの会話も出来ず、お昼ご飯もゆっくり食べれず、放課後の劉ちゃんとのデート(付き合ってはいませんが、実際劉ちゃんと2人きりでの寄り道とかですから、デートと言っても過言では無いよね)も無し。


同級生・先輩方からの呼び出しに加えて後輩からの呼び出しも増えたこの頃。 クーのストレスはMAXに近くなってきています。


初めは " 私にはずっと昔から好きな人(劉ちゃん♡)が居ますから貴方とはお付き合い出来ません。すみません " と丁寧にお断りをしていたんですが、今となっては " ごめんなさい " の一言のみで済ませています。 本当に鬱陶しいんですよ正直言って。



で、今も後輩の男子からの告白の真っ最中です。 クーはいつも通りに " ごめんなさい " の一言だけ告げて呼び出された場所から立ち去ろうとしました。 すると何を思ったのか、後輩の男子が


「おい! 可愛いからってお高く留まってんじゃねーぞ! お前ら女なんてなぁ、男が強く出たら何にも出来ねーだろうが! 無理矢理でも俺の女にしてやるよ!」


と強気発言の後クーの肩を掴んで来ました。


ひっ!? 怖い! い、痛い。や、止め……。


その時


「おいお前、に何してんだ? 事と次第によっちゃあお前死ぬぞ?」


劉ちゃんがクーの肩を掴んでいた後輩の男子の腕を掴み、後輩の男子にそう言い放ったのです。


り、劉ちゃん!? 何時から此処に居たの!? 


そ、そんな事より劉ちゃん! 今何と!?


お、俺の女!? 今クーの事をと言ったよね!? 物凄く嬉しいんですけど!?


クーは思わず真っ赤な顔をして劉ちゃんを見詰めてしまいました。


「くっ! ムカつくなぁ! 男が居るなら初めからそう言えよ!」


後輩の男子は劉ちゃんが自分の腕を掴んでいる手を払い落とした後、捨て台詞を吐いて何処かに言ってしまいました。


多分明日から " 丹羽久遠には彼氏が居る " といった噂が立つんじゃないかなと思いました。 クーとしては願ったり叶ったりなんですけどね。


「久遠! 大丈夫だった? 痛い事されていない?」


劉ちゃんが心配そうにクーの顔を覗き込みながらそう聞いてきました。


「う、うん。大丈夫。劉ちゃんのお陰で助かったよ。ありがとう劉ちゃん」


「あっ、それと久遠、さっきは " 俺の女 " って言ってごめんね。あの場合はああ言うしか無かったんだ」


劉ちゃんが謝ってきたので、クーはとびきりの笑顔で


「ん~ん。大丈夫♡ むしろ劉ちゃんがそう言ってくれて助かっちゃった♡ ありがとう劉ちゃん♡」


「そ、そう?」


クーは劉ちゃんの腕に抱き付き


「劉ちゃん帰ろっ♡ 帰りに何処かに寄り道しようよ♡」


「そうだね。じゃあ公園のベンチでジュースでも飲もうか。俺が奢るから」


「う~ん。クーが思っていた寄り道とは何か違うけど、まぁいっか。劉ちゃん、クーはミルクティーが良いなっ♡」


「はいはい。分かりましたよお姫様」


クーと劉ちゃんは自動販売機でジュースを買って、公園のベンチで楽しくおしゃべりをしました。



その日のクーの機嫌はMAXで良かったです♡




ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです(* ̄∇ ̄*)


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m














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