第134話

さて話は変わり、只今丹羽家はとても賑わっております。 何故かって? それは……。


年末に、愛媛からお義父さん・お義母さんが家にアポイント無しでやって来た。 早朝いきなりインターフォンが鳴った(朝6時)から滅茶苦茶驚いたよ。


「圭介く~ん、セッちゃ~ん、クーちゃ~ん、瞬ちゃ~ん! ばあばとじいじが来たよ~!」


「朝早くに済まないね圭介君。アリサがどうしても今年の年末年始は刹那の家で過ごすんだって訊かなくてね。迷惑だとは思うけど宜しく頼むよ」


……流石お義母さん。行動力半端無いな。 流石刹那のお母さんと言えるだろう。


「ばあば、じいじ! いつ此方に来たの!?」


久遠が滅茶苦茶驚いてお義母さんとお義父さんにそう聞いていた。 因みに今の久遠の格好はピンク色のパジャマ上下である。


「ん~? 昨日かな? ばあばはクーちゃん達に早く会いたくて昨日愛媛からやって来たんだよ~♪」


「お母さん!  来るなら来ると事前に連絡頂戴よ! ウチ全然準備出来てないやん! 連絡無しでいきなり来んどいて! お父さんもやけんね!」


刹那は腰に手を当ててお義母さん・お義父さんに絶賛ご立腹中だ。


「まあまあセッちゃん、そんなに怒ったら顔に皺が増えるよ。セッちゃんも良い歳なんだからお顔の皺やシミは気になるでしょ?」


「うるさいわ! お母さんには言われたくないわ! それにウチの顔には皺なんて無いもん! ちゃんとスキンケアは毎日してるもん!」


確かに刹那の顔には皺なんて1つも見当たらないな。いつまでも超絶美人な自慢の奥様だ。


俺が刹那の顔をマジマジと見ていたら、俺が見ている事に気付いた刹那が


「むぅ! 圭介さん! どうしてウチの顔をそんなマジマジと見るんですか! もしかして皺が有るかチェックしているんですか!」


おっと、刹那の怒りが俺に飛び火したぞ!?


俺は刹那の目を見ながら


「刹那の顔に皺なんて1つも無い事は良く知ってるよ。刹那はいつまでも超絶綺麗な俺の自慢の奥さんだよ」


「も、もぅ////// 圭介さんたらっ////// ウチだって圭介さんの事、超絶イケメンな自慢の旦那様だと思っていますから//////」


「ははっ。お世辞でも嬉しいよ刹那」


「お世辞なんかじゃありませんよ。ウチは本気でそう思っているんですよ? 今からでも大声で御近所様に圭介さんは超絶イケメンで超絶大切な旦那様だって自慢しても良いんですから」


「そ、それは流石に恥ずかしいから止めてくれるか?」


「圭介さんがそう言うなら止めますけど……。残念です。自慢したいのになぁ……」


「因みに俺は刹那の自慢は毎日会社でしているぞ? 家の奥さんは超絶美人だって」


俺がしれっとそう言うと、刹那は顔を真っ赤にして俺の胸辺りをポカポカと叩きながら(叩く力は強くないから痛くない)


「もぅもぅ!////// 圭介さんの馬鹿っ////// 圭介さんが会社でそう言ってるのならウチも撮影現場やスタジオで圭介さんの自慢を一杯するんだからねっ//////」


「それは勘弁して欲しいんだが」


「嫌ですぅ! もう決めましたぁ!」




「……ねぇばあば、じいじ。クー達は朝早くから何を見せられているのかな? 口から砂糖出そうなんだけど……。それと、クーの両親のイチャイチャを見るのは物凄くしんどいんだけど……」


