第124話

10月中旬となりました。 段々と風が冷たくなってきたこの頃、皆様どうお過ごしでしょうか?


俺こと丹羽圭介は、またアホな事をしでかしてしまいました。 そのアホな事とは。


……そう、たまたま暇だったから観ていたネットの通販で何とも素敵なアコースティックギターを見つけてしまったのだ。 俺は学生時代にアコースティックギターを弾いていた事があるのだ。 まぁ素人に毛が生えた程度の腕前だけどね。


……一目惚れだった。 どれどれお値段は?


……15000円(税込) しかも曲のギターコード本付き。


こ、これは……何としても欲しい1品だ! このお値段なら俺のお小遣いで買える! 


俺はついつい購入ボタンをポチッと押してしまった。 支払い方法はコンビニ払込みで。 クレカを使うと刹那に " また無駄遣いをして! " と怒られそうだからな。


コンビニ払込みに必要なバーコードを取得した俺は、早速最寄りのコンビニに出掛けて行き、15000円(税込)を支払った。 そしてついでにデリカフードの肉まんも購入。 肉まんとか無性に食べたくなる事ってありません? もしかして俺だけかな?


そして数日後、通販からアコースティックギター(曲のギターコード本付き)が届いた。


早速ギターコードを見ながらアコースティックギターを弾いてみる事に。 久しぶりに弾くから上手く弾けるか心配だな。


~♪ ~🎵 


おっ、結構憶えているもんだな。 もっと苦戦するかと思ったけど、上手く弾けているみたいだ。


調子に乗った俺は、弾き語りみたいな真似をしてみる事にした。


" 五月雨は緑色 悲しくさせたよ 一人の午後は~


 好きだよと言えずに初恋は~

 

  浅い夢だから 胸をはなれない~ "


結構いけるじゃん♪ 段々と楽しくなってきたぞ。 よし次の曲行こうか。 おっ、この曲も良いよね。 俺の好きなアーティストのバラード曲だ。 よし、お次はこれにしよう。



" あの人のことなど もう忘れたいよ~


 遠く叶わぬ恋なら~


 ” このまま~ 傍に居て~ 夜が明けるまで ” と~

 泣けたなら~ "



……自分でギターを弾き、泣きながら歌っている俺。 こんな姿は誰にも見せられないな。 だって格好悪いから。


さて、後1曲だけ弾いて止めようかな。 そろそろ皆帰ってきそうだし(久遠と瞬は劉ちゃん家、刹那はお仕事)。


おっ、この曲は昔俺が好きだった曲だ(親父の影響)。 今日ラストの曲はこれにしよう。


俺はギターを弾く体制になり(椅子に座り格好付けて足を組み)ギターの弦を指で爪弾いた。



 " 夢のつづきはこもれ陽  遠くでピアノが聴こえてる


真夏のふたりの写真 やさしい気持ちが 風になる時


いつもあたたかいから 大切なことがよくわかる "



……ふぅ。 満足満足♪ また皆が居ない時にギターを弾きながら歌うかな。


俺はギターをクローゼットに片付けようとした。 その時、廊下からうっすらと泣き声が聞こえてきた。


えっ!? 誰も居ない筈なのに泣き声!? もしかしてホラー路線まっしぐら!? 止めてよ!? 


恐る恐るリビングの扉をゆっくりと開けて廊下に顔を出すと、そこにはその場にしゃがみこみ、顔を両手で隠して涙を流している刹那の姿が。


……もしかして、ギターを弾きながら歌っていたのを聞かれていた!?


「せ、刹那さん? 何時から其所に居たの?」


刹那にそう声を掛けると、刹那は俺の方に泣き顔を見せながら


「……圭介さんがギターを弾きながら歌い出した頃からです」


……初っぱなからじゃん。 うわぁ……下手くそな歌を本職に聞かれた……。 滅茶苦茶ハズい。


「……圭介さん、ウチ、滅茶苦茶感動しました。 でも1つだけ文句があります」


「も、文句って?」


「……何故圭介さんが歌う曲はバラード曲だけなんですか? 意図的に聞いている人を泣かせに来てませんか? 圭介さんの素敵な歌声でバラード曲は狡いですよぅ」


いや、だって、俺、バラード曲大好きだから。 狡いも何も、刹那が聞いているなんて知らないもん。


「圭介さん、ピアノも弾けて、ギターもいけるなんて多才なんですね。ウチの心は圭介さんにもっともっと堕とされちゃいました。 今度ウチの為だけにギターを弾きながら歌って下さいね♡」


「俺の拙いギター演奏で良ければいつでも」


「約束ですよ♡」


……下手くそって言われなくて良かった。


「……圭介さん」


刹那が笑顔で俺の名前を呼んできた。


「ん? 何?」


「……何時アコースティックギターなんて買ったんですか? ウチ、圭介さんがアコースティックギターを買ったなんて聞いてないんですが?」


「え、えっと……それは……」


「……いくらしたんですかそのギター?」


「……15000円(税込)」


ギターの値段を告げると、刹那の顔が怒り顔になり


「もぅ! いくら圭介さんのお小遣いから購入したとはいえ、無駄遣いはメッ!!です!!」


「…ご、ごめんなさい……」




ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら★評価 🖤 コメント レビュー等を頂けたら今後の励みになります。


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m
































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