第142話

~瞬side~


皆~! 元気してる~? 丹羽瞬でっす!


今日は3月12日。 俺は放課に教室で、親友であり幼馴染みの赤坂劉に悩み事を聞いて貰っている最中だ。


「なぁ劉、ちょっと相談に乗って欲しいんだけど」


「ん? 瞬が俺に相談事とは珍しいな。どうしたんだ? 俺で良ければ聞いてやるぞ?」


流石親友! 頼りになるぜ!


「あのさ、明後日は3月14日じゃん」


「ああ。そうだな。それがどうしたんだ?」


「3月14日ってホワイトデーじゃん」


「ホワイトデーだな」


「あのさ、ホワイトデーにバレンタインデーのお返ししないとやっぱ駄目かな?」


「いやしないと駄目だろ。 貰ったお返しはしっかりしないと。 人として当然だと俺は思うけど?」


劉の真面目な表情からのごもっともな意見を聞いて俺は机に突っ伏した。 そして劉に


「……だよなぁ。因みに劉、バレンタインデーにチョコ何個貰った?」


「ん?俺? 1個だけど?」


あ~。納得。 姉ちゃんからだな。 バレンタインデー前日に姉ちゃんがキッチンにチョコを散乱させながら馬鹿デカいチョコを手作りしていたからなぁ。


「そう聞いてきた瞬はいくつ貰ったんだよ?」


「……0個」


「ん? 聞こえなかったんだが? もう1回言ってくれない?」


「……40個」


俺の回答に劉は若干引き気味になった。


「……凄くないかその数。良く食べきれたな」


「虫歯になるかと思ったぜ。食べた日は夕飯が食えなかったからなぁ。 あっ、全部は流石に無理ゲーだったから、家族に手伝って貰ったけど」


バレンタインデーの日、学校に行ったら同級生・先輩方からも大量にチョコを貰ったんだよなぁ。 だから先生も少し引いてたのを憶えている。 うちの学校はチョコ等を学校に持って来てはいけないとか言わないユルい学校なんだよ。 普通、先生がそういうの注意するんじゃないのかなぁ?


食べきれないから手伝って! と頼んだあの時のお父さん・お母さん・姉ちゃんの何とも言えない表情は忘れられない。


「……俺がくれって頼んだ訳じゃないのになぁ。 お返しをするとして、1つ500円と換算して…約20000円だよ20000円! 中学生のお小遣いじゃ到底無理な金額だとは思わないか劉!! もしそんな金額を持っていたとしてもだ! 俺のお財布が大変な事になる!! どうしたらいいんだよぅ!」


そう言って頭を抱えた時、劉が


「じゃあ手作りすれば良いじゃん。クッキーとか。材料費だけなら20000円も掛からないし。1人に4つ位の計算で」


とアドバイスをくれた。


そうだよ! そうじゃん! 何で手作りすれば良いって事に気付かなかったんだろう! お返し買わないといけないって概念に囚われていたわ!


ありがとう劉!! 流石親友!! 救いの神よ!!


「サンキューな劉!! 早速帰ってクッキー作るわ!! 善は急げだ!!」


俺は鞄を引っ掴み、劉をその場に置いてダッシュで家に帰った。


「……おいおい、今日クッキー作るのかよ。 ホワイトデーは明後日だせ?」


劉のそんな言葉は当然聞こえない。



急いで帰った俺は、リビングのソファーに鞄を投げ捨て、スマホを取り出してクッキーの材料を検索する。


何々……


バターorマーガリン50g


砂糖35g


卵小さめ(S〜M玉)1個


小麦粉180g


あればバニラエッセンス少々


そんだけの材料でクッキーって出来るのか! 流石天下のクッ○パッド様だぜ!


でもこんだけじゃ絶対に足りないから ×5倍 位の材料を揃えないと。 何せ40人分だから。


俺は財布を持ってスーパーへ出掛け、バター250gと卵10個入り1パックと砂糖1キロ1パックと小麦粉2袋を購入。 後バニラエッセンスも。


そして家に帰りクッキーを作る為にキッチンへと移動した。 その時リビングでスマホを弄りながら寛いでいた姉ちゃんに " 瞬ちゃん、今から何するの? " と興味を持たれたので、クッキーを作るんだよと説明した。


キッチンに買ってきた材料を並べて いざレッツクッキング!! ……とはいかなかった。


そういえば俺、お菓子なんか作った事無かったわ。 どうしよう。


焦る俺に救いの神の姿が見えた。


そうじゃん! 姉ちゃんに手伝って貰えば良いじゃん!


俺は姉ちゃんの元へ行き


「お姉様!! クッキー作るの手伝って下さい!! お願いします!!」


と深々と頭を下げた。 すると姉ちゃんはニコリと笑って


「良いよ。手伝ってあげるよ。その代わり " 貸し1つ " だからね♪」


……その " 貸し1つ " がとても怖いんだけれど……背に腹はかえられない。


俺1割 姉ちゃん9割の割合でクッキーを作る作業をして、何とか人数分のクッキーが完成した。 完成したクッキーは冷蔵庫で14日迄保存。 かなりの量があった。


夜に冷蔵庫を開けたお母さんがビックリしていた。



で、14日に大きな紙袋にクッキーを入れて登校し、1日掛けて何とかお返しのクッキーを全員に配る事が出来た。


……来年からくれるチョコはトータル1~2個でお願いします。 お返し本っ当に大変なので……。




ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです(* ̄∇ ̄*)


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m



















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