「クーちゃん、ばあばもクーちゃんと同じ意見だよ」


「じいじもだよ。気が合うねクーちゃん」


そんな話を久遠達がしていると、奥からボサボサの頭を搔きながら瞬がやって来て


「……お父さん、お母さん。朝早くからそれはあまりにもキツいから止めて貰っても良いかな?」


瞬の辛辣な御言葉に俺と刹那は


「「はい。ごめんなさい」」


と瞬に向かって頭を下げて謝ったのだった。




お義父さん・お義母さんの突然の来訪から時間は過ぎて、時計の針は11時を差していた。


皆リビングのソファーに座り、ゆっくりとテレビを見て過ごしている。 因みに刹那は此処には居ない。 あれから直ぐに仕事に出掛けたのだ。 やっぱり芸能人は年末年始は忙しいんだなぁ。


「お父さん、クーお腹空いちゃった。お昼ご飯どうする?」


俺にそう訊ねてくる久遠のお腹から " キューッ " と可愛らしい音が聞こえてきた。


「俺も腹減った。お父さん、何か食べる物無い?」


瞬も空腹を訴えてきた。


さて、どうするかね。 俺はキッチンに移動し、冷蔵庫を開けて中身をチェックする。


……空っぽに近いな。 そうだった。今日スーパーに買い物に行く予定だったから食材が無いんだった。


「すまん久遠、瞬。冷蔵庫の中身空っぽだ。だから何も作れない」


「「え~!? それは無いよ~(そりゃ無いぜ~!)」」


……流石双子。息ピッタリだな。


すると久遠と瞬の抗議の言葉を聞いたお義母さんが


「じゃあお父さんとクーちゃんと瞬ちゃんとばあばとじいじの5人で何か美味しいもん食べに行こうか。ばあばが奢っちゃるけん♪」


「そりゃ名案だねアリサ。そうしよう♪」


「「えっ!マジで!? やった~♪ そうと決まれば早速行こう♪ じゃあ着替えてくるから!」」


そう言って久遠と瞬は自分の部屋に帰って行った。 流石双子だ。息ピッタリだな。


「あ、あのお義母さん・お義父さん。流石に奢って貰うのは申し訳無いのでご遠慮したいのですが。逆に自分がお二人の食事代を持たせて貰っても構いませんか?」


恐縮しながら俺がそう言うと、お義母さんの頬が分かりやすい程膨れ上がり


「圭介君!! ウチが奢っちゃるって言ったんじゃけん、圭介君は大人しくウチに奢られたら良いの!! それに、孫の食事代を出すのは婆の大切な役目なんだからね! その孫に出してあげる楽しみを奪わんで頂戴な!」


と怒られてしまった。


「圭介君、諦めなさい。アリサは1度言い出したら訊かないから」


お義父さんにそう言われた俺は


「…すみません。じゃあ御言葉に甘えます。ご馳走になります」


と頭を下げた。


「そう。それで良いのよ圭介君♪ さ~てっ♪ 何を食べようかなぁ♪」


怒っていたお義母さんのご機嫌が直って本当に良かった。


という事で、俺達5人は外食に出掛け、握り寿司(回らないやつ)をお腹一杯食べた。 お会計は怖くて聞けない。


帰りにスーパーに寄って食材を買って帰る事にした。 申し訳無い事に、スーパーでの買い物の代金もお義母さんが全額支払ってくれた。 ……本当に申し訳ありませんです。はい。


夜、刹那が仕事から帰ってきた。 そして久遠と瞬が昼間の出来事を刹那に嬉しそうに話していた。


刹那はお義母さんに


「勿論ウチにもお寿司奢ってくれるんよね?」


「残念、無いわ。セッちゃんがお昼に一緒に居たら奢ってたんやけどね」


「え~っ!? そりゃ無いでしょ~! ウチにもお寿司奢ってよ~!」


「また今度ね♪」


「そんなぁ~」


軽くお義母さんにいなされる刹那。


どうやら流石の刹那でもお義母さんには勝てないみたいだ。




ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメントを宜しければお願い致しますm(__)m


これからも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m













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