第126話

~刹那side~


今ウチは某県某所にドラマのロケに来ています。


此処は景色が綺麗で、東京と違って空気が美味しいんですよね。 そして何より御飯が美味しいんです! この美味しい御飯を圭介さんや子供達に食べさせてあげたい! と毎回御飯を食べる度に思っちゃいます。 ……あっ、お土産屋さんがありますね。 ウチが美味しいと思ったおかずがお土産として売っているみたいですので、宅配で送っちゃいましょう♪ 圭介さん達喜んでくれたら良いなぁ♪


毎日忙しいけど、順調に撮影は進んでいます。 後少しで此処の撮影が終わりそうなので、頑張って早く撮影終わらせて圭介さんの元に帰りますよ! 待っていて下さい圭介さん♡


あっ、そうそう。 此処に来て初めての夜に少し怖い体験をしたんですよ。 そのお話をしても良いでしょうか。 というか、誰かに話したいんですよね。 ウチ達だけが知っているのは何だか怖いので。





某県某所に到着したウチ達は早速ドラマのロケに入りました。 順調良く撮影は進み、今日の撮影はこれで終わりって感じになりました。


「由井さん、お疲れ様です」


「お疲れ様です楓ちゃん♪」


撮影終わりにウチに話し掛けてきたこの娘は樋口楓ひぐちかえでちゃん。 ウチの所属しているプロダクションの新人さんで、ウチに憧れて入ってきた20歳の可愛くて素直な女の子です。


「無事1日目が終わりました。私今回初のドラマ出演ですので緊張しちゃいました。 まぁ出番そんなに無いですけど」


「あはは。誰でも初めての時は緊張するから大丈夫だよ♪ 私も緊張したし。もっと肩の力抜いて気楽に行こうね♪」


「由井さんにそう言って貰えたら有難いです。明日も頑張ります! どうか御指導の程宜しくお願い致します」


「固い固い(笑) もっとリラックスしてラフに行きましょうね♪」


「はい!ありがとうございます!」


ウチと楓ちゃんはそんな話をしながら今日お世話になるホテルへと帰りました。 疲れた~。お腹空いた~。 今夜の御飯は何にしようかな?


楓ちゃんと一緒に夜御飯を食べ終わった後(夕食はフロントの職員さんオススメの海鮮丼にしちゃいました♪ めっちゃ美味しかった♡)、ウチが泊まるお部屋に入りました。 ……何か内装が豪華過ぎて(スイートルーム)居心地悪い気がするのは気のせいでしょうか? ウチ、皆と同じ様なお部屋(シングルルーム)で良かったんですが。 まぁ折角ディレクターさんが取ってくれたお部屋ですから文句は言いませんけど。


ウチは高級そうなソファーに座ってテレビのローカル放送を観て寛いでいました。 すると


" ピンポーン! "


とお部屋のインターフォンが鳴りました。 誰か来たみたいです。 ウチは誰が来たのかを内蔵カメラで確認しました。 あれ? 楓ちゃんじゃありませんか。どうしたんでしょうか?


「どうしたの楓ちゃん。もしかして遊びに来てくれたのかな?」


お部屋のドアを開けて楓ちゃんを中に入れた後、楓ちゃんにそう訊ねました。 本当に遊びに来てくれたのなら嬉しいな♪


……ん? 何だか楓ちゃんの様子がおかしいですね。 若干顔色が悪い様な気がしますが。


「……由井さん。私のお部屋……怖いんですが。どうしたら良いでしょうか?」


「怖い? 何かあった?」


「……はい。お部屋でテレビを観ていたら、いきなりお風呂場の方から " ドンッ!! " っと何かを思いっきり叩く音が聞こえてきたんです。 確認しにお風呂場に行ったんですが、何も無くて……。 気のせいだろうと思いまたテレビを観ていたら、また " ドンッ!! " と叩く音が聞こえてきたんです。 私、怖くなっちゃってお部屋を出てきちゃったんです。 そしてどうしようかと悩んだ結果、頼りになる先輩の由井さんのお部屋を訪ねてきたという訳なんです。 御迷惑だったら帰ります。遠慮無く言って下さい」


「全然迷惑じゃないよ。むしろ頼ってくれて嬉しいよ。遠慮無く居たら良いからね」


「あ、ありがとうございます! 由井さんに迷惑って言われたらどうしようって思ってました。ほっとしました」


涙目でそんな事を言ってくる楓ちゃん。 めっちゃ可愛い♡


暫く楓ちゃんとお話をしながらおやつタイムをしていたんですが……ウチ、どうしても楓ちゃんのお泊まりするお部屋が気になって仕方がありません。


「……ねぇ楓ちゃん」


「はい。何でしょうか?」


「私と一緒に楓ちゃんがお泊まりするお部屋を見に行かない?」


「えええっ!?」


「1人なら怖いけど、2人だったら大丈夫じゃないかな? もしかしたら物音の原因が分かるかも知れないし」


ウチが楓ちゃんにそう提案すると、暫く悩んでいた楓ちゃんが


「分かりました。由井さんが一緒に来てくれるなら、私お部屋を見に行きます。もしかしたら物音も私の気のせいかも知れないですし」


という事でウチと楓ちゃんは、楓ちゃんがお泊まりする予定のお部屋を見に行く事にしました。


……楓ちゃんには強気でそう言っちゃったけど、ウチ……ホラーめっちゃ苦手なんですよね。 お化けが出たらどうしよう……。 圭介さん…助けてぇ。怖いよぅ。
















